藤遜劵螢�

(全部で137冊)

ZZZ…　世界の終りのあとで　　伊藤　聚　
　　装幀=青山　杳
　　A5　96ページ　　1991年3月15日発行　定価2420円　(本体2200円)　ISBN978-4-87995-239-4 C1092 \2200

ここがそこなのか…ダッチロールする眠りの底で目をしばたたき、境界線のあやふやな視界に侵入を企てる。顫える抒情の雫を脱臼した言語でくるむ作品集

アナザミミクリ an other mimicry　藤原　安紀子　
　　装幀オブジェ=勝本みつる
　　菊変（218×144）　132ページ　　2013年1月30日発行　定価2860円　(本体2600円)　ISBN978-4-87995-866-2 C1092 \2600E

こころなどというものを語れぬように高速でばくはしていくサンクチュアリであそぼうよ

聖域は
地上にあって
重力がない
そこに戯れる
ミミクリ（擬態）たちの
告白

第31回現代詩花椿賞受賞

青のチューブを絞って　佐藤　和生　
　　装幀=亞令
　　A5変フランス装（210×138）　92ページ　　2006年9月15日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-684-2 C1092 \2500E

未来が眼前の深淵と化した日から、
新たな人間として、跛の足で歩き出す老人。
稼動中の生命の分解作用を見据えながら、
生の終盤戦に没頭する。

明るいニュース　藤井　貞和　
　　装幀=クラフトエヴィング商会
　　菊変フランス装（218×137）　59ページ　　1995年9月30日発行　定価2420円　(本体2200円)　ISBN978-4-87995-363-6 C1092 P2266E

現代の詩とはなにか――。辛く悲しい今日、そして明日。〈詩〉は見えない小石となってなにを撃とうとするのか。災禍と虐待の現代に胸を痛めながら書かれた作品集

イーフレイムの書　ジェイムズ・メリル/訳=志村　正雄　
　　装画=伊藤　聚　装幀=青山　杳
　　菊変（218×140）　237ページ　　2000年10月30日発行　定価3520円　(本体3200円)　ISBN978-4-87995-496-1 C1098 \3200E

詩の言葉は表向きの情報伝達手段にとどまることなく、それを拒みさえするゆえに、読者を純化し、浄化する。ここにはもろもろの制約をくぐりぬけて湧き出る魂の交わりがある。そして私たちの前に出現するのは、ウィットに満ち苦悩にひしがれる魂たちの想い――生とは何か、死とは何か、時間とは何か――だ。人類の歴史と個人の歴史の一致しがたい嘆きと　喜びだ。

石の匣　宮田　澄子　
　　栞=伊藤　桂一　装画=鳥越　晶　装幀=亞令
　　A5変略フランス装（210×140）　100ページ　　2010年10月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-810-5 C1092 \2500E

不意に庭木戸がゆれる。無の闇に消え行った幾多の哀楽の時の再来か。歩みの後先にまつわるシジミ蝶。未だ見え来ぬ時のなかへと踏み入るのか。ちいさなたましいが問う…
「こことつぎのあいだには何があるの」

伊藤聚詩集成　詩集成シリーズ　　伊藤　聚　
　　装画=伊藤　聚　装幀=亞令
　　四六　608ページ　　2001年4月25日発行　定価8250円　(本体7500円)　ISBN978-4-87995-510-4 C1092 \7500E

脱臼する言語がとらえる脱出不可能な大氾濫世界。遠い星から届くかすかな光のふるえ。そして、存在することへの消しがたい悔恨。

伊藤聚読本　New感情別冊　　編=New感情同人/著=伊藤　聚　ほか　
　　写真協力=伊藤　照子、堀川　麗子、星野　勝成　本文表紙装画=伊藤　聚
　　A5　138ページ　　2000年3月20日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-478-7 C1092 \1200E

伊藤聚。かれは何者だったのか。――川端隆之・小池昌代・河津聖恵・三木卓・八木忠栄・平出隆・岩成達也・小長谷清実・鈴木志郎康・藤井貞和・中村えつこ・井上弘治他

いどの中　日本のライト・ヴァース3　　編=岸田　今日子　
　　装画=和田　誠　装幀=清原　悦志
　　四六変（150×127）　99ページ　　1981年6月25日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-037-6 C1392 \1000

どこかおかしなピクニック…山ほどお弁当もって、ヘンな道とおって、奇妙な国へ行ってしまう――ライト・ヴァース傑作選=別役実/中島みゆき/武鹿悦子/佐藤信/工藤直子/菊池之枝/都築益世/糸井重里/室生犀星/吉岡治/石垣りん/タモリ/まどみちお/名取和彦/立原えりか/野口雨情/岸田衿子/岩佐東一郎/阪田寛夫/山之口獏/桑田佳祐/おうちやすゆき/高橋睦郎/梅本たかし/香山美子/所ジョージ/谷川俊太郎/北原白秋/井上ひさし

いのちの家　ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ/訳=伊藤　勳　
　　装画=ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ　装幀=亞令
　　菊変（218×140）　280ページ　　2012年3月5日発行　定価5060円　(本体4600円)　ISBN978-4-87995-843-3 C1098 \4600E

すべてが空しくなつたとき何が忘れ得ぬ苦しみをなだめ/忘れられないでゐる者に忘れることを教へてくれるのだらうか　すべてが空しくなつたとき何が忘れ得ぬ苦しみをなだめ/忘れられないでゐる者に忘れることを教へてくれるのだらうか――苦悩と悔恨の底から見つめる愛と生　ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ　1828-1882。イギリスの詩人・画家。画家として「ラファエロ前派」を形成、主導した。深い憂愁を湛えた「ペアタ・ベアトリクス」「プロセルビナ」などの画業は広く知られている。その活動はウィリアム・モリスらの仕事につながった。詩人としては、〈美〉と〈愛〉を〈いのち〉の根幹・拠所とする生命・世界観から詩作に当ったが、現実の苦悩深く、やがて心身を病む。『バラッドとソネット』『詩集』を詩集として遺している。前者に含まれる本書は、その詩精神の中核を成す作品群であり、本邦では初の完訳である。詩人クリスティーナ・ロセッティは妹

受けとった雲　藤本　敦子　
　　装幀=亞令
　　A5変（196×136）　104ページ　　2013年8月25日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-881-5 C1092 \2400E

わたしはここにいます
――声がしたように思う。風と空が雲をそっとゆすっているだけだった。両の掌に消えてしまったものをくるんで、ひっそりとあたためてみる。

うた　ゆくりなく夏姿するきみは去り　　藤井　貞和　
　　装幀=亞令
　　四六変（188×122）　144ページ　　2011年8月6日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-825-9 C1092 \2400E

音数律など定まらずとも、人はうたってきた
だがしかし、今このときこそ
〈しらべ〉に乗るうたは
何かを甦らせようとし、何かを手渡そうとする
…たとえば
…不意にいなくなった人の背影…
宙空を切り裂いてゆく白球の軌跡…

惠以子抄　安藤　元雄　
　　装幀=亞令、中島　浩
　　A5変（196×138）　80ページ　　2022年8月12日発行　定価3300円　(本体3000円)　ISBN978-4-86725-026-6 C1092 \3000E

