天気が良い、と嬉しがっていてよいものか。気温の乱高下が気になる。(哲




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April 2542015

 もつれつゝとけつゝ春の雨の糸

                           鈴木花蓑

つれてとける糸、とはいかにも春の雨らしく美しいが、今頃の雨は遠い記憶を呼び起こす。確か中学二年の春、理科氓フ授業で自然落下の公式を教わったその日も、先生の声を遠く聞きながらぼんやり雨の窓を見ていたのだがふと、雨の速さってどのくらいなんだろう、と考えた。帰宅して、雲の高さから習った公式で雨が地上に着くまでの秒数を計算してそこから時速を計算すると、確か九百キロ近くに。うわ大変、傘に穴が開く・・・しかし窓の外の雨は静かにもつれてとけていたのだった。翌日、先生が空気抵抗の話と共に実験を見せて下さりほっと納得したのだが、晩春の雨の記憶は未だマッハの衝撃と共にある。『ホトトギス 新歳時記』(2010・三省堂)所載。(今井肖子)


April 2442015

 九官鳥同士は無口うららけし

                           望月 周

官鳥は人や動物の声真似、鳴き真似が上手で音程や音色だけでなく抑揚までも真似する。この習性を利用し人は言葉を教えて飼い慣らす。日頃から色々と話しかけて根気よく付き合ってゆく。鳥と人間の相棒関係が頻繁な言葉の話し掛けによって構築されてゆく。真偽は定かでないが、飼主であった九官さんの名を発生するので九官鳥と名付けられたという。そんな九官鳥もお相手が同類の九官鳥となると無口なってしまうとか。真似事ばかりして本来の鳥語を忘れてしまったか。明るい春の陽を浴びて、のんびりと長閑であるのもいいものだ。<流灯の白蛾を連れてゆきにけり><流れ星贈らんと連れ出しにけり><一本の冬木をめがけ夜の明くる>など。『白月』(2014)所収。(藤嶋 務)


April 2342015

 たんぽぽを活けて一部屋だけの家

                           佐藤文香

ンポポは野原で明るい日差しを受けて輝く花、摘んできてもだんだん首を垂れてしぼんでしまう。例えば母親のために子どもがタンポポを摘んで、はいと渡す。渡された花はコップに挿されて母親の胸を暖かくする。たわむれに持ち帰るたんぽぽはそんな光景を想像させる。掲句では野の花を「活ける」、一部屋なのに「家」という言い回しに殺風景なアパートの一室を満たしている若さを感じる。「家」と呼ぶのは自分を同じ時間と空間を共有する相手があってこそのもの。そんな「君」との恋愛がこの句の下敷きにあるのだろう掲句が収められている句集には定型のリズムをはずれての句またがりをはじめ様々な試みが見られる。これなら短歌やほかの詩形でもと思わないでもないが、俳句でこそ詠むことでこの人独自の世界を築こうとしているのだろう。『君に目があり見開かれ』(2014)所収。(三宅やよい)




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