台風8号、関東付近に再々上陸か。勘弁してくだされ。(哲




2014ソスN7ソスソス11ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

July 1172014

 来てすぐに気に入つてゐる避暑地かな

                           波多野爽波

者は避暑地がどんな場所であるか、一切、説明していない。描かれているのは、やってきた避暑地を気に入ったという心情だけである。考えてみれば、避暑地にやって来たら、気に入るか気に入らないか、選択肢は二者択一である。当たり前のことなのだが、読後は新鮮。「来てすぐに」の「すぐに」が微妙な味わいを出し、まるで子供のような無邪気な喜びようである。作者本人は意図していなかったかもしれない俳味が、この一句にはある。『骰子』(昭和61年)所収。(中岡毅雄)


July 1072014

 夏に負けヨドバシカメラ店の前

                           瀬戸正洋

雨が明けるとどんどん暑くなる。げんなりする蒸し暑さ。夏に勝てるのは高校球児とサーファーぐらいだ。普段から元気のない中高年などは早々と夏に全面降伏するしかない。それが巨大な家電量販店ヨドバシカメラの前っていうのだからこの暑苦しさの増幅は凄い。都会を詠むならこのぐらいのインパクトがなければ、新宿や池袋の雑踏やアスファルトの照り返しによる暑苦しさは伝えられないだろう。固有名詞の取り込みは時代の俳句を詠む大事な柱の一つだと思う。「ヨドバシカメラ」がいつまで読み手にわかる言葉であるかわからないが、この濁音の多い固有名詞を取り込むことで現代の夏を伝える効果があれば十分ではないかと思う。『B』(2014)所収。(三宅やよい)


July 0972014

 羅や母に秘めごとひとつあり

                           矢野誠一

にだって秘めごとの一つや二つあるだろう。あっても不思議はない。家庭を仕切って来たお母さんにだって、長い年月のうちには秘めごとがあっても、むしろ当然のことかもしれない。しかも厚い着物ではなく、羅(うすもの)を着た母である。羅をすかして見えそうで見えない秘めごとは、子にとって気になって仕方があるまい。この場合、若い母だと生臭いことになるけれど、そうではなくて長年月を生きて来た母であろう。そのほうが「秘めごと」の意味がいっそう深くなってくる。母には「秘めごと」がたくさんあるわけではなく、「ひとつ」と詠んだところに惹かれる。評論家・矢野誠一は東京やなぎ句会に属し、俳号は徳三郎。昨年七月の例会で〈天〉を二つ獲得し、ダントツの高点を稼いだ句。同じ席で「麦めしや父の戦記を読みかへす」も〈天〉を一つ獲得した。披講後に、徳三郎は「父と母の悪事で句が出来ました」と言っている。同じ「羅」で〈天〉を一つ獲得した柳家小三治の句「羅や真砂女のあとに真砂女なし」も真砂女の名句「羅や人悲します恋をして」を踏まえて、みごと。『友ありてこそ、五・七・五』(2013)所載。(八木忠栄)




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