書肆山田発行年月日順書籍目録

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豆手帖から　季村　敏夫　
　　装幀=間村　俊一
　　B6変（180×120）　114ページ　　2012年6月25日発行　定価2200円　(本体2000円)　ISBN978-4-87995-851-8 C1092 \2000E

うなだれる　男よ
ここへ　来て
おおいかぶさればよい

無惨な三月、ありえぬものの現れの前で、ただ立ち竦む小さな背に。うろたえる旅の者をふりかえり、童子は駆けてゆくだろう。誰のものとも知れぬ遠い呼び声をたぐるように。

あおい、母　神泉　薫　
　　装画=大島　龍
　　A5変（210×136）　146ページ　　2012年7月25日発行　定価2860円　(本体2600円)　ISBN978-4-87995-852-5 C1092 \2600E

――そこにいたの？
――いつもいるんだね――

そうだ。翼を痛めた小鳥を凍える風からかばわねばならないから。
旅立つ小鳥たちが未知の光の方へと羽搏くのを見送らなければならない。
その囀りが歓びの声であることを信じなければならない。茨城文学賞詩部門受賞

難解な自転車　野村　喜和夫　
　　菊変（214×140）　208ページ　　2012年8月30日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-854-9 C1092 \2800E

ときおり私は
もう外の世界をみたくなくて
眼をつむることがある

…すると不意に現われる自転車。そしてまた不意に姿を消す自転車。どうしたんだろう。どうした訳合いによるのだろうか。そもそも「在る」ってどういうことなんだろう…

出てこいよ
…

悲鳴に先立たれて
おまえは在る

第50回藤村記念歴程賞

蟬坂　植村　秋江　
　　装画=杜　みち子
　　A5　146ページ　　2012年9月5日発行　定価2860円　(本体2600円)　ISBN978-4-87995-853-2 C1092 \2600E

夕陽のかげりはじめた坂を下る。やや足早に。あるいはゆっくりと、やさしいきもちになって。明日？明日のことはわからないけれども、そっと背をおす風に思いをあずけている。第44回埼玉文芸賞詩部門、第18回埼玉詩人賞受賞。

凱歌　笹田　満由　
　　装幀=亞令
　　四六変（186×116）　46ページ　　2012年9月15日発行　定価1100円　(本体1000円)　ISBN978-4-87995-855-6 C1092 \1000E

沈黙よ、歌え――
遠くひそかに…光をこらえて…

The Wasteless Land. VII　田中　宏輔　
　　装幀=亞令
　　A5変（210×132）　120ページ　　2012年10月15日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-856-3 C1092 \2500E

引用詩集

キンディッシュ　kindisch　　阿部　日奈子　
　　装画=鳩山　郁子　装幀=安達　義寛
　　菊変（214×138）　122ページ　　2012年10月15日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-857-0 C1092 \2500E

「いまここに
秋空のかなたから到来するのは
見つめあうだけで生計が成りたつユートピア」

これは子供じみた（kindisch）夢想だろうか、
それとも紐帯の刷新だろうか？

災厄と身体　破局と破局の間から　　季村　敏夫　
　　装幀=菊地　信義
　　四六　144ページ　　2012年10月25日発行　定価1980円　(本体1800円)　ISBN978-4-87995-858-7 C1095 \1800E

今、私たちは何をおもうべきなのか。何をおもうのか。
災禍と惨事の狭間に身を置くより術のない者として。
偶然、生きて在る者として。
「いたましきこと」に目を閉ざすことができぬまま。

プロスペローの庭　相沢　正一郎　
　　装幀=亞令
　　A5変（210×132）　76ページ　　2012年11月10日発行　定価2640円　(本体2400円)　ISBN978-4-87995-859-4 C1092 \2400E

そこでも、
日々の難儀はつぎつぎに到来する。かすかなたよりをよすがにとぼとぼ歩む。たよりないたよりであっても何かがみつかるかもしれない。目覚めのとき、耳底に響くかすかな葉ずれの音。小さな手がかりのような。私は颯颯たる風となる。草を薙ぎ樹を躱し…カーテンにからまり自転車にぶつかり……足跡の隠されている道をみつける。

秋韻　重延　鈴人　
　　装幀=亞令
　　A5変（210×140）　116ページ　　2012年11月15日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-860-0 C1092 \2500E

枯れ枝でつるし柿を見ている鴉。
枯れ枝でつむじ風を待っている鴉。

動乱の朝をたえている彼の頭蓋にはまるい小さな青空が映っている。
口を開けて闇をそっと吐き出す。
それから彼は飛び去り、狂風にとけ入る。
次の朝、その次の朝も……。

日々の、すみか　りぶるどるしおる77　　季村　敏夫　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　128ページ　　2012年12月10日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-861-7 C1392 \2500E