鈍く光る鉄板の上
灰にまみれて横たわる
僅かばかりのおまえの骨を私は見た……
無力感の底をさまよう悲しみの歌

音づれる聲　藤原　安紀子　
　　栞=藤井　貞和　装幀=亞令
　　A5変略フランス装（210×138）　138ページ　　2005年1月26日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-631-6 C1092 \2400E

ぼくはユビ
はにかんで摘む

光のなかの器にひとりぼっちだ信号を送ろうきっと最後のしんごうになる

ぐうした手に　ちり
萌えのこる　あ

この石こころきみへあげる

ぼくらのちいさな足は心もとなく瞬く水脈のよう
鈴生る未をいつまでも拾いあつめてあいしている　第16回歴程新鋭賞受賞

カーニバル　倉田　比羽子　
　　装幀=加藤　光太郎
　　A5変（210×142）　130ページ　　1998年11月10日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-445-9 C1092 \2500E

すべてが消失したのちにも虚無はない、偶然があるがままにあるだろう……　さあ、みんな、そこから出ておいでよ　ここに入っておいでよ　カーニバルだ、カーニバルがはじまるよ　……わたしはようやくわたしの名を取り除くことができる「何を見つけたの？」

架橋　加藤　沙千　
　　跋=岩田　光子　装画=加藤　喜夫
　　四六倍変函入（235×250）　85ページ　　1982年12月25日発行　定価3300円　(本体3000円)　

風のなかをひとり　藤本　敦子　
　　栞=伊藤　桂一　装幀=亞令
　　A5変（196×138）　122ページ　　2008年6月10日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-738-2 C1092 \2500E

風。あなたに触り、
そのあとわたしに触れていった。
天空に突き入る鳥に、
そして地面にたよりなく踏ん張る木に。
それから…生傷のような雲を吹きやり、
光のなかのこどもとまろび遊び、
ひとり歩むわたしのかたわらを行くだろう。

悲しみをさがす詩　藤井　貞和　
　　装幀=クラフトエヴィング商会
　　菊変フランス装（218×137）　77ページ　　1995年9月30日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-362-9 C1092 P2472E

世界の詩はどこにあるか。――災禍と虐待の地球に生きて、小さな声をたよりに〈詩〉をさがす。虐め、地の災、差別の現代に胸を痛めながら書かれた書き下ろし詩集

彼方への閃光　國重　游　
　　栞=藤原　安紀子　装幀=亞令
　　A5変略フランス装（210×138）　64ページ　　2006年1月25日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-663-7 C1092 \2000E

雷雨の打ち叩く、風の吹きすさぶ地上で
鳥たちだけが飛び往く海辺で
……かすかにふるえている〈時〉の孤影。

神様も大あくび　世界のライト・ヴァース5　　編=谷川　俊太郎、渡邊　一考　
　　装画=武内　博洲　装幀=清原　悦志
　　四六変（150×127）　98ページ　　1983年1月25日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-058-1 C1392 \1000

神様は大あくび、鬼らはくしゃみの連発…好機到来、とことん道草、いろいろ念入れじっくり廻り道──ライト・ヴァース傑作選=萬國篇●稻垣足穗/クロス澁澤龍彦/相澤啓三/渋沢孝輔/佐藤春夫/壷井繁治/瀧口修造/高橋睦郎/アナクレオンテア呉茂一/多田智満子/石川道雄/中井英夫/フェリー蘭京太郎/サッカレ平井呈一/山之口獏/石原吉郎/ヴィヨン矢野目源一/北原白秋/島崎曙海/萩原朔太郎/中原綾子/ハイネ番匠谷英一/井伏鱒二/鈴木志郎康/淵上毛錢/川崎洋/尾形龜之助/伊良子清白/ツーレ堀口大學/ルナール岸田國士/寺山修司/ダンセイニ西條八十/竹久夢二/野口米次郎/安西冬衛

神の子犬　藤井　貞和　
　　装幀=亞令
　　菊変（175×152）　202ページ　　2005年8月25日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-648-4 C1092 \2800E

藤井貞和の詩
――fujii sadakazu 2005;
his poetical works
おはいりよ、不安なことば。
行くな。そこから先は、あぶない。

第24回現代詩人賞・第23回現代詩花椿賞受賞

昨日知った、あらゆる声で　阿部　嘉昭　
　　栞=藤井　貞和、小池　昌代　装幀=亞令
　　B6変(182×122）　108ページ　　2008年2月10日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-728-3 C1092 \2000E

私を打ってゆく淋しさがある…名指しできぬ多くの声がこの躯/思考を貫いて、そうして…無垢の時間=歌が流れだす。――バレんなよ、わたし…

客と規約　藤富　保男　
　　装画=高橋　昭八郎
　　A5変フランス装（210×138）　42ページ　　1999年1月26日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-452-7 C1092 \2000E

変装の麗人。黒の衣装。点々とした足跡。……これは誰もが思い付かなかった20世紀末の推理詩だ……（河原比和）

球形の旅路　伊藤　行雄　
　　解説・帯=井上　輝夫　
　　菊変略フランス装函入（219×128）　129ページ　　1987年12月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-149-6 C1092 \2500

現代を生きる者の刻印として、身内に痛みとともに快い不在を住まわせ、枯れた意志の風景の中を、ざわめく都市空間をさまよう単独者の歩行

極地　後藤　美和子　
　　栞=小池　昌代　装幀=亞令
　　A5変（195×132）　120ページ　　2003年9月10日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-580-7 C1092 \2000E

ここに集められた詩は、握ればみな、てのひらに収まってしまうほどの、ちいさな粒です。ちいさな粒だけれど、不思議に重い。磨かれることもなく、不埒な表情をして、そこに在るがままに、凝固しています。――小池昌代

巨石巨木学　夏石　番矢　
　　装幀=加藤　光太郎
　　A5　123ページ　　1995年7月15日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-358-2 C1092 \2800

〈東方の虚空を思量できるか大杉〉〈彼国微風吹動常立杉微塵徴〉―樹木が歌い、岩石が語る至高の楽園。和語と洪語の不可思議玄妙な交響から閃き立ち上がる衝迫の声

ぐろきしにあ　乙益　由美子　
　　帯=藤井　貞和　装幀装画=浜田　洋子
　　A5変（198×138）　79ページ　　1989年4月10日発行　定価1975円　(本体1796円)　ISBN978-4-87995-175-5 C1092 \1796

幼い記憶にわだかまっている夏の日の庭…そこで生まれた悲嘆と悪意を胸の奥に抱いたまま、花に水を遣る細い無垢の手で、言葉の井戸底に汲んだ詩語を撒く

公会堂の階段に坐って　伊藤　聚　
　　栞=守中　高明、三木　卓　装幀=青山　杳
　　菊変（220×140）　145ページ　　1997年4月30日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-403-9 C1092 \2800E

生きることと在ることが地球の上に散乱させ充満させるさまざまの意味。概念化された意味を放擲し、在ることの悲哀を滑稽と混乱の只中に身を置くものの言葉

絞首台の歌　クリスティアン・モルゲンシュテルン/訳=種村　季弘　
　　装画=藤富　保男
　　A5変（210×138）　292ページ　　2003年3月10日発行　定価3850円　(本体3500円)　ISBN978-4-87995-569-2 C1098 \3500E

