1997年6月28日に何が起こったのか

 すでにお伝えしたように、6月28日(土)に東大駒場寮である事件が起こりました。
このページでは、寮委員会名で出された抗議ビラを掲載してきました。ところが、その
後入手した東大教養学部当局による文書は驚くべきもので、事実関係の主張からして寮
委員会のビラとはまったく違うのです。寮生の運動を支援する立場でこのページを作っ
てきた私でさえ、当日の現場を直接は見ていないということもあり、学部文書を見たと
きには両者のあまりの違いに当惑しました。事実関係の認定からして正反対の文書を
見せられれば、どちらの主張も信用できなくなります。しかし、学部には、ウソをつ
いてきた前科があります(具体例については、ここを参照)。情報の撹乱によって、
第三者の関心を奪うことができたときに利益を得るのも、寮生の側ではなく、学部当局
の側です。

 そこで、私なりに両者の文章をもう1度読み比べ、両者の主張のどこがどう違うのか、 それが何を意味しているのかをじっくり考えてみることにしました。以下は、そのよう にして考えた結果をまとめたものです。ですから、この文章は、支援する会や駒場寮委 員会とは無関係です。しかし、私は駒場寮存続を支援していますし、昨年4月の電気、 ガス停止以来、東大教養学部当局は許容限度を越えたと思っていますので、そのような 立場から来るバイアスはあるかもしれません。それでも、主としてkomaryou MLを通じ て得た資料を元に、予断をできる限り排除して書いたつもりです。  画面の小さい方には見辛いかと思いますが、まずは両者の文書を横に並べて表示しま す。左側の寮委員会文書は、これまでもこのページで紹介してきたものです。右側は、 2つの学部文書から構成されており、上のものは学部掲示板に掲示されていたというも の(以下7/4文書)、下のものは7月7日付学内広報に掲載されていたというものです( 以下7/7文書。私はkomaryou MLに流れてきたものしか見ていないので、伝聞形になって しまいますが)。色が付けられている部分は、私が両者の文書を読み解く上で鍵になる と考えている箇所です。