失われる。失われつづける。破局の現前と圧倒に心身をさらすしかない人間について。
季村敏夫詩集
そえがき=鵜飼哲「旅のさとり」/細見和之「災厄のただなかで書くこと」

「どこから来て、どこへ」答えを求める問いは禁じられ封じられる。日付すら忘れ、戻りつつ逆らう。（…）道のべの風は、どんな輝きでほほえむのであろうか。

夢階　ゆめのきざはし　　松沢　桃　
　　装画=松沢　桃
　　A5変函入（188×148）　104ページ　　2012年12月12日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-862-4 C1092 \2500E

不意に往ってしまった人の背影によびかける……
よりそって運ぶ歩一歩が影をより深くするだろう。

光源なき灯台　相澤　啓三　
　　装幀=亞令
　　A5変フランス装（210×142）　218ページ　　2012年12月10日発行　定価3300円　(本体3000円)　ISBN978-4-87995-864-8 C1092 \3000E

韻律の桎梏ありて晩年の四行詩連(カトラン)といふ自在リルケの
内股の冷気うつそりつくばへり内発のリズム失せて残生

誤読の飛沫(しぶき)　りぶるどるしおる50　　岩成　達也　
　　装幀=亞令
　　四六変（190×120）　238ページ　　2013年1月25日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-863-1 C1310 \2800E

いまここに生きて在ることに「無限」はどのように現れるのか。
岩成達也気ままな、しかし必至の読書がもたらす思考の滴の行方を追う。

ルーセル/ル・コルビュジェ/ムーア/前田英樹/黒田成幸チョムスキー/ヴァレリー/リクール/アウグスティヌス/ウィトゲンシュタイン/レヴィナス/ボッロミーニ/エゴン・シーレ……

ローマで犬だつた　石井　辰彦　
　　装幀造本=白井　敬尚
　　B5横　88+24ページ　　2013年1月10日発行　定価3300円　(本体3000円)　ISBN978-4-87995-865-5 C1092 \3000E

一冊の書物に封じられた
一二五〇首の短歌――。
それは一二の章で構築された
ただ一篇の詩でもある。
あらゆる意味で型破りな
古今未曾有の一篇の詩――。
そこに記録されているのは、
熟み果てた詩歌の郷土を棄て
交響する言葉の煉獄を経めぐる
孤独な旅人の声だ。

青痣色のインクで
書き綴られた、
流離う詩人の
魂の一書――。

アナザミミクリ an other mimicry　藤原　安紀子　
　　装幀オブジェ=勝本みつる
　　菊変（218×144）　132ページ　　2013年1月30日発行　定価2860円　(本体2600円)　ISBN978-4-87995-866-2 C1092 \2600E

こころなどというものを語れぬように高速でばくはしていくサンクチュアリであそぼうよ

聖域は
地上にあって
重力がない
そこに戯れる
ミミクリ（擬態）たちの
告白

第31回現代詩花椿賞受賞

いろはにほへと　菊地　隆三　
　　題字=熊谷　守一　装幀=亞令
　　菊変（194×152）　144ページ　　2013年2月5日発行　定価3080円　(本体2800円)　ISBN978-4-87995-867-9 C1092 \2800E

生きることをまっすぐ見つめ、死ぬことはしょうことなしにはすかいに見やり、すこうしは笑ってもみる――先ハ　アル　マダ　マダ　アル…

茶摘みの頃　短い昔の話　　たべ　たけみつ　
　　帯=金田　久璋　装画=森　雅代
　　A5変略フランス装（196×126）　58ページ　　2013年2月20日発行　定価1980円　(本体1800円)　ISBN978-4-87995-868-6 C1092 \1800E

若狭の湖畔にひたむきに生きた一族の、哀切な一時代のクロニクル。愛犬ブーメランに向かって、方言をまじえながら思いを込めて優しく情感豊かに歌い語る。老練なフランス文学者の久々の散文詩集――金田久璋（詩人・民俗学者）

レモン　青山　雨子　
　　カバー写真=渡邊　博史　装幀=青山　咲子、亞令
　　A5変（196×138）　76ページ　　2013年2月25日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-869-3 C1092 \2500E

雪と霜はどうちがうの。――どうだったろう。問が投げ込まれたうす暗がりの奥にレモンがある。…いや少しちがうようだ。…レモンのようなものがある…レモンに見えるものがある…

明るい青色の石　蟹澤　奈穂　
　　装画=蟹澤　奈穂　装幀=亞令
　　A5変（196×138）　102ページ　　2013年3月5日発行　定価2750円　(本体2500円)　ISBN978-4-87995-870-9 C1092 \2500E

強くにぎりしめていた
あなたのてのひらを開くと
明るい青色の石があらわれた

…それは明日という夢の底に落ちてゆく時を前にして震えている。そして、まだ見えない遠くへ投げられる。

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