イスラム国に対する米軍などの空爆。人質の有無などお構いなしに。(哲




2015ソスN1ソスソス26ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

January 2612015

 俺が老いるとは嘘のようだが老いている

                           田中 陽

者は口語俳句のベテランとして知られる。老年近くになってくると、誰しもが感じる泣き笑いの実相だろう。老いを自覚するのは、突然だ。第三者が冷静に観察しつづければ、老いは徐々に訪れるのかもしれない。が、当人にしてみれば、たいていはこんなはずではないのにと思うさなかに、老いは容赦なく姿を現す。そして老いは、ひとたび出現するや、どんどん進行していくような気がする。それは外観的にもそうだが、内面でも深化していく。外側から内側から泣き笑い現象が進行していき、泣こうがわめこうが、がんじがらめに縛り上げられることになる。余人は知らず、私の場合にはそんな印象だった。そしてやがては、同じ作者の最新句集『ある叙事詩』にあるように「だれが死んでもおどろかない おれが死んでも」の心境に至るのである。『現代俳句歳時記・無季』(2004・学習研究社)所載。(清水哲男)


January 2512015

 餅膨れつつ美しき虚空かな

                           永田耕衣

、目の前で餅がふくらみ始めています。真っ白な餅が少し茶色くこげ始めて美しい。熱々の焼きたてをいただくとき、口の中ではホクホクしながらほおばります。それが「虚空」の味わい。つまり、「虚空、虚空、虚空」とくり返し唱えると、「ホクホクホク」となるのです。嘘です。餅は、餅米を蒸してから、熱々のうちにペッタラ、ペッタラとつき始めますが、そのペッタラが、掲句の「虚空」のもとですね。ペッタラ、ペッタラと餅をついているとき、餅と餅の粒子の間に空気も一緒に入れ込ん でついているのです。うまい握り鮨は、米粒と米粒の間にほどよい空気が含まれているのだと言われますが、餅の場合は、ペッタラペッタラとつかれている間に、ナノサイズの空気の分子が餅と餅の間に入り込んで、それが、モチモチした食感となるわけです。それを強火で焼くと、ペッタラペッタラと入り込められていた空気が膨張し始め、虚空のホクホクしたうまみが造成されるわけです。掲句を改めて見直すと、「つつ」は、餅が膨らんだ状態にも見えてきます。耕衣ならばこんな仕掛けを楽しんだかな、と思いますが、以上の全て、私の妄想です。『永田耕衣五百句』(1990)所収。(小笠原高志)


January 2412015

 日脚伸ぶとは護美箱の中までも

                           坊城俊樹

年中で最も寒いと言われる大寒から立春までのこの二週間余りだが、日脚が伸びたことを実感するのもこの頃合いだ。昼間の時間が長くなるのはことに日が沈むのが遅くなるからだろう、たとえば今日一月二十四日の東京の日の入りの時刻は午後五時、松が取れる頃に比べると約二十分遅くなっている。掲出句、たとえば書斎で仕事をしているのか、あるいは公園を散歩しているのか、ふと時計を見るともう五時、なのにまだ仄明るい。少し前まで五時になったら真っ暗だったのにな、と思うとじわりとうれしく日脚が伸びたことを実感している。ゴミ箱は護美箱となって、捨て去られたゴミがそのじわりを受け止めているように感じられるがそれにしても、護美箱、とはよくできた当て字だとあらためて思う。『坊城俊樹句集』(2014)所収。(今井肖子)




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