駒場寮委員会教養学部当局

東京大学教授会構成員はその責任を全うせよ。


暴力ガードマン殴る蹴る
教職員200人、傍観しつつ談笑
学生20数名ケガ、4名病院へ

 6月28日(土)にキャンパスプラザ建設が始まったが、これは駒場寮北寮裏
口及び渡り廊下に掛かるように設計されていた。学部側は、ずらして掛からな
い様にすると明言し続け、前日になって「可能性を模索したが無理だった」、
まあよくやる手だ。学生は抗議の意味をこめて工事の阻止行動を行ったが、約
300名のガードマンにより排除された。その際に1人をガードマン十名程度で押
さえつけ殴る蹴るの暴行を加える様な事態が続出し、学生20数名が負傷、うち
4人は救急車で病院に運ばれた。学部長室<大森弥教養学部長(政治学)・山
中圭一評議員(英語)・浅野摂郎評議員(物理)・永野三郎学部長特別補佐
(情報・図形)ほか総長補佐2人。うち文系からは、フーコー研究者(!)石
田英敬(仏語)>に召集されて来た約二百名の教職員達は止めようともせず、
無関心を装いつつ歓談。中にはにこやかに写ルンですで写真をとっている教授
までいる有様。我々は「東京大学(その中に大学の構成員である学生も入るの
かどうかは、学生次第だ)」の承認の下に行われたかかる暴力行為を決して許
さない。
 ガードマンは朝から荒れていた。朝8時に現場監督・小林寛道三鷹特別委委
員長<総合文化研究科教授・『100mを速く走るゼミ』開講中。ちなみに彼
に指令を出す人間(=学部長室)は現場ではなく101号館にいる。自らは責
任を取らずに、小林さんを矢面に立たせるわけだ>が工事開始を宣言。阻止し
ようとした寮生に対しガードマンはこれをひき離すのみならず「正当防衛だ」
などと叫びつつ暴行を加えた。この中で1人は髪をつかまれて鉄の板の角に額
をぶつけられ、横にまっすぐ切って救急車で運ばれた。
 学部は全く無関係な寮風呂にまで手を出した。これに怒った1人がそちらに
向かったところ、突然約20名のガードマンが突撃して物影につれ込んだ。「見
張りを立てろ!学生を入らせるな!見させるな!」と信じられないような言葉
を吐いた後、彼を5人がかりで押さえつけて何回も何回も蹴った。実に約5分間、
彼が気を失って白目をむくまでリンチを続けたのである。そして他の学生や教
官達がそちらに向かうとコロリと態度を変え、「大丈夫か!」と介護の振り。
彼ももちろん病院に運ばれた。
 学生は更に、裏口のひさしや渡り廊下の屋根に座り込み、体を張って工事を
止めようとした。ガードマンもこれを引きずり下ろそうとしたが失敗、ついに
は学生多数がのったままその柱を破壊。屋根の上にのっていた2人はグラグラ
と揺れたスキにガードマン達の袋叩きにあった。ガードマンは口々に「千葉に
来い、千葉!」と叫んでいたと言う。教職員はもちろん止めようともしない。
そして最終的には、学生4、5人が乗ったまま北側渡り廊下を破壊し、学生を
3mの高さから屋根ごと叩き落とした。かくして渡り廊下は壊され、ひさしの
上に十数名の学生が残った。午前11時、事態は膠着状態に陥った。
 午後2時40分。小林寛道はトラメガ(ハンドマイクのでかいやつ)で「総攻
撃を開始します」と宣言、事態は急変した。北寮の窓という窓からガードマン
が一斉に進入。正門側からはあの生井澤(遅く来て30分でも1時間でも授業
を延長する物理教官)を先頭に十数名のガードマンが「死ね!」「死ねコラ!」
と叫びながら突入。更にはユンボ(クレーンとキャタピラの付いた工事車両)
でもって北寮裏口の扉を破壊し(!)、ここからも入ってきた。彼らは止めよ
うとした寮生に見境もなく飛びかかった。電気を切られて真っ暗な中での乱闘
で寮生一人が眼球を負傷、失明の恐れありということで今日、精密検査を受け
る予定である。
 ひさしの上の寮生も寮内に進入したガードマンに引きずり込まれ、この時床
に叩き付けられるなどして寮生が更に負傷した。そして遂にひさしと入口階段
も破壊された。現在、北寮裏口にはフェンスが立つのみである。
 以上列記してきた明らかに警備業法に違反する暴力行為を、教官達は一貫し
て傍観、無言の承認を与え続けた。「勝手なマネすんじゃねえ!」などと怒鳴
りつつ、テレビカメラが入るとにこやかに「君たち、やめた方がいいんじゃな
い?」とのたもうた教官達に問う。他ならぬ学問の府に於いてかかる暴力がま
かり通って良いのか? もしそれが正しくないとするならば、昨日の行動を教
育者としてどう説明するつもりなのか?
<裏面:当日の挙に参加した教官リスト>

当日の挙に参加した教官名簿(改訂版)

 船曳建夫(教授・『知の技法』『知の論理』『知のモラル』共編者・文化人
類学)・豊島洋子(助教授・生物)・小林康夫(教授・『知の技法』『知の論
理』『知のモラル』共編者・仏語)・川原貴(助教授・体育)・鍛冶哲郎(助
教授・独語)・松浦寿輝(助教授・著書:『ウサギのダンス』『松浦寿輝詩集』
『冬の本』『鳥の計画』(以上詩集)『折口信夫論』『エッフェル塔試論』・
仏語)・石光泰夫(教授・独語)・松原隆一郎(助教授・著書:『格闘技とし
ての同時代論争』・経済学)・川中子義勝(助教授・独語)・増田茂(教授・
化学)・古田元夫(教授・元東京大学教養学部教職員組合委員長・歴史学)・
兵藤俊夫(教授・物理)・川戸佳(教授・物理)・刈間文俊(教授・三鷹特別
委委員・『火種ー中国知識人の良心の声ー』編訳者・中国語)・生井澤寛(教
授・特別委員・物理)・池田信雄(教授・特別委員・ヴィム・ヴェンダース
『ベルリン天使の歌』字幕共訳者・独語)・石田英敬(教授・仏語)・玉井哲
雄(教授・情報図形)・高橋均(助教授・スペイン語)・小林寛道(教授・特
別委員長・体育)・遠藤泰樹(助教授・化学)・佐々真一(助教授・物理)・
小宮山進(教授・物理)・大澤吉博(教授・教務委員長・英語)・石井明(教
授・国際関係論)・杉橋陽一(教授・独語)・下井守(教授・化学)・三角洋
一(教授・国漢文学)・甚野尚志(助教授・歴史学)・松田良一(助教授・生
物)・徳盛誠(助教授・元駒場寮委員長・学生委員・国漢文学)・村田純一
(助教授・『知覚と生活世界』・学生委員・科史科哲)・山脇直司(助教授・
学生委員・社会思想史)・松岡心平(助教授・国漢文学)・高田康成(教授・
英語)・瀬川浩司(助教授・化学)・高野穆一郎(教授・学生委員・化学)深
代千之(助教授・体育)・染田清彦(助教授・化学)・小牧研一郎(教授・物
理)・生越直樹(助教授・朝鮮語)

