勝つのが当たり前のようになってきた阪神。次の広島戦が楽しみ。(哲




2014ソスN4ソスソス27ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

April 2742014

 漫画読む鬚の青年めかり時

                           沢木欣一

かり時は晩春の季語。蛙(かわず)の目借時を縮めた言い方です。蛙が人の目を借りるから春は眠気をもよおすという俗説で、戯画的な季語です。掲句の鬚の青年は、文学青年かアーティスト風か、一見高尚な面立ちながら漫画に集中している、そのギャップに着眼しています。作者は東京芸大の国語教師だったので、後者を揶揄(やゆ)しているのかもしれません。句集発行は昭和58年で、漫画の文化的な価値は日本でも世界でも現在ほど評価されていなかった時代です。だから、アーティスト風情が漫画なんかを読んでいたら蛙に目を持っていかれるぞ、という警告なのかもしれません。しかし、「めかり時」という季語自体が戯画的なので、句全体を晩春の気候のように青年の鬚すらおだやかに包んでいます。なお、句集にはもう一つ「飽食の昭和後代めかり時」があり、こちらはかなり警句的です。『遍歴』(1983)所収。(小笠原高志)


April 