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September 1792015

 雲海を抜けて時計の統べる国

                           黒岩徳将

い山に登ったときに頂上から見下ろす雲海は夏の季語であるが掲載句の「雲海」は飛行機で飛行するときの「雲海」を表しているように思う。この場合は無季の扱いになろうか。例えば海外リゾートの常夏の島や秘境と呼ばれる国を飛行機で訪れると、雲海を抜けて眼下に広がる国は日本のように何もかもがスケジュール通りではなくのんびりと時間が流れている。反対にそうした国から日本に帰ってくるとき、朝の出勤から会社の退社時間まで、はては人生の予定表まで時間で運行される国だと思うと雲海を抜けて人間がぎっしり詰まった街が見えてくるとちょっとうんざりかも。ミヒャエル・エンデの「モモ」に出てくる時間どろぼうを思う。一度日本の外に出ると日本の輪郭がかえってくっきりする。確かに私が生まれ育った国は「時計の統べる国」であるなぁ。『関西俳句なう』(2015)所載。(三宅やよい)




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