 読みにくくてごめんなさい。これはあくまで暫定版です。現場にいたけれど
この中に入っていない教官は、駒場寮委員会までご連絡下さい。名簿に書き加
えさせて頂きます。当日何が行われたのかを、是非自分の近くにいる諸教職員
に聞いてみて下さい。コミュニケーションをおそれる必要はありませんし、何
より彼らには彼らの行為を説明する責任があります。当日その場にいなかった
教官が免罪されるかと言えばそうではありません。彼らも教授会構成員の一員
である以上、その場で行われたことに関しては責任を持ちます。その場に来な
かったことによって責任逃れをしようというのなら、それはここに名前を挙げ
た教官以上に無責任な行為であることを指摘しておきます。当日何が起こった
かについては、ビデオ・写真等で今後もお知らせしていく予定です。駒場寮周
辺及び駒場寮「問題」周辺の事態に、今後ともご注目下さい。

駒場寮委員会
お問い合わせは03ー3467ー3009(代)まで

教養学部は訴える!


                           平成9年7月4日
                           東京大学教養学部

6月28日の工事について
 教養学部は、6月28日(土)、キャンパス・プラザ建設に必要なフェンス
設置工事を実施しました。この工事には、多目的小ホールの建設用地にかかる
旧北寮建物裏口付近の渡り廊下および庇の取り除き工事が含まれていました。
取り除き工事の対象となった渡り廊下や庇は、すでに3月25日に東京地方裁
判所から明け渡し仮処分命令を受けていました。教養学部では、この仮囲い設
置の実施を1ヶ月以上前から、旧駒場寮自治会を含む学生自治団体に対して、
同工事の実施を明らかにし、さらに、工事の前日にあたる6月27日(金)に
は、教養学部自治会委員長および旧駒場寮自治会の代表者に対し、翌日の工事
の実施を予告し、両名から「わかりました」という返答をえていました。

繰り返された無法な妨害行為
 6月28日(土)早朝7時すぎから、学外者をふくむ二十数人の集団が裏門
、炊事門に妨害車両を配置し、工事車両の進入を妨げる行動をとり、さらに、
建設業者が工事を開始しようとしたところ、工事重機の移動を、軽トラックで
妨害するなどして、実力で阻止し、重機によじ登る、ゲートによじ登り高所か
ら放尿に及んだり、制止しようとした警備員に複数の負傷者を出す事態になり
ました。さらに、この集団は、旧北寮建物裏の庇部分および渡り廊下の屋根に
よじ登り、教官と警備員の顔に消火器を間近から噴射したり、熱湯を浴びせか
けたり、投石や放水を行い、さらには、重機の運転手めがけて消火器を投げお
ろしフロントグラスを砕くなど目に余る無法な行為を繰り返しました。
 学部は、この集団に対し、威力業務妨害、公務執行妨害、傷害にあたるこれ
らの危険な行為をやめて現場から立ち去るように警告し、現場にかけつけた旧
寮生側二名の弁護士たちを通して、違法な行為をやめるよう説得を続けました
。同弁護士たちは、午後12時30分から、および、午後1時30分からの二
度にわたって、彼らに対し違法な妨害行為をやめるよう説得を試みました。し
かし、学外者を含め旧学寮建物に居座る者たちの一部はこれを聞き入れず、庇
部分に居座り工事妨害の姿勢をとり続けました。学部は、午後2時40分すぎ
、旧北寮裏口扉をパワーシャベルで取り除き、ベッド、机、自転車、梯子など
で構築されたバリケードを排除するとともに、教官および警備員が建物管理権
を行使して、旧北寮内に入り、二階庇部分を占拠していた者たちを排除し、同
日の工事を午後5時20分すぎにようやく完了することができました。

