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May 2452016

 両腕は翼の名残夏野行く

                           利光釈郎

と翼と鰭はみんな同じものだという。腕は翼として羽ばたいていたかもしれず、鰭として大海原を泳いでいたのかもしれない。夏野の激しいエネルギーのなかに身をおけば、人間としてのかたちがほんの束の間の仮の姿のようにも思えてくる。男でも女でも、大人でも子どもでもなく、ずっと自由な生きものとして夏野を行く。しかし、ひとたび夏野を出れば、また元のきゅうくつな人間に戻ってしまうのだ。夏の野が見せる束の間の夢である。〈葱坊主みんな宇宙へ行くごとし〉〈万緑へ面打つ鑿をそろへけり〉『夏野』(2016)所収。(土肥あき子)




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