いまさらのようだが、NHKのニュース編成はおかしい。(哲




2015ソスN6ソスソス13ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

June 1362015

 入梅を告ぐオムレツの黄なる朝

                           山田弘子

の時期に雨が降らなければ水不足になるしあれこれ育たないし困るのだ、と分かってはいる。それでも〈世を隔て人を隔てゝ梅雨に入る〉(高野素十)、これからしばらくは雨続きですよ、と宣言されてなんとはなしに気分が沈むのが梅雨入りだろう。掲出句で入梅を告げているのは朝のテレビ、作者はちょうど朝食のオムレツの前に座ったところだ。雨模様の窓を見つつ、当分はこの雨が続くのかやれやれ、と思いテーブルのオムレツに目をやると、光を思わせる卵色とあっけらかんと赤いケチャップがいつにもまして鮮やかに見え、よし、という気分になる。そして、隔てるどころかその日もたくさんの人に明るい笑顔を見せて過ごしたにちがいない。『彩 円虹例句集』(2008)所載。(今井肖子)


June 1262015

 翼あるものみな飛べり夏の夕

                           井上弘美

類は空中を飛ぶために前足を発達させ翼を得たと言われる。翼あるものみな飛ぶ、飛行機だって両翼を持っている。ギリシャ神話のイカロスは鳥の羽を集めて、大きな翼を造った。高く、高く飛んでしまったため太陽に近づくと、羽をとめた蝋(ろう)が溶けてしまったそうだ。とある夏の夕暮れにねぐらへ帰る鴉を飽きることなく見送って妄想を燻らせる。わが人体を如何に浮遊させんか、、、さてそれからの吾が夢は一体どこへ羽ばたくのやら、夜が短い。他に<母の死のととのつてゆく夜の雪><月の夜は母来て唄へででれこでん><花食つて鳥は頭を濡らしけり>などあり。『井上弘美句集』(2012)所収。(藤嶋 務)


June 1162015

 ぎりぎりの傘のかたちや折れに折れ

                           北大路翼

月11日は「傘の日」らしい。台風や雨交じりの強風が吹いたあと、道路の片隅にめちゃくちゃになったビニール傘が打ち捨てられているのを見かける。まさに掲句のように「ぎりぎりの傘のかたち」である。蛇の目でお母さんが迎えにくることも、大きな傘を持ってお父さんを駅に迎えに行くこともなくなり、雨が降れば駅前のコンビニやスーパーで500円のビニール傘を購入して帰る。強い衝撃にたちまちひしゃげてしまう安物の傘は便利さを求めて薄くなる今の生活を象徴しているのかもしれない。掲句を収録した句集は新宿歌舞伎町を舞台に過ぎてゆく季節が疾走感を持って詠まれているが、傘が傘の形をした別物になりつつあるように、実体を離れた本意で詠まれがちな季語そのものを歌舞伎町にうずまく性と生で洗い出してみせた試みに思える。「饐えかへる家出の臭ひ熱帯夜」「なんといふ涼しさ指名と違ふ顔」『天使の涎』(2015)所収。(三宅やよい)




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