今日も晴れそう。空気の乾燥にはよわい。(哲




2015ソスN5ソスソス22ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

May 2252015

 雀のあたたかさを握るはなしてやる

                           尾崎放哉

かの拍子で雀が地に落ちて人の手に拾われる事がある。孤独の境地に生きる放哉も雀のを拾ってしまう。そして手のひらに温め愛しんだ。親鳥がどこか近くで鳴き騒いでいる。生き延びるには彼らの元へ送りかえさねばならぬ。名残惜しいがそっと放してあげた。お帰り、君の世界へ。人家近くに暮す雀は繁殖期になると屋根の瓦の隙間、壁の穴などに巣を作る。子が生まれ餌運びに親鳥が忙しく巣を出入りする。孵化した雛は最初は眼も開かず羽も生えていないが、15日ほどでもう巣立ってゆく。順調にゆくものもあれば落伍するものもあり、人間と同じである。他に<わが顔ぶらさげてあやまりにゆく><たまらなく笑ひこける声若い声よ><風に吹きとばされた紙が白くて一枚>などが身に沁みた。村上譲編『尾崎放哉全句集』(2008)所載。(藤嶋 務)


May 2152015

 シャツ干して五月は若い崖の艶

                           能村登四郎

子兜太のよく知られた句に「果樹園がシャツ一枚の俺の孤島」がある。揚句の「シャツ」もそうだけど、今の模様入りのカラフルなシャツではなく、薄い綿のランニングといった下着のシャツだろう。張り切った肉体の厚みをはっきりと浮き立たせるシャツは若い男性の色気を感じさせる。爽やかな風にたなびくシャツ、「若い」は五月と崖の艶、双方を形容するのだろう。なまなましい岩肌を露出させた崖の艶はシャツの持ち主である若者の張りきった肌をほうふつとさせる。若葉の萌え出る五月、美しく花の咲き乱れる五月はやはり生命感あふれる若者のものなのだろう。『能村登四郎句集 定本枯野の沖』(1996)所収。(三宅やよい)


May 2052015

 夏場所やひかへぶとんの水あさぎ

                           久保田万太郎

催中の大相撲夏場所は、今日が11日目。今場所は誰が賜杯を手にするのだろうか? 先場所まで白鵬が六場所連続優勝を果たしてきた。ところが今場所、白鵬は意外にも初日に早くも逸ノ城に不覚をとった。さて、優勝の行方は? 力士が土俵下のひかえに入る前に、弟子が厚い座布団を担いで花道から運ぶ。座布団の夏場所にふさわしく涼しい水あさぎ色に、作者は注目し夏を感じている。二つ折りにした厚い座布団に、力士たちは腕を組んでドッカとすわる。一度あの座布団にすわってみたいものだといつも思う。暑い夏の館内の熱い声援と水あさぎの座布団、力士がきりりと結った髷の涼しさ、それらの取り合わせまでも感じさせてくれる。万太郎は相撲が好きでよく観戦したのだろう。私は家にいるかぎり、場所中はテレビ観戦しているのだが、仕切りの合間、背後に写る観客席のほうも気になる。今場所はこれまで林家ぺー、張本勲、三遊亭金時らの姿を見つけた。落語家は落語協会が買っているいい席で、交替で観戦している。万太郎のほかの句に「風鈴の舌ひらひらとまつりかな」がある。『文人俳句歳時記』(1969)所収。(八木忠栄)




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