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2014ソスN5ソスソス4ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

May 0452014

 蒲公英の気ままに育つ花時計

                           澤田緑生

公英(たんぽぽ)は自由だ。梅のつぼみがふくらみ始める初春、ひょっこり咲く一輪を見つけることがある。土筆が生える仲春には、土手や河原に点在する黄色を見つけられる。桜が散り、ツツジが咲きほこる今も、公園の植え込みや、道路の緩衝地帯で目にすることができる。子どもは、綿毛になった茎を折って、一気に息を吹きかける。種子は飛散するが、翌春、どの地に根を張るかは風まかせだ。一代限りの潔い生。人の手を借りずに地をはびこる種の生命力は、黄色く点在している。それは、綺麗に整備された花時計にも落下して、制服を着せられた児童に交じる野生児のように無邪気だ。花時計に限らず、花壇のチューリップも、梅もツツジもソメイヨシノも人が手を入れ育てた春だが、蒲公英は、今年の春風が、来年の居場所を決めてくれる気ままな育ちだ。この花こそ、春を運び、春の終わりを告げる花と思う。今日、みどりの日、タンポポに出会えるだろうか。『極光』(1992)所収。(小笠原高志)


May 0352014

 暖かき雨の降りをり鍋に穴

                           玉田憲子

のアルミの鍋は使っているうちに小さな穴が開いてしまうことがあった。吹きこぼれてもいないのにジュージュー音がするので、おかしいなと鍋を洗って透かして見ると光が漏れている。しばらくその光を見つめつつ、少し情けなくもありながら、この鍋もよく使ったなあと感慨深かったりしたものだ。雨が降っているというかすかな憂鬱、でもそれが春の雨であるという明るさ、その両方をつなぐ小さな鍋の穴である。なべにあな、とつぶやくとなんとなく微笑んでしまう。気がつけば我が家の台所にはもう古いアルミ鍋はなく、穴をあけるなんてとても無理という厚底鍋ばかりになってしまったが。『chalaza』(2013)所収。(今井肖子)


May 0252014

 大根の花や青空色足らぬ

                           波多野爽波

根は種を採るため畑に残したものに、春、十字状の小花をつける。白色のものや紫がかったものもある。青空との比較から考えると、白色の花の方がイメージしやすい。本来は、花の白と空の青で明確な対照を描くはずだが、透き通るような青空ではなく、いくぶん、澱んでいるのだ。下五では、そのような情景を「色足らぬ」といささか主観的に表し、残念な気持ちを表白している。『湯呑』(昭和56年)所収。(中岡毅雄)




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