梅雨の晴れ間、朝日がまぶしい。これが正真正銘の「五月晴れ」。(哲




2014ソスN6ソスソス14ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

June 1462014

 梅雨の花林にしろく野にしろし

                           水原秋桜子

日、梅雨時の日差は白いですね、と言われなるほどと思った。曇っていても、本来は強い夏の太陽の存在が梅雨雲の向こう側に感じられる。そして、山法師、梔子、など木に咲く花から、群れて明るい十薬や雨に重たげな蛍袋など、白い花も目につく。自然の白は豊かで優しく、掲出句もそんな花の色の句のはずが、しろく、しろし、とひらがなで重ねると強く、どこか穏やかかならざりしの感があるなと思いながらいろいろ見ていると『秋櫻子俳句365日』(1990)に載っていた。六月の項の著者有働亨氏は、掲出句の前にある<人ふたりへだつ林や梅雨の蝶 >の前書「石田波郷君は東京療養所に、山田文男君は清瀬病院にあり」を引いて「(この重複した表現は)病弟子二人を思う秋櫻子の晴れやらぬ心の韻律」と述べている。そういう背景を思いながら読み返すと、作者の後姿とその目の前で無垢な白が濡れているのが見えてくる。句集『霜林』(1950)所収。(今井肖子)


June 1362014

 白靴の中なる金の文字が見ゆ

                           波多野爽波

事になるが、生前、八十代の阿波野青畝が、祝賀会に白靴を履いて来ていたのを思いだす。白靴は汚れやすいので、通勤などには不向きである。しかしながら、夏になって、いかにも涼しげな白靴を履いていると、お洒落な感じがする。そんな白靴に金の文字が入っていたのが目にとまった。金の文字は、白靴を更に瀟洒なものに見せている。作者の審美眼を感じさせる作品である。『鋪道の花』(昭和31年)所収。(中岡毅雄)


June 1262014

 梅雨寒し忍者は二時に眠くなる

                           野口る理

よいよ梅雨本番だけど、今年は暑くなったり寒くなったり気温の乱高下に悩まされている。梅雨に入ってからも油断はできない。真夜中の2時は俳句によく使われる時間でもある。ツイッターやオンラインゲームで夜中の遊び相手も不自由のないこの頃では昔ほど夜更けまで起きている孤独感は薄れてきているだろうが、草木も眠る丑三つ時である時間帯であることには変わりはない。寝ずの番をしているのか、天井に張り付いて座敷の様子をうかがっているのか、緊張状態にあるべき忍者が二時に眠くなると断定で言い切ったところがこの句の魅力だ。しとしと降り続く雨音が子守歌なのか、うとうとしてしまう忍者がなんだかおかしい。ユーモラスなイメージとともに心地よい音の響きとリズムも素敵だ。『しやりり』(2013)所収。(三宅やよい)




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