ナゾベーム〔鼻で歩く哺乳類　一説に、鼻行類〕発見さる！　かれはいったい何者か？　言葉遊びが断乎敢行される夜明け、哀愁にみちた影たちがついに姿を現し乱舞する。賑やかこの上ない――ナンセンス詩人のタクトにつれて歌いだす。

凍る℧(モー)　イーディス・シットウェル詩集　　イーディス・シットウェル/訳=藤本　真理子　
　　装幀=亞令
　　四六　262ページ　　2010年6月30日発行　定価3300円　(本体3000円)　ISBN978-4-87995-797-9 C1398 \3000E

イギリス現代詩の孤塔/待望の邦訳

人類の暗い種蒔き時――20世紀のあらゆる苦渋と悲惨を皮肉に、直截にとらえながらも、凍え死んだ人々の上に降る陽光、死が孕む生を見届けようとする/国境と時代を越えて、私達の凍えがちな心に衝撃波を送る詩の言葉。

*Ωを上下逆にした文字

言葉の起源　近・現代詩小考　　藤井　貞和　
　　装画=伊藤　聚
　　菊変（213×123）　244ページ　　1985年3月15日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-093-2 C1091 \2400

〈うた〉のたゆたう波に身を沈め、〈詩〉が難渋する急峻な坂をたどり近・現代詩の里程に〈うた=詩〉の始原からの響きを確めるとともにその未来を彫み出す詩論

子羊の肉　加藤　律子　
　　栞=平田　俊子　装幀=青山　杳
　　A5変略フランス装（202×140）　131ページ　　1998年12月15日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-449-7 C1092 \2000E

わたしたちの、あう場所。そこは境目か、露出した表面かのどちらかだ。わたしの舌、爪と指が入る。でも内部はまた外皮の延長であって、境目か、露出した表面。もうわたしそこにはいない。

虛明　伊藤　勳　
　　題字=手島　𣳾六
　　菊変（220×144）　128ページ　　2020年4月20日発行　定価2970円　(本体2700円)　ISBN978-4-87995-996-6 C1092 \2700E

時間のゆがみに沿って
思わぬ刹那に
飛去したと見えていた記憶が
言葉となって飛来する
何をも抱かぬと思いなしてはいても
虛ろではなかった心の水面に
波が奔る

ゴーギャン変奏曲　佐藤　和生　
　　装幀=亞令
　　A5変フランス装（210×138）　122ページ　　2003年7月20日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-581-4 C1092 \2500E

「こんばんは、ゴーギャンさん　どこから来て　どこへ行くのですか？」
ゴーギャン没後百年。かれがわたしたちに、わたしたちの心に遺したもの。

サディ氏人相書付　藤富　保男　
　　表紙楽譜構成=山口　博史　挿入画=藤富　保男
　　B6変（175×145）　43ページ　　1994年8月15日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-337-7 C1092 \2000

サディ氏…はたして彼は何者なのか。純粋と奔放と機智と大切な禿頭を黒い帽子の下に隠したこの男を追う、諧謔と愛と鉛筆と鉛筆の次に大切な画ペンを手に握って

さよなら、ほう、アウルわたしの水　奥間　埜乃　
　　栞=藤原　安紀子　装幀=亞令
　　A5変（210×132）　90ページ　　2019年2月15日発行　定価2420円　(本体2200円)　ISBN978-4-87995-982-9 Cl092 \2200E

さあ、［わたし］しかいない―――慟哭は
脱臼し、震盪、散乱、攪乱、浸潤する…
……降りしきる喪が析出する詩語の飛沫。

三月　鍋島　幹夫　
　　栞=山本　哲也、高橋　睦郎、伊藤　比呂美　装画=米田　民穂
　　A5変（204×158）　79ページ　　1992年8月10日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-283-7 C1092 \2500

惨劇の後の風景、惨劇の予感にふるえる風景。そのむこうから立ちあらわれる静まりかえった光景、中心を喪失した「空洞として受胎されたぼくら」の歪んだ影

塩の道　新鋭詩人叢書2　　池澤　夏樹　
　　栞=安藤　元雄　
　　菊変函入（218×130）　131ページ　　1978年3月10日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-005-5 C1092 \2000

みずみずしい感性と思考の柔軟さを支える陽光と潮風に鞣された肉体のようにしなやかな文体で、常に水平線の彼方を望む

詩的分析　りぶるどるしおる63　　藤井　貞和　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　432ページ　　2007年9月30日発行　定価3300円　(本体3000円)　ISBN978-4-87995-718-4 C1395 \3000E

《詩のことば》なんか存在しないのかもしれない　詩人藤井貞和はつぶやく　きわめて意識的な言語体験が重ねられるだけではないか、と

音数律が無くとも村々はうたごえを喪わなかった。ことばは文字に写されなくとも表わすことをする。この視界に人は生きてきた。この足場から、もう一度問うてみる――詩の成立を促す人の営みそのものを。

死のジグソーパズル　佐藤　和生　
　　装幀=亞令
　　A5変フランス装（208×137）　96ページ　　2001年9月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-525-8 C1092 \2500E

人生を完璧に整形するはずのトライ。あらゆるトライ。あきらめのわるい奮闘。すべての砕片をあるべき場に嵌め込むはずの。

詩の風景・詩人の肖像　白石　かずこ　
　　装幀=加藤　光太郎
　　菊変（205×152）　466ページ　　2007年11月10日発行　定価3850円　(本体3500円)　ISBN978-4-87995-723-8 C1095 \3500E

こんにちのユリシーズ

世紀をこえる詩の海への航海、世界のさまざまな国への旅がはぐくんだ詩の交友。
日本と世界の詩人15人に捧げるエッセイにして珠玉のアンソロジー。第60回読売文学賞随筆・紀行賞受賞、図書館協会選定図書

祝婚歌　編=谷川　俊太郎　
　　四六倍変貼函入（220×188）　75ページ　　1981年7月25日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-038-3 C1092 \2500E

新しくはじまる日々…その一番最初の日を祝う東西の名詩/ロゼッティ・室生犀星・ジャム・草野心平・佐藤春夫・立原道造・金子光晴・プレヴェールほか*46倍判変貼函入二〇〇〇円

白石かずこ詩集成　Ⅱ　詩集成シリーズ　　白石　かずこ　
　　栞=平田　俊子、笠井　叡、蜂飼　耳、八木　忠栄、水田　宗子、高橋　睦郎、伊藤　比呂美　装画=白石　由子　装幀=菊地　信義
　　四六　658+栞28ページ　　2018年2月28日発行　定価6600円　(本体6000円)　ISBN978-4-87995-965-2 Cl092 \6000E

激しく渦巻くマグマから噴出する
詩のコトバたち――
思惟の海を往き、宇宙の縁に触る。
砂の国に歩み入り、
永劫の時間を一身に生きる。

白石かずこ1968-1984の詩作群

収録作品――――
『一艘のカヌー、未来へ戻る』
『風そよぎ、聖なる淫者』
『砂族』
『新動物詩集』
『火の眼をした男』
『太陽をすするものたち』
単行詩集未収録詩篇　1968-1978

白い光　死と散文の間に　　成澤　弘子　
　　解説=須藤　松雄　装画装幀=両角　修
　　四六　155ページ　　1980年9月18日発行　定価1320円　(本体1200円)　