大学の深刻な危機について
 教養学部は、本年3月及び4月に行われた東京地方裁判所による明け渡し仮
処分の執行における阻止行動、同4月の「キャンパス・プラザ」着工の妨害行
動、さらには、話し合いの期間として設定されていた5月中に引き起こされた
職員の監禁事件、用途廃止の後封鎖されていた旧寮風呂建物を不法に使用した
コンサートの実施など、ここ数カ月来繰り返されてきた学外者を含む者たちに
よる暴力行為・違法行為に対し、重大な危機感を持たざるをえません。繰り返
されるこれらの無法な行為は、特に次の三つの点において、極めて深刻な危機
を大学にもたらすものです −
 1) これらの者たちの行動は、いかなる話し合いの努力をも聞き入れよう
   としない無法な態度の現れであり、法律上許容される範囲をはるかに逸
   脱する行動をとって省みることのないものであること。
 2) しかも、これらの集団を構成する者の多くが、教養学部および東京大
   学とは、なんら関係のない学外の人間たちであり、大学の自治のいかな
   る効力も及ばない無法な者たちであること。
 3) さらに、口先では、大学の“自治”を主張する旧寮生らが、これらの
   学外者をコントロールする能力を喪失し、大学のルールを無視し、法の
   ルールまでをも逸脱して、自ら大学の自治を掘り崩していること。
 今では、ほんの一握りの集団となって違法な妨害行為をつづける者たちは、
多くの一般学生から孤立し、問題の解決にあたる教官や職員の努力を非難した
りしています。しかし、これらの者たちに対して、教養学部はもう一度呼びか
けます。自分たちの行動をもう一度よく考え直してみて下さい。そして、それ
が、社会的な支持を得られるような大義ある行動では決してないことに早く気
がついて下さい。現実にめざめ、盲動を即座に停止し、無法な学外者を排除し
、学生の自治を回復して、話し合いによる解決の道を歩んで下さい。

(7月7日付学内広報)

「旧駒場学寮廃寮後の駒場キャンパス内の動き」(続報)


  教養学部は、多文化交流施設「キャンパス・プラザ」建設のため、6月28日
(土)、旧駒場学寮明寮跡東側から旧北寮建物に隣接する渡り廊下部分と旧寮
食堂北側空き地を囲む位置に、仮囲いを設置する工事を実施した。これは、東
京地方裁判所による旧駒場学寮明寮建物とこれに隣接する渡り廊下部分の明け
渡し仮処分執行(3月29日ならびに4月10日)をうけ、キャンパス・プラザ建設
予定地周辺の埋蔵文化財調査(5月上旬)と旧駒場学寮明寮取り壊し工事完了
(6月下旬)によってキャンパス・プラザ建設準備が整い、その着工に向けて
建設予定地全体を囲い込むために行ったものである。
  当日の早朝、建設業者がこの工事を開始しようとしたところ、旧駒場学寮お
よび中寮に居残る一部の学生と多数の学外者が、実力による工事妨害を始めた。
これらの者たちは、工事用重機の移動を軽トラックで妨げたり、重機によじ登
るなどし、こうした行為を制止しようとした教官や警備員に殴る蹴るの暴行を
加えた。また、この集団の一部は、取り壊す予定の渡り廊下屋根や北寮裏出口
庇の上に登り、これを排除しようとした警備員の顔面に向けて消火器を噴射し
たり、熱湯を浴びせたり、放水や投石を行うなど目に余る無法行為を繰り返し
た。あげくの果てに、重機の運転手めがけて消火器そのものを投げつけフロン
トガラスを破壊させるなどの暴挙に出た。旧駒場学寮北寮に隣接する渡り廊下
部分は、東京地方裁判所によって既に大学に明け渡されているものであり、工
事についても学生自治団体に対し概要を提示し、予告していたものである。ま
た、今回の工事区域内にあり既に用途廃止となっていた旧寮風呂には、不法侵
入者が絶えず、度重なる学部の警告にもかかわらず営利団体によって演奏会が
強行されるなど違法行為が続いたため、その一部解体を行ったところ、北寮お
よび中寮に居残る学生と学外者らの一部が妨害を行った。こうした行為は、傷
害罪や威力業務妨害罪等に当たる犯罪行為であり、学部は「工事妨害」を直ち
にやめるよう警告を行ったが、これらの者たちは全く聞き入れなかった。一部
の学生や多数の学外者たちによる一連の暴力行為は、「キャンパス・プラザ」
建設を遅らせ、多大な損害を大学に与えるものであり、とうてい許されるもの
ではない。なお、同日の板囲い工事は、難航したものの、午後5時20分過ぎに
は完了した。
                              (大学院総合文化研究科・教養学部)

