今日長崎忌。合掌。東京では秋の蝉が鳴きはじめました。(哲。




2015ソスN8ソスソス9ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

August 0982015

 たいようは空であそんで海でねる

                           てづか和代

日記の一行のような句です。夏休みに、海水浴に行った思い出でしょうか。童女は、波にたわむれ、海にただよい、砂浜のパラソルの下で寝ころんで、雲の流れを追います。太陽は、強烈な光を放射していて、目をつぶっても瞼の薄皮を突き抜けて、目の中はオレンジ色の光です。午後になって再び、波にたわむれ、海にただよい、砂浜のパラソルの下で寝ころんで、雲の流れを追います。さっきはまぶしくて目をつぶってしまったけれど、いまは、わきあがり始めた入道雲をじっと見続けることができます。午前中にパラソルの前方にあった太陽は、今、パラソルの後方にあるからです。このとき、8才のてづか和代さんは、たいようは空であそんでいることをしりました。夕方、民宿の窓から海に沈む夕日を見て、和代さんも、すっかり眠くなりました。またあしたあそびましょう。なお、掲句は、各国の児童が参加したハイク・コンテストから優秀作品をまとめた『地球歳時記』(1995)所載で、英訳も付記しておきます。The sun Plays in the sky and Goes to sleep in the ocean(小笠原高志)


August 0882015

 新涼や白寿へ向かふよき寝息

                           船橋とし

則的で安らかな寝息をたててぐっすり眠っている方は、向かふ、ということなので御年九十八歳ということになる。その穏やかな眠りを傍らで見守っている作者の気持ちに寄り添うように、窓から運ばれてくる新涼の風は心地よくやさしい。この句を読んでふと父を看取ったときのことを思い出した。それは静かで規則的な寝息なのだが少しずつ間遠になりながら、確実に終わりに向かっていった。縁起でもない連想で申し訳ないけれどその記憶が、よりいっそうこの句の、よき寝息、の健やかさを実感させた。毎年のことではあるけれど、暦とはうらはらに猛暑続きの毎日、新涼、の心地よさを実感できる日が待たれる。『輪唱』(2014)所収。(今井肖子)


August 0782015

 山深し語尾しつかりと三光鳥

                           有馬朗人

き声が独特で「ツキ(月)・ヒー(日)・ホシ(星)、ホイホイホイ」と聞こえるので三光鳥と名付けられた。ホイホイホイが馬を追う様にも聞こえ、別に馬追鳥という名もある。一般に鳥類ではオスが目立つ色彩や形態をとるが三光鳥ではくちばしと目の周囲がコバルト色でとても長い尾羽を引いている。夏鳥として東南アジアから日本に渡来してくる。夏休みは海へ山へと出掛けて何時もと違う生活が多くなる。そんないっ時、普段の人間関係から離れて自然に目を遣り耳を貸していると珍しい鳴き声が聞こえてきた。目の先には深い山、佇んでいるとまたしても遠くより「月日星、ホイホイホイ」の語尾ホイホイホイの最後まで聞き取れる澄んだ鳴き声がした。自分がめったに無い非日常の深山幽谷に立っているのだと思うと身が洗われたような気がするのだった。人間たまには非日常に身を置くのも良いものだ。「俳句」(2014年8月号)所載。(藤嶋 務)




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