白うるり　久保寺　亨　
　　装画=伊藤　聚　装幀=青山　杳
　　B6変（160×128）　105ページ　　1990年8月30日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-220-2 C1092 \2000

名のあるない者たち、名のないある者たちに誘われ、ひっそりとものぐるおしく迷宮にも似た無辺境を行く。歯をくいしばり、軽快な足音を響かせる体で――

新懐胎抄　倉内　佐知子　
　　栞=橡木　弘、工藤　正広　装画=浜田　洋子
　　B5変（255×178）　84ページ　　1995年6月10日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-353-7 C1092 \2800

山に潜み谷を奔る霊気と呼びかわす幻視の声、父・父なるものを召喚し、大地と深海の底から湧き立つ歔欷と慟哭の響きをとらえる*北海道文学賞・小熊秀雄賞受賞

深海パズル　加藤　あい子　
　　装画=浜田　洋子
　　A5変（210×136）　91ページ　　1998年5月25日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-434-3 C1092 \2500E

重奏形式による詩の試み　essai des arts2　　那珂　太郎、入沢　康夫　
　　装画=佐藤　和宏
　　B5変函入（226×175）　193ページ　　1979年11月25日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-021-5 C1092 \2500

空を映す海と海の色を宿す空との何れとも分ちがたい無辺際に詩の真実を迫う―作品の相互改作を通じて詩の根源に最もラディカルなアプローチを試みる

樹下　安藤　元雄　
　　装幀=菊地　信義
　　A5変（210×124）　88ページ　　2015年9月5日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-922-5 Cl092 \2400E

樹があって　私がいて
その二つが実は同じことで……
風に葉先と視覚が揺らぎ、木漏れ日がころがる。小鳥た
ちと雨粒の飛来を受け入れ、落ち葉の退散も芽吹きの再
来も認める。すでに喪っているはずのものが身内で疼く
のを確かめ、ゆっくりと通り過ぎて行くものを感じ取る。

人生の乞食　四方田　犬彦　
　　栞=高橋　睦郎、小池　昌代　装幀=加藤　光太郎
　　菊変（174×152）　192ページ　　2007年6月20日発行　定価2860円　(本体2600円)　ISBN978-4-87995-706-1 C1092 \2600E

動物はなぜ人間より幸福に見えるのか。
乞食の道を選ぶことは、少しでもその幸福に
近づいてゆくことだ。
生きるのに乞食の道があるように、詩にも
乞食の道があるはずだ。

スペイン　謎の台地　　齋藤　康子　
　　帯=旦　敬介　装幀=亞令
　　四六変（190×130）　140ページ　　2019年11月30日発行　定価1980円　(本体1800円)　ISBN978-4-87995-993-5 Cl095 \1800E

ウナムーノが見ていたものを追体験すべく、
サラマンカへと通い続けた50年―――いく
つかの奇妙な出来事の隙間からほの見えて
きた精髄をわれわれは何と名づければよい
のだろうか？ ――旦敬介

〈永遠に生きたい！〉スペインの思想家の言葉が若い学徒の心に
刺さった。何だろう、これは？　そんなことが不可能なくらい子
供でも知っている。生きることを考察する哲学者ともあろうもの
が、なぜこのような言辞を吐くのか…そして彼女はスペインに旅
立った――その地で起こるさまざまのこと。謎は解けるだろうか。

坐る　煌文庫2　　安藤　元雄、福島　秀子　
　　80×88　18ページ　　1985年5月1日発行　定価3300円　(本体3000円)　

煌文庫2　安藤元雄＝詩/福島秀子＝絵*限定版

船舶ナイト号　りぶるどるしおる33　　マルグリット・デュラス/訳=佐藤　和生　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　154ページ　　1999年10月25日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-468-8 C1397 \2000E

ありふれた出来事、一つの愛の始まりから終りまで。デュラスはそこに何を見るのか。

太陽の半分と月の全部と　世界のライト・ヴァース4　　編訳=藤井　昇、桑名　一博、米川　良夫、池澤　夏樹　
　　装画=森本　清彦　装幀=清原　悦志
　　四六変（150×127）　98ページ　　1982年4月25日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-047-5 C1398 \1000

"吟遊詩人と夜鴉ののどくらべ、医者と墓掘人のうでくらべ……地中海あたりの万能測量計――ライト・ヴァース傑作選=地中海諸国篇●サーバ/アクサル/マチャード/ロルカ/ランドルフィ/マールティアーリス/ゴヴォーニ/ニーカルコス/ジョバァジューディチ/シーモニデース/モンターレ/ラファアルベルティ/ビルセル/ペンナ/カトゥッルス/ベーラモグルー/カンポアモール/パゾリーニ/フォルゴレ/アウソニウス/チェルゴリィ/フォルティーニ/ゴメス・デ・ラ・セルナ/ディエーゴ/リッツォス/長谷川四郎/呉茂一

高橋順子詩集成　詩集成シリーズ　　高橋　順子　
　　栞=三木　卓　装幀=加藤　光太郎　写真=マリオ・アンブロシアス
　　四六　309ページ　　1996年12月20日発行　定価3850円　(本体3500円)　ISBN978-4-87995-394-0 C1092 P3605E

やがて来る悲嘆の時をあらかじめ海に託す――『海まで』『凪』『花まいらせず』『幸福な葉っぱ』『普通の女』の全詩集と未刊詩篇収録

潭　4　
　　装幀=菊地　信義
　　A5　124ページ　　1985年12月31日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-108-3 C1392 \1000

文学の根幹を流れる詩性に視線をそそぎ、文学に潜む衝撃と感動をもとめて尖鋭な探索と跳躍を試みる*残部偉少*編集同人=粟津則雄・入沢康夫・渋沢孝輔・中上健次・古井由吉/装幀=菊地信義　4号=那珂太郎・藤井貞和・澁澤龍彦・平田俊子・夫馬基彦・安東次男ほか

潭　9　
　　装幀=菊地　信義
　　A5　116ページ　　1987年9月15日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-139-7 C1392 \1200

文学の根幹を流れる詩性に視線をそそぎ、文学に潜む衝撃と感動をもとめて尖鋭な探索と跳躍を試みる*残部偉少*編集同人=粟津則雄・入沢康夫・渋沢孝輔・中上健次・古井由吉/装幀=菊地信義　9号=三好豊一郎・岩成達也・平川隆・安藤元雄・安東次男ほか

単純孤独　高岸　昇　
　　解説=池内　紀　撮影=内藤　一
　　B5変（240×208）　92ページ　　1987年10月10日発行　定価4950円　(本体4500円)　ISBN978-4-87995-141-0 C1071 \4500

ふたたび見出された幼いころの夢に似た宝もの…事物の投げかける影…影を映し出す薄明…もう一つの光…もう一つの影…*カラー20葉モノクローム20葉

淡水魚　付=夜の樹間　　渋沢　孝輔　
　　装画=斎藤　善
　　B5変フランス装（227×173）　127ページ　　1979年7月25日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-017-8 C1092 \2000

