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January 2912016

 五位鷺と寒雨の水面見てをりぬ

                           東藤涼子

醐天皇が神泉苑の御遊のとき五位の位を授けたという謂れで「五位鷺」。日本では本州以南で繁殖する留鳥である。分類としてはコウノトリの仲間のサギ科。全長六十センチメートル内外。頭と背は緑黒色,腹面は汚白色,翼は灰色。繁殖期には後頭から二本の長い白色の飾り羽がたれるのが特徴。夜行性で,夕方,水辺で首を縮めて獲物を待ち構える。狙う獲物は魚やカエルなどだが折しもの冷たい雨に思う様には獲物にありつけない。ただ悪戯に流れる時の中で五位鷺も作者もひたすらに水面を眺めて佇むのみである。野生は斯くに厳しい。<霙降り湖の船遅れけり><丸帯を卓に敷きたり節料理><待春の岸辺よ鳥類図鑑欲し>。俳誌「はるもにあ」(2015年3月号)所載。(藤嶋 務)


January 2812016

 冬うらら猫とおんなじものを食べ

                           寺田良治

倍青鞋の句に「水鳥の食はざるものをわれは食ふ」という句がある。空を飛んで遠くの国から渡りをする水鳥が食べるものは軽くて清い印象がある。その裏には肉をはじめあらゆるものを食べて生きている人間の猛々しさが隠されているのだろう。水鳥とおなじものを人が食するのであれば仙人のような気がするが、「猫とおんなじもの」は生活感が漂う。豪華ではなく、ささやかな食を猫と分け合って食べている様子とともに自分の食生活へのペーソスが感じられる。ごちそうや珍味と呼ばれるものに魅力も感じず、お前と同じもので十分だよと膝に乗せた飼いネコに話しかける。「猫まんま」はいいけど、キャットフードはいやだな。『こんせんと』(2015)所収。(三宅やよい)


January 2712016

 寝返ればシーツに絡む冬銀河

                           高岡 修

なる「銀河」であれば秋の季語である。空気の澄みきった秋の銀河ならば、色鮮やかな夜空に大きく流れるイルミネーションであろうけれど、「冬銀河」となればしんしんと冴えわたって感じられる。色鮮やかさを超えた神秘的な存在感を夜空に広げて、読む者に迫ってくる。中七「シーツに絡む」という表現によって、この冬銀河はどこやらエロティックな響きを秘めることになった。寝返る人が見ている夢のなかでも、冬銀河は恐ろしくきらめきを増していて、冴えわたっている。そのくせどこかしらエロスを孕んでいるように思われる。身を包んでいるシーツも、もはや銀河そのものと化して、身に絡んでいるのではあるまいか。姿美しい句になっている。富安風生の句に「冬銀河らんらんたるを惧れけり」がある。修には“死”をテーマにした句が多いけれど、他に「死するまで谺を使う冬木立」「虹の屍(し)は石棺に容れ横たえる」などがある。『水の蝶』(2015)所収。(八木忠栄)




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