  1. なぜ学生は抗議行動を行ったのか(青字
  2.  学部文書は、どちらも、学生が意味もなく暴力のみを目的として工事を妨害したとい うストーリーになっています。それに対して、学部側は、裁判所が下した明渡し決定に 従っているだけで、当然の権利を行使している、ゆえに学部は正しいというわけです (しかし、明渡し仮処分決定というものが、裁判所と国=東大の合作による不当な ものであることについては、ここを参照。また、仮処分という制度自体の驚くべき 実態については、ここを参照。)。この2つの前提が消えれば、学部側文書の合理的 な論拠はなくなります。  まず、前者について考えてみましょう。学部7/4文書は、学生とは以前から合意の上 の挙であると書いていますが、寮委員会文書は、前日になって学部の態度が変わったこ とを示唆するとともに、学部の二枚舌にうんざりしたという口調になっています。また、 この事件については、赤旗6月29日(日)15面にも記事が掲載されており、そこには教 養学部学生自治会委員長の「きのうも当局と話し合い、今後とも話し合っていくこ とになっていた。なのに、暴力を使って物事を押し通すことは、最悪の行為であ り、教育者として恥ずべき蛮行だ。当局の猛省を求める」という発言が引用されて います。当局7/4文書には、同じ自治会委員長が「わかりました」と言ったと書かれて いますが、「今後とも話し合って行こう」と言われたら、「わかりました」と答える はずです。また、その7/4文書でさえ、28日に実施されると説明していたのは、仮囲い 設置の実施であって、渡り廊下と庇の取り除き工事であるとは書かれていません。  そして、当局7/7文書では、学生に対して予告しただけで、合意を得たとは書かれて いません。予告しておいたから、工事に取り掛かってもよいという姿勢に開き直って いるわけです。合意はなかったと見て、間違いありません。今後とも話し合っていく と言いながら、翌日の実力行使。学生が抗議行動に出る理由は明らかです。そして、 合意があったかのように書かれている当局7/4文書には嘘があるということです。

  3. 明渡し仮処分決定が明渡しを認めたのはどこまでか?(緑字
  4.  これは答がはっきりしていて、渡り廊下だけです。しかし、寮風呂北寮の庇、 入口階段、裏口扉も破壊されています。これらの箇所については、明渡し仮処分決 定の内容を越えるもので、学部当局は、自ら裁判所の決定を破ったということです。 これは今回初めてのことではありません(ここを参照)。学部文書の第2の前提である、 裁判所の決定に従ったまでだという主張も嘘なのです。  注目すべきは、当局が7/4文書と7/7文書とで明渡し仮処分の対象、破壊箇所の2点に ついて食い違っていることです。7/4文書では、庇も明渡し仮処分の対象であるかのよ うに書きながら、寮風呂を破壊したことに触れていません。それに対し、7/7文書では、 明渡し仮処分の対象が渡り廊下だけであることを認めながら、取り壊し予定が渡り廊 下と北寮裏出口庇だったと書いています。そして、7/4文書で認めた北寮裏口扉の破壊 については一言も触れていません。これは、学部当局自体、裁判所からお墨付きをも らった箇所以外の部分を破壊したことを認識しているために、うまく言い訳が付かな かったことを示しています。そもそも、北寮は学部=国自ら、明渡し仮処分申立を取り 下げざるを得なかった場所です(ここを参照)。その北寮の一部である裏口扉、庇、 入口階段を破壊していながら、裁判所の明渡し仮処分決定に従ったまでだという議論 はまったく成り立ちません。  学生が抗議に行かなかったら、一体何が行われていたのでしょうか?想像する のも恐い感じがします

  5. 当日何が起きたのか?(赤字
  6.  これは、両者の主張が真っ向から対立していて、一番当惑させられる部分です。学 生は、当局の暴力を言い、当局は、学生の暴力を言う。ここで見ていただきたいのは 次の写真です(サイバースペース文理研より無断借用)。 これを見れば、ガードマンが学生に暴力を振るったことが事実だということがわかり ます。 そして、次の写真を見れば、上に学生が乗っている屋根を重機で破壊したことも事実 だということがわかります。 当局文書は、これら自らの暴力を隠蔽し、寮生が一方的に暴力を振るったかのように 書いていますが、これも再び嘘だったと結論付けることができます。だいたい3mの高 さの屋根ごと学生を地面に叩き落とすようなことをすれば、どうなるか。悪くすれば、 死者が出る可能性だってあるでしょう。学部の方針に反対する学生は殺してもかま わないということなのでしょうか? 先に提出されている寮委員会文書にこれだけ 詳細に描かれている学生の負傷(重傷と言ってよい内容です)について、謝罪するど ころか、そんなことはなかったかのように振る舞う学部には、人間としての感性がま ったく欠如しているのでしょうか?  学部文書が自らの暴力を学内向け(7/4、7/7とも学内向け文書です)にさえ、公け にできなかったのは、それがあまりにひどかったからであり、また、虚偽の報告によ って学生を陥れるという意図があったからだと思われます。  問題は、学生の側に暴力があったかどうかですが、私はここでそれを考えるつもり にはなれません。その理由は次の通りです。