疼きをよびさます雪と風のなかに乾いた菌糸の心をひそませ、崩壊の余韻がきしる懊悩の朝は独り未来の墓碑名を刻む――詩人若き日の秘められた詩篇

大地の黄身　後藤　美和子　
　　装画装幀=浜田　洋子、亞令
　　A5変（196×132）　130ページ　　2007年12月10日発行　定価2420円　(本体2200円)　ISBN978-4-87995-725-2 C1092 \2200E

いつの時だったか…この惑星の狂騒はとうに枯れ絶えていた。うずくまっていた寡黙な影が立ち上がる。地中のものの小さな声を受け、鉤ざきの腕をあげ、光の中に走り行く…裸足で…。彼方にも…もう一人…。

煖爐棚上陳列品一覧　日本のライト・ヴァース1　　編=谷川　俊太郎　
　　装画=長　新太　装幀=清原　悦志
　　四六変（150×127）　100ページ　　1980年12月25日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-032-1 C1392 \1000

心と知性が指さきをからめポエジーのゆるやかな波間にたわむれる――ライト・ヴァース傑作選=藤富保男/坂井米夫/阪田寛夫/小長谷清実/辻征夫/入沢康夫/松下育男/菅原克己/山之口獏/中江俊夫/新川和江/金子光晴/川崎洋/井伏鱒二/秋山基夫/岩佐東一郎/城左門/近藤東/工藤直子/北村太郎/片桐ユズル/山本沖子/黒瀬勝巳/小熊秀雄/矢川澄子/田村隆一/天野忠/三好達治/堀口大學

転校生　加藤　温子　
　　栞=清水　哲男　
　　菊変（218×138）　96ページ　　1987年5月10日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-130-4 C1092 \2000

死んだ赤ちゃん、死んだ鳩、死んでゆく揚羽蝶を見つめる私、どこかを病んでいる私。夢の外側を見ている、聖と俗との混乱婚姻を。聖少女の視線で

東京人　高梨　豊　
　　付録=長谷川　宏、藤井　貞和、ロジャー・パルバース、中西　夏之、ミシェル・ビュトール、清水　徹　造本/構成/装幀=菊地　信義
　　B5変函入（240×240）　46+40ページ　　1983年9月25日発行　定価6050円　(本体5500円)　ISBN978-4-87995-068-0 C1072 \5500

無蹟的な都市の骨髄に喰い入り、その苦い髄液を抽出する/写真協会59年年度賞受賞

時計の振り子、風倉匠　池田　龍雄　ほか　
　　帯=赤瀬川　原平　
　　四六　139ページ　　1996年5月20日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-379-7 C1070 P2575E

風倉匠とは何者か――*ナムジュン・バイク/池田龍雄/市川雅/小杉武久/中西夏之/荒木経惟/加藤康彦/大井恒行/古澤栲/小林清人/霜田誠二/赤瀬川原平

都市のさざなみ　季村　敏夫　
　　栞=瀧　克則　装幀=加藤　光太郎
　　A5変略フランス装（200×168）　102ページ　　1991年7月20日発行　定価2420円　(本体2200円)　ISBN978-4-87995-250-9 C1092 \2200

ためらいがちにかさねられるかすかな疑問、ひそやかな否定…それら光の中にそっとさしいれられたことばが刻み出す宇宙のゆらぎ、都市のそよぎ

動物園の珍しい動物　日本のライト・ヴァース2　　編=金関　寿夫　
　　装画=元永　定正　装幀=清原　悦志
　　四六変（150×127）　99ページ　　1981年2月25日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-033-8 C1392 \1000

詩人たちがちんみょうなお皿にきてれつなスプーンでもる宇宙のお味――ライト・ヴァース傑作選=山村暮鳥/田村隆一/会田綱雄/三木卓/石垣りん/ぱくきょんみ/木島始/ひろしぬやま/西脇順三郎/花田英三/矢川澄子/富岡多恵子/高村光太郎/宮澤賢治/天野忠/山中散生/芥川龍之介/藤富保男/坂本遼/中勘介/草野心平/村山槐多/谷川俊太郎/茨木のり子/川崎洋/中江俊夫/御沓幸正/小熊秀雄/飯島耕一/夏目漱石

なげきぶし風の墓碑銘　世界のライト・ヴァース2　　編訳=窪田　般彌　
　　装画=藤富　保男　装幀=清原　悦志
　　四六変（150×127）　98ページ　　1981年11月25日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-042-0 C1398 \1000

"仏蘭西の空をどこか気まじめな顔で漂い人生とたわむれる――ライト・ヴァース傑作選=フランス篇●プレヴェール/アポリネール/タルディユ/クリングソール/ヴァルモール/ビロ/クノー/コクトー/デスノス/フォール/ジャコブ/ファルグ/ピロン/シャバネイ/ラフォルグ/フォラン/カルコ/シュペルヴィエル/オーディベルティ/サンドラール

夏の地名　倉田　比羽子　
　　装幀=加藤　光太郎
　　菊変（218×142）　214ページ　　1988年8月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-162-5 C1092 \2500

夜の一房に顔を寄せると、わたしは青い空に立っている。…(ここかい？　うん、そこだ)…逆倒した時間軸に絡まる世界、その背面で自己と自己の影を問う作品群

波ひとつ　ジョン・アッシュベリー/訳=佐藤　紘彰　
　　栞=ジェフリー・オブライエン、ハロルド・ブルーム、ヘレン・ヴェンドラー、アルフレッド・コーン、リチャード・ハワード、チャールズ・バーガー、アニタ・スコルスキー　装画=野田　正明
　　菊変（218×136）　284ページ　　1991年7月30日発行　定価3300円　(本体3000円)　ISBN978-4-87995-251-6 C1098 \3000

巨大なうねりに翻弄される今日の生の混乱を瑞々しい筆致で捉えた作品群。饒舌な波のあとに束の間、遺っては消えてゆく極微小の光点を凝視しようとする詩篇

西津軽へ　藤田　晴央　
　　装画=三嶋　典東　
　　菊変略フランス装（218×140）　80ページ　　1987年4月1日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-128-1 C1092 \2000

わたって行く先を知らない者がためらいつつ歩みを向ける幻想の国。西津軽の風土と時間に内視された領野からの微かな応答をさぐる詩画集

ニューインスピレーション　野村　喜和夫　
　　装幀=加藤　光太郎
　　A5変（196×135）　192ページ　　2003年1月31日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-564-7 C1092 \2800E

世界が伝えてくるものに手を伸べる、そっと。――ながいながい悲鳴鉄塔をよぎる薄い雲
往来を音なく舞う雪片去年の花火くぐもった呟き――あなたに身を開く、すこし乱暴に。第21回現代詩花椿賞受賞

橋の上の人たち　りぶるどるしおる28　　ヴィスワヴァ・シンボルスカ/訳=工藤　幸雄　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　140ページ　　1997年7月30日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-413-8 C1398 \2000E

ノーベル賞受賞詩人・シンボルスカ　人間と世界の、小さな摘み取ることのできない可能性を奇蹟的に発見する言葉。奇妙な惑星がある。川に橋が架かり、橋の上には篠つく雨にせかれて走る人たちがいる…時の激しい雨脚をくぐり、行き着く先の見えない道を走り続ける人たちが。

