最新の開花予想によれば、東京は三月二十六日。あとひと月。(哲




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February 2722015

 雉子飛んで火の国の空輝かす

                           松田雄姿

本は北から南へ背骨が火山で貫かれた火の国である。そして大和まほろば稲穂の国でもある。そんな農耕民族のすぐ傍らに狸や狐や鴉や雀そして雉子などが共棲していた。桃太郎さんでは無いが犬も猿もまた身近な友だった。なだらかな火山の裾野に淡々と日常の農事を営なんでいると、傍らからぱっと雉子が飛んで、見上げる空を彩った。火の国の山河が下萌えている。他に<冬木立つ己れ養ふ静けさに><蟷螂は火星の農夫かも知れぬ><蝉鳴くや大事な妻を叱りつけ>などなど。『鶴唳』(2003)所収。(藤嶋 務)


February 2622015

 東京に変あり雪の橋閉す

                           高橋 龍

和11年2月26日、東京で一部青年将校によるクーデターがあった。歴史の教科書や三島由紀夫の小説などで読んだ乏しい知識しかないが、東京は雪で戒厳令下の状態だったという。この句の前書きには「小学校入学前の身体検査雪深く父に背負われて行く。帰路知り合いの巡査にあう、東京に大事件発生、東京に通ずる橋を閉鎖すると」とある。いつもと同じように登校や出勤をしてきたものの真っ白に雪の降り積もった橋は誰一人渡ることなく通行止めされているのだろう。物々しい警戒の中、住民たちは時代が変わりつつある不吉な予感を抱いたのではないか。普段の日常が突然閉ざされる事件の突発はフランスでのテロ事件を引くまでもなく今の日本でも日常が激変する事件が容易に起こり得るかもしれない。『十余二』(2013)所収。(三宅やよい)


February 2522015

 春待つや寝ころんで見る犬の顔

                           土屋耕一

だ寒さは残っているが、暖かい春を待つ無聊といった体であろう。忙しい仕事の合間の時間がゆったり流れているようだ。下五は「妻の顔」でも「おやじの顔」でもなく、「犬の顔」であるところに素直にホッとさせられる。耕一は犬が好きだったのだろうか。この句をとりあげたのには理由がある。よく知られている「東京やなぎ句会」とならんで、各界の錚々たる顔ぶれが集まった「話の特集句会」があることは知っていた。現在もつづいている。そのリーダー・矢崎泰久の新著、句会交友録『句々快々』を愉快に読んだ。同句会は1969年1月に第一回が開催されている(「東京やなぎ句会」も同年同月にスタート)。そのとき兼題は五つ出され、「春待つ」はその一つ。耕一はコピーライターで、回文の名手で知られた。例えば回文「昼寝をし苦悩遠のく詩を練る日」もその一つ。回文集のほか、句集に『臨月の桃』がある。俳号は「柚子湯」(回文になっている)。第一回のとき、同じ兼題で草森紳一「長いカゼそれっ居直って春待たん」、和田誠「春を待つ唄声メコンデルタの子」他がならんでいて賑やかだ。この日の耕一には「ふり向けばゐるかも知れず雪女郎」の句も(こちらは兼題「雪女郎」)ある。『句々快々』(2014)所載。(八木忠栄)




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