2016ソスN1ソスソス2ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

January 0212016

 豆味噌つまみて二日の夜になり

                           鳥居三朗

知県生まれの作者にとって、豆味噌は故郷の味だったのか。そうは一度にたくさん食べられるものでもない豆味噌、つまむ、は、お酒のあてにしている感じもするし、重箱の隅のそれをちょこちょこ楽しんでいるとも思え、二日の夜、がまたちょうどよい頃合いだ。この句の調べは、四四四五、集中の一句前に〈おみくじからから吉吉初詣〉という句もあり、いずれもひとつひとつの言葉が破調のリズムと相まって心地よい軽みを生んでいる。〈地球より外に出でたし春の夜は〉。春を待たずに一人旅に出てしまわれた作者だが、今頃遥か彼方の地で楽しい時間を過ごしているに違いないと思えてくる。『てつぺんかけたか』(2015)所収。(今井肖子)


January 0112016

 初山河いのちのかぎり鶴のこゑ

                           淵脇 護

けましておめでとうございます。元旦のいかにも瑞祥に満ち満ちた風景が初景色。いつも見慣れた山河も年が改まると何と新鮮に見えてくることでしょう。筆者は鹿児島の方で、ここで言う鶴のこゑは出水地方の鍋鶴の声。古来鶴は瑞鳥とされているが今出水に渡来した鍋鶴が初山河の只中でいのちの限り鳴いている、何ともめでたい限りである。健康で命の限りを楽しめるものなら長生きもいいかも知れぬ。今年も皆々様に幸多かれとお祈り申し上げます。「俳句」(2015年1月号)所載。(藤嶋 務)


December 31122015

 大年の土間のバイクと日のすぢと

                           大石香代子

会の家は土間を作る余裕などないのだろうが、昔の作りの家は玄関の引き戸を開けると比較的広い土間があって、雨がひどい日などは自転車や外の植木などを取り込んだものだ。外と段差がない土間ならではの収納スパースはいろいろなことに活用された。ある家では軽自動車が両端ぎりぎり収まっていて、なんという運転技術。と驚いたこともある。おおみそかの日、家のうちもすっかり片付いて。今年一年働いてくれたバイクも磨き上げ、土間に引き入れた。引き戸の間から差し込む光は今年最後の「日のすぢ」でもある。ひと仕事終えて、ふっと目をやった先にあるひっそりとした大晦日の空気感が表現されている。『鳥風』(2015)所収。(三宅やよい)




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