岩波文庫版『辻征夫詩集』が出た。懐かしい時がよみがえる。(哲




2015ソスN2ソスソス21ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

February 2122015

 雲低くなり来て春の寒さ急

                           翁長恭子

週は雪もちらついた東京、せめて春らしい句をと思っていたのだがこの句の寒さに共感してしまった。この時期は日々の寒暖の差もさることながら、一日の中でも風が無い日向はぽかぽかしていても、いったん日翳るとにわかに風が出て寒くなってしまう。まさに、寒さ急、であるが、急、でふっつりと途切れていることで余韻を生み、この後低く分厚い雲から淡雪が落ちてきたのでは、と思わせる。この句を引いた句集『続冬の梅』(1985)の作者略歴には、昭和二十三年から三十年間ホトトギス社に勤務、とあり集中には<事務の灯に春の時雨のくる暗さ>などの句も。他に<訪ふ家のさがしあてえず梅白し><春月にひとりの門扉とくとざし>など。(今井肖子)


February 2022015

 生き延びろ目白の尾羽雪まとう

                           小林 凜

れは2001年生れの凜くん11歳の作品。自然界に生きる野鳥まして小さな目白の生きる厳しさを知っての応援歌。虚弱体質に生まれいじめをかいくぐりつつ小学校生活を生き延びた。尾羽に雪をまとったこの目白は凜くん自身の投影でもある。人生平均寿命が2013年の日本人男性が80.21歳、女性86.61歳でざっくり言えば80歳台となった。これは平均だから86歳まで来た女性はこれからいったい幾つまで生きる勘定になるのか。健康であればもう半分もう半分と生きて見たい欲がでる。贅沢にも程があるのが人間の性と言うもの。他に8歳で<枯れ薄百尾の狐何処行った>。9歳で<秋の雲天使の翼羽ばたいて>10歳で<春嵐賢治のコートなびかせて>などあり。「ランドセル俳人の五・七・五」(2013)所収。(藤嶋 務)


February 1922015

 かたくりの花やお尻を日に温め

                           岡本紗矢

たくりは早春に耳を跳ね上げたようなうす紫の可愛い花が開く。花はうつむき加減で少しはにかんでいるように見える。目立たないけどそのたたずまいが魅力的な花である。東京でもかたくりの花が自生する場所があり、見に行ったことがある。掲句では、かたくりの花を見るのに腰をかがめて覗き込んでいるのだろう。突きだしたお尻に早春の明るい日差しがゆっくりと射している。かたくりの花の辺りはひんやりとお尻に当たる日ざしは暖かく、この時期のちょっとアンバランスな空気感が句に漂っていて心地いい。かたくりの根からとれる澱粉は今やほとんどないようだが、純正かたくりも残っているのだろうか。あるなら一度食べてみたい。『向日葵の午後』(2014)所収。(三宅やよい)




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