  7. 大学の自治とは何か?
  8.  これは以前も批判したことですが、学部当局は、ことあるごとに駒場寮存続運動に 学外者がいることを非難しています。しかし、私のようなOBも学外者、生命の危険に さらされた学生の親だって学外者、東大を成り立たせている税金を払っている人々の 大半だって学外者です。それら学外者からの批判を学外者であるという理由で聞かず にはねつける態度は、大学の自治とは何ら関係のないものです。  大学の自治という言葉には、時の権力の暴走を大学は冷静な知の立場で抑止して ほしいという学外からの期待が込められています。中世ヨーロッパの大学のような、 学内の治外法権を意味しているわけではありません。しかし、学外からの批判を 一貫して無視し、利益確保に汲々としている学部当局(CCCL計画などというものは、 学内エゴの塊です)は、中世ヨーロッパ型の大学の自治を要求しているように見え ます。  大学の自治という概念が社会的に認められている背景には、大学は学問と教育の場 であり、理性の府である(はずだ)という学外からの認識があります。実際のところ、 30年近く前の大学闘争によって、この認識は幻想に過ぎなかったということが明らか になってしまいました。大学のあり方について真剣に悩んだ教官、学生ほど、この時 期に大学を去っていったという逆説。そして大学の形骸だけが残りました。  一方で、「他者を基準にして自らの行為を考えよ」なる名言を含んだ『知のモラル』 を始めとする教科書群で大儲けしながら(「知の三部作」批判については、ここ、そ の著者たちの行動については、上掲の寮委員会文書を参照)、ここまでに述べてきた ように虚偽を重ね、挙げ句の果てには、居住者のいる寮の電気、ガスを止め(96年4 月)、話し合いによる解決を放棄して裁判所という学外に紛争を持ち出し(「法的 措置」の問題点については、たびたび引用しているこの文書を参照)、今回の暴力事 件に及んだ教養学部こそ、地に落ちた大学の自治を、さらにごみ溜めに掃き捨て ているとは言えないでしょうか?  そして、社会と自らとの関係を考えつくしたこのような文書を残している学生こそ、 社会に大学の自治の価値を再認識させる仕事をしているとは言えないでしょうか?

  9. 最後に(紫字
  10.  今までに述べたことから、少なくとも教養学部が虚偽の文書をばらまき、それによ って学生を誹謗中傷し、とうてい知的でも理性的でもない対応をしてきたことは明ら かになったと思います。また、6月28日の学部の行動が、法的にも多くの問題を孕ん でいることも、明らかになったと思います。学部当局が口にする、“大学の自治”が 自分に都合のよい勝手なものだということも、明らかになったはずです。最後に、7/4 文書の紫に染めた部分をそっくり東大教養学部当局にお返ししたいと思います。
    ここ数カ月来繰り返されてきた東大教養学部当局による暴力行為・違法行為に対し、 私たち市民は重大な危機感を持たざるをえません。繰り返されるこれらの無法な行為 は、特に次の三つの点において、極めて深刻な危機を大学にもたらすものです −  1) 教養学部当局の行動は、いかなる話し合いの努力をも聞き入れよう    としない無法な態度の現れであり、法律上許容される範囲をはるかに逸    脱する行動をとって省みることのないものであること。  2) しかも、教養学部当局を構成する者の多くが、教養学部および東京大    学とは、なんら関係のないガードマンたちであり、大学の自治のいかな    る効力も及ばない無法な者たちであること。  3) さらに、口先では、大学の“自治”を主張する学部当局が、これらの    学外者をコントロールする能力を喪失し、大学のルールを無視し、法の    ルールまでをも逸脱して、自ら大学の自治を掘り崩していること。

[6.22シンポ資料集][いろは][吉田寮資料集]