羽根の上を歩く　伊藤　聚　
　　栞=三木　卓　
　　B6変函入2分冊（165×146）　116ページ　　1985年5月25日発行　定価1980円　(本体1800円)　ISBN978-4-87995-094-9 C1092 \1800

確信を放擲した人間が事物の気まぐれに充満した現代を泳ぎわたろうとする時に衝き当たる悲哀とおかしみを等量に合んだ不安、悪夢

反歌・急行大和篇　藤井　貞和　
　　装幀=青山　杳
　　B6変（182×118）　329ページ　　1989年6月10日発行　定価2179円　(本体1981円)　ISBN978-4-87995-180-9 C1095 \1981

今もなお記億の山地を逆行して走る急行列車に乗り、文学の国境線を縫いボーダーラインの文学を訪ねるエセイ集。南島短歌俳句古典伝承民俗都市をめぐって

半裸の幼児　高柳　誠　
　　装幀=加藤　光太郎
　　A5変（195×132）　184ページ　　2004年8月25日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-615-6 C1092 \2800E

ふりそそぐやわらかい光のなかを転がる、透明な歓声。
私の内部を暴く閃光がそのみたされた諧調をひきちぎる。
時の塔の崩落。ゆえ知れぬ振動は萌すものを抱く震源をさし示すだろうか。
泣くことも忘れて、見つめている。

バスハウス　石井　辰彦　
　　装幀=加藤　光太郎
　　菊変貼函入（218×120）　187ページ　　1994年7月20日発行　定価5233円　(本体4758円)　ISBN978-4-87995-336-0 C1092 \4758

地獄の貌をした都市の淵から、巌かに汎＝反時代的に身を起こす罪深く美しい男たち――純粋官能にふるえ、世紀末をゆるがし、新しい時代ヘとわたる愛の黙示録

薔薇熱　大久保　博+則　
　　装幀=加藤　光太郎
　　A5変略フランス装（210×137）　140ページ　　1991年11月10日発行　定価2420円　(本体2200円)　ISBN978-4-87995-262-2 C1092 \2200

身体の片隅で撓む想念がほとばしるベき絶叫を呑んだ生を掴む。思念の細光に照らされて浮上する自己の鏡像、影――牧村則村として知られる著者の第二詩集

+旁が専ではなく專

光と影の風土記　稲垣　真藻　
　　栞=高藤　淳　装画=前川　直
　　菊変（218×138）　110ページ　　1991年9月20日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-254-7 C1092 \2500

曇りガラスの鈍い輝きに似た〈一万日の日常〉。重い時間の連鎖の背後に、陰画のように紛れがちな人間の凄む時空を、軽い諧謔と断念をこめた視線でみつめる

微分せよ、秒速で　鈴村　和成　
　　栞=藤井　貞和　装幀=青山　杳
　　菊変（178×150）　69ページ　　1988年10月5日発行　定価1980円　(本体1800円)　ISBN978-4-87995-165-6 C1092 \1800

ほんの微量の微笑のように血のようにこぼれる言葉。現在を思考する方法に関する様々の試みと深く交感しつつ、それらと併走する包絡線として出現する詩作品

ぴーたーらびっと　細田　傳造　
　　装画=伊藤　聚
　　A5変（196×138）　128ページ　　2013年4月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-872-3 C1092 \2500E

ぶきようであるがいっしょけんめいである。
身をしならせ目をこらし息をつめて
――対峙している。
崖のてっぺんまでついてくる長嘆息とともに。
飛び越えられるだろうか。対峙している。

中原中也賞受賞詩人による第2詩集

ピューリファイ!　藤井　貞和　
　　菊変（218×130）　261ページ　　1984年8月25日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-082-6 C1092 \2400

移りかわるもの、かわらない部分、すべて多様なままに純化しようと、うたいはしる詩52篇。終点のさらにむこう側、極点の先にひろがる混沌をめがけて

ピューリファイ、ピューリファイ!　藤井　貞和　
　　装幀=青山　杳
　　菊変（218×140）　257ページ　　1990年7月30日発行　定価2860円　(本体2600円)　ISBN978-4-87995-217-2 C1092 \2600

永劫の時のなかを渦巻き状に疾駆しつづける魂が、崩壊と混沌の最突端から、〈詩〉の再生する瞬間へ、未来の誕生する現場へと、最も困難なジャンプを敢行する

風紋　伊藤　勳　
　　装画=森　雅代
　　菊変（218×142）　128ページ　　2006年11月10日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-690-3 C1092 \2500E

緑濃い木々の枝をそつと揺する風、黄金色の麦畑をはげしく渡る風――それらが運ぶ生きるものたちの秘やかなざわめき。生あるものたちがつなぐ時の鎖のかすかな震動。

封を切ると　多田　智満子　
　　編集構成=高橋　睦郎　栞=池澤　夏樹、小池　昌代　年譜作成=加藤　信行　
　　A5変函入（210×144）　112+64ページ　　2004年1月23日発行　定価3520円　(本体3200円)　ISBN978-4-87995-596-8 C1092 \3200E

封を切ると――光の目つぶし　きのうがあしたになり　終わりが始まりになり　夢幻が無限になって……。

プラスチックの木　沢　孝子　
　　栞=藤井　貞和　
　　菊変函入（218×138　125ページ　　1989年11月30日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-202-8 C1092 \2000

毒の流れる街に立つ一本の木…狂いもせず死にもせず、節々に欲望を膨らませ、言葉をもつれさせ、透明な狂気に喘ぐ故郷と同じ満月のふるえの下に立つ

ぼくが生きるに必要なもの　ドイツ現代詩抄　　訳=板倉　鞆音　
　　跋=入沢　康夫　装画=水谷　雄司　装幀=加藤　光太郎
　　菊変フランス装（218×140）　74ページ　　1989年10月20日発行　定価1650円　(本体1500円)　ISBN978-4-87995-195-3 C1098 \1500

ぼくが生きるに必要なもの…朝の美しい不安…昼のものうい蔭…そして明るい夜…。クンツェ、メッケルら現代ドイツを代表する詩人11名のライト・ヴァース集

ボリス・ヴィアン　──その平行的人生　　ノエル・アルノー/訳=浜本　正文　
　　装幀=加藤　光太郎
　　菊変（218×150）　489ページ　　1992年3月20日発行　定価6942円　(本体6311円)　ISBN978-4-87995-271-4 C1397 \6311

横溢する才能と過剰な熱情で時代の屈折点を疾駆した奇才。その罵倒と愛と悲哀に彩られたスキャンダラスな生の光輝を資料・証言・未発表作から再現/写真多数

水のクモ　藤本　真理子　
　　装幀=亞令
　　A5変（210×142）　138ページ　　2017年9月30日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-958-4 C1092 \2500E

　まるまっている
マリモ
　　　ミノムシ
　　　　　　　
ダンゴムシ
　　　　シーッ

宙空を漂い、身内を
震わす無数の声をす
くいとる。影のよう
にありながら飛び交
い響き合わせる言葉
たち――

ミラベルの数の書　ジェイムズ・メリル/訳=志村　正雄　
　　装画=伊藤　聚　装幀=亞令
　　菊変（218×142）　480ページ　　2005年1月30日発行　定価4950円　(本体4500円)　ISBN978-4-87995-632-3 C1098 \4500E

