だんだん憎らしくなってくる。白鵬、全勝なるか。なるだろうね。(哲




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January 2512015

 餅膨れつつ美しき虚空かな

                           永田耕衣

、目の前で餅がふくらみ始めています。真っ白な餅が少し茶色くこげ始めて美しい。熱々の焼きたてをいただくとき、口の中ではホクホクしながらほおばります。それが「虚空」の味わい。つまり、「虚空、虚空、虚空」とくり返し唱えると、「ホクホクホク」となるのです。嘘です。餅は、餅米を蒸してから、熱々のうちにペッタラ、ペッタラとつき始めますが、そのペッタラが、掲句の「虚空」のもとですね。ペッタラ、ペッタラと餅をついているとき、餅と餅の粒子の間に空気も一緒に入れ込ん でついているのです。うまい握り鮨は、米粒と米粒の間にほどよい空気が含まれているのだと言われますが、餅の場合は、ペッタラペッタラとつかれている間に、ナノサイズの空気の分子が餅と餅の間に入り込んで、それが、モチモチした食感となるわけです。それを強火で焼くと、ペッタラペッタラと入り込められていた空気が膨張し始め、虚空のホクホクしたうまみが造成されるわけです。掲句を改めて見直すと、「つつ」は、餅が膨らんだ状態にも見えてきます。耕衣ならばこんな仕掛けを楽しんだかな、と思いますが、以上の全て、私の妄想です。『永田耕衣五百句』(1990)所収。(小笠原高志)


January 2412015

 日脚伸ぶとは護美箱の中までも

                           坊城俊樹

年中で最も寒いと言われる大寒から立春までのこの二週間余りだが、日脚が伸びたことを実感するのもこの頃合いだ。昼間の時間が長くなるのはことに日が沈むのが遅くなるからだろう、たとえば今日一月二十四日の東京の日の入りの時刻は午後五時、松が取れる頃に比べると約二十分遅くなっている。掲出句、たとえば書斎で仕事をしているのか、あるいは公園を散歩しているのか、ふと時計を見るともう五時、なのにまだ仄明るい。少し前まで五時になったら真っ暗だったのにな、と思うとじわりとうれしく日脚が伸びたことを実感している。ゴミ箱は護美箱となって、捨て去られたゴミがそのじわりを受け止めているように感じられるがそれにしても、護美箱、とはよくできた当て字だとあらためて思う。『坊城俊樹句集』(2014)所収。(今井肖子)


January 2312015

 冬夕焼鴉の開く嘴の間も

                           小久保佳世子

っ赤な夕焼けが真っ黒な鴉の嘴の間から見えたという。夕焼けと言えば夏場の季語だが冬の夕焼けも心細くなるほど感傷的に美しい。寒中の夕焼けはその短さゆえいっそう心に沁みてくる。鴉の成鳥は口の中も黒い。その開いた暗黒へ赤い夕陽が射している。ここにも一つの夕陽の美あり、人それぞれに小さな発見をし感心するものある。それがその人のアングルというものであろう。因みに鴉にはざっくり言って嘴の太いハシブトガラスと細ハシボソガラスが居るが、ここはハシブトカラスとみておこう。他に<涅槃図へ地下のA6出口より><アングルを変へても墓と菜の花と><人間を信じて冬を静かな象>などあり。『アングル』(2010)所収。(藤嶋 務)




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