メッセージ:
誠実であれ
何かに
何にせよ
誠実であれ

ふたたび、さまざまな制約をくぐりぬけて出現する魂の交わり。そこで語られるのは、人間の歴史・宇宙の歴史――人間よ、人間は自分の宿命の支配者なのだ/忘れるな　偶然は存在しない。……そうであったのか。生の深く過酷な衝動こそが、宇宙の、地球の、人間の歴史なのだ。悩みまどう魂たちの天界から発するメッセージが、詩人のペン・詩の希求を介して私たちの胸にとどく。〔全米図書賞受賞作〕

山羊にひかれて　くぼた　のぞみ　
　　跋=藤本　和子　
　　A5　97ページ　　1984年10月20日発行　定価1760円　(本体1600円)　ISBN978-4-87995-086-4 C1092 \1600

夢人落書　久保寺　亨　
　　装画=伊藤　聚　装幀=青山　杳
　　A5変（192×147）　92ページ　　1992年9月25日発行　定価2420円　(本体2200円)　ISBN978-4-87995-284-4 C1092 \2200

空きビン、穴のあいたバケツ、酔っぱらってつまづいた石、あまり役にたつとは思えないものを手に、遠い宙への階段をのぼる…夢人の少しふらつく足どりで

夜の音　安藤　元雄　
　　装幀=吉岡　実　装画=落合　茂
　　B5変（255×164）　59ページ　　1988年6月10日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-157-1 C1092 \2400

夜の影の奥からひそやかに歩みより、闇の底から無音の囁きを送るもの、白身の内部にまつわる不定形なものの執拗な声に耳を澄ます連作/現代詩花椿賞受賞

楽浪　夏石　番矢　
　　装幀=加藤　光太郎
　　菊変（218×138）　132ページ　　1992年11月10日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-287-5 C1092 \2800

〈海痩せて浜痩せてこの大男〉音と記憶の木霊が呼びかわすニューハイクランド。海と雲と地霊が大地を越境し気圏に渦巻く人の生死を越境する。気鋭の最新句集

ラブホテルの大家族　藤井　貞和　
　　装画=元永　定正
　　B5変フランス装（224×170）　84ページ　　1981年5月25日発行　定価2420円　(本体2200円)　ISBN978-4-87995-035-2 C1092 \2200

詩情の水脈の遠い淵源に隠れ遊んでいたおびただしいものたちが、日常という地殻を割って、ぽっかりとふくれ出る、ひそやかなざわめきをあげる

緑字生ズ　紙田　彰　
　　題字=加藤　郁乎
　　菊変（218×138）　145ページ　　1987年7月30日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-136-6 C1092 \2400

混沌宇宙のただ中に何度かの死を繰り返しながら何度目かにあらあらしく誕生する純粋思考。混乱にほかならない宇宙の全体性をつらぬいて創造に加担する精神

るしおる　4　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変2ツ折（220×110）　41ページ　　1989年10月31日発行　定価550円　(本体500円)　ISBN978-4-87995-198-4 C1392 \500

るしおる　12　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変2ツ折（220×110）　46ページ　　1992年1月15日発行　定価550円　(本体500円)　ISBN978-4-87995-267-7 C1392 \500

るしおる　17　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変2ツ折（220×110）　54ページ　　1993年4月15日発行　定価550円　(本体500円)　ISBN978-4-87995-301-8 C1392 \500

るしおる　22　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変2ツ折（220×110）　65ページ　　1994年9月30日発行　定価550円　(本体500円)　ISBN978-4-87995-344-5 C1392 \500

るしおる　26　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　60ページ　　1995年12月10日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-371-1 C1392 P1030E

るしおる　28　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　56ページ　　1996年7月31日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-385-8 C1392 P1030E

るしおる　29　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　75ページ　　1996年11月30日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-395-7 C1392 P1030E

緊急翻訳紹介　96年度ノーベル文学賞受賞詩人　ヴィスワヴァ・シンボルスカ

るしおる　31　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　62ページ　　1997年6月30日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-410-7 C1392 \1000E

るしおる　32　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　66ページ　　1997年10月30日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-421-3 C1392 \1000E

るしおる　34　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　70ページ　　1998年7月25日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-440-4 C1392 \1000E

るしおる　35　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　66ページ　　1998年11月10日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-446-6 C1392 \1000E

るしおる　36　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　84ページ　　1999年2月28日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-454-1 C1392 \1000E

るしおる　38　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　75ページ　　1999年9月30日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-466-4 C1392 \1000E

るしおる　39　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　89ページ　　1999年12月31日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-475-6 C1392 \1000E

るしおる　42　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　76ページ　　2001年1月15日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-504-3 C1392 \1000E

るしおる　43　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　78ページ　　2001年5月15日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-511-1 C1392 \1000E

るしおる　44　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　66ページ　　2001年8月31日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-520-3 C1392 \1000E

るしおる　45　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　84ページ　　2001年12月31日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-535-7 C1392 \1000E

るしおる　46　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　88ページ　　2002年4月30日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-541-8 C1392 \1000E

るしおる　47　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　90ページ　　2002年8月10日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-551-7 C1392 \1200E

るしおる　48　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　90ページ　　2002年11月15日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-556-2 C1392 \1200E

るしおる　49　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　80ページ　　2003年3月15日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-568-5 C1392 \1000E

るしおる　50　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　100ページ　　2003年6月30日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-577-7 C1392 \1200E

るしおる　51　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　80ページ　　2003年10月10日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-591-3 C1392 \1000E

るしおる　52　
　　装幀造本=菊地　信義　表紙装画=若林　奮
　　菊変（220×220）　94ページ　　2004年1月15日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-598-2 C1392 \1200E

るしおる　53　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　124ページ　　2004年5月10日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-606-4 C1392 \1200E

われらは員数を拒まれていた。
われらを数えるのは空無を計量するに等しかった。
――時里二郎

るしおる　54　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　120ページ　　2004年8月10日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-616-3 C1392 \1200E

人々は彼らに叫んだ、彼らに叫んだ――ああ!――叫ばぬわけがあっただろうか?――戻ってこい、ああ!　われらの間に戻って来い、と……されど、否!　彼らはむしろ彼方へと飛び去ったのだ、風と共に身を滅ぼしに!
――サンジョン・ペルス/有田忠郎=訳

るしおる　55　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　128ページ　　2004年12月10日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-627-9 C1392 \1200E

一度の、ああ、たった一度の春だけで開花には十分にすぎる。
――ライナー・マリア・リルケ/古井由吉=訳

るしおる　56　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　128ページ　　2005年3月15日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-635-4 C1392 \1200E

まちがひなくこのわたしです。
わたくしです。それがしです。
自首します、自首します。
えゝ、ここで。えゝ、いま、ここで。
えい！
　　　（スッテンコロコロ
　　　　　　　　　　　　　　コロコロリン）
――入沢康夫

るしおる　57　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　112ページ　　2005年6月25日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-642-2 C1392 \1200E

言語というストックなどど
こにもないのである。そん
な「もの」が人体のなかにな
いのはもちろんのこと、国
家のうちにも民族のなかに
もない。ただ諸言語として
無数の意味が名づけをとも
なって浮遊し、名づけられ
た意味の湖がイメージとと
もに流れてやまず、そんな
諸言語が史上に無数にあっ
て、諸言語と諸言語とのあ
いだには境界が曖昧につづ
いて、ときに意味がかすれ
たり周辺で失われたりする。
――藤井貞和

るしおる　58　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　128ページ　　2005年9月30日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-652-1 C1392 \1200E

坂の上、海よりも高く、杉の木よりも高く、彼らは眠る。

鉄の空がその記憶を消し、鳩が去ってゆく

彼らの人差し指の方角へ、その千切れた躯から東にむかって。
――マフムッド・ダルウィシュ/四方田犬彦=訳

るしおる　59　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　116ページ　　2005年12月30日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-662-0 C1392 \1200E

幾つもの言葉が一纏りの声としてしか届かなくなりつつある時刻、柔らかい布に身は包み、いよいよ受け身だけの存在となり、扉を閉め、眠りに沈んでゆく時、目を閉じたあと光源はどこへ行くのか、行ってしまったものたちはさらにどこへ行くのか……
――関口涼子

るしおる　60　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　118ページ　　2006年4月15日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-671-2 C1392 \1200E

名を訊いたら、ゴドノフ――といった。何処のゴドノフ？――と尋ねたら口籠ったが、ここのゴドノフ――と答えて少し笑った。彼はもう私の尻を噛んでいて、答ながら私の肉を咀嚼した。彼の頑丈な顎から垂れた私自身の肉片が青白く光っていた。痛くはなかった。痛いのは砂に当たって波状にうねる日の反射が目に当たるときだった。多分そのせいで私の目は赤かった。ゴドノフは私の目を覗き込み、遠慮しいしい私の肉を噛んでいた。私といえば遠慮しいしい死んでいくらしかった。
――粒来哲蔵

るしおる　61　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　112ページ　　2006年7月25日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-682-8 C1392 \1200E

誰も事実については知らない。
前方のがっしりとしたガイドの背中を見て、
未来を見ていると思いなさい。そして、彼から
距離を置きなさい（できれば）。
原則的に、人生はこことあそことの相違、
歩速を早めるのは、体を低くして
追いかけてくる者の音を聞いたときだけにせよ。
それが殺人者であれ、過去であれ。
――ブロツキイ/山本楡美子訳

るしおる　62　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　112ページ　　2006年10月25日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-688-0 C1392 \1200E

老年を口実に私が頼るのは、すべてを受け容れること。狂気のような赤い月を誘い込んでこの手で投下、死後のことを知らぬままに、火の玉を手がかりに廃地の光源をひねりだす
右の手で柔らかな意思を計測し、青い砂漠で卵を産む、頭蓋骨はあるか？　と問う
倉田比羽子
骸骨、骸骨…。穴ではない、それは瞳。私たちは見つめられている。穴ではない、それは口。かつて声を発し言葉を紡いだ舌。そこから風の音を聞いた。
山崎佳代子
骸骨先生は、そうして、このろくでもない世界のろく
でもない歴史の日々からやって来て、田舎町の名もない
連中の夢のなかを、ふんぞり返って歩いていた。
　今となっては、その骸骨でさえなくなって、山高帽と
古びた鞄の思い出だけとなって、そうしていた。
粕谷栄市

るしおる　63　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　120ページ　　2007年1月25日発行　定価1320円　(本体1200円)　ISBN978-4-87995-697-2 C1392 \1200E

わき腹に鰭がひらく。恥とはちがう。感情はない。子宮の抱く一個の太陽球が赤く黒く燃えさかる。生成だ。両性の。ハレーションを起こす。日傘をくるくる回し。鱗が逆立つ。ひかる。一片ずつ。ぎらぎらと。
――鈴村和成

るしおる　64　
　　装幀造本=菊地　信義
　　菊変（220×190）　176ページ　　2007年5月25日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-704-7 C1392 \2400E

読者の皆さまへ

「るしおる」64号をお届けいたします。

〈るしおる〉lucioleは、小さな蛍です。微かな光ではあれ、暗い地平を迷い行く光を発します。行く手を探りつつ、詩と文学と思考の根幹にじかにそっと手を触れたい、その枝先葉先からしたたる雫を掌に受けたい、と希っています。
これからもそうありたい、と希っています。

〈るしおる〉は今号を以ってしばらく翅をたたみ、新たな飛行に備える模索の季節に入ります。
長い間のご購読とご支持に深く感謝いたします。
これからの試みに対しても変らぬご支援をお願い申し上げます。
二〇〇七年五月　書肆山田「るしおる」編集部

ルナダンス　北爪　満喜　
　　栞=川口　晴美　装画装幀=伊藤　聚
　　菊変（218×128）　108ページ　　1988年4月25日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-153-3 C1092 \2000

坐り慣れたテーブルでお茶を入れる私はもう螺旋形気孔を抜けて大好きな月光の降る空でステッブを踏んでいる。多重化された宇宙を自在にわたる言葉

わが友、泥ん人　小長谷　清実　
　　装幀=加藤　光太郎　装画=安田　みつえ
　　A5変（195×142）　122ページ　　2006年8月10日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-678-1 C1092 \2500E

これはなんだ/なんなんだ/途方に暮れてピクピクしている/やわなもの　やわらかいもの/ココロかコトバか/影のようなもの/影のふるえのようなもの/世界とやらに共鳴し/!なんたる理不尽/ころころころころ転がって、世界の果ての/とばぐちで、無意味に跳ねて消えていく/――そういうわけだ/わが友よ……。第25回現代詩人賞受賞

惑星の蔓　イーディス・シットウェル詩集　　イーディス・シットウェル/訳=藤本　真理子　
　　写真=ビル・ブラント
　　四六　516ページ　　2011年7月30日発行　定価5280円　(本体4800円)　ISBN978-4-87995-824-2 C1098 \4800E

人間生命の永い歴史と地球の今現在の試行錯誤を貫くまなざし。悲嘆の底にある者がとらえる新しく来る者の血の息づき、そして暗い季節の氷結を灼き溶かす春の火/言葉の奔流に身をまかせ、意味の木霊を掴む期待の翻訳。図書館協会選定図書

私のうしろを犬が歩いていた　Hommage a Minoru Yoshioka　　るしおる別冊　　吉岡　実　ほか　
　　B6変（180×178）　129ページ　　1996年11月30日発行　定価3300円　(本体3000円)　ISBN978-4-87995-393-3 C1092 P3090E

ヴィクトリア　英国女王伝　　イーディス・シットウェル/訳=藤本　真理子　
　　装幀=菊地　信義
　　四六　432ページ　　2015年3月10日発行　定価3850円　(本体3500円)　ISBN978-4-87995-910-2 C1097 \3500E

技術変革と人類の進歩を信奉して希望のきざしはじめる世紀。その時代を形づくり、混迷もし悲嘆苦悩もする幾多の人々。その中を生き抜く一人の女王、一人の女性、一人の人間。そして時代をともにした数多の人間たちの懸命の生――歴史評伝文学の最高峰。

ヴイクトリア（英国女王：在位1837-1901）――国民は女王の中に、苦しみ悩む一人の人間を、自分たちと同じ法則に従い、同じ愛、同じ希望と恐怖に囚われている人間を今一度見たのだ。（本文より）　図書館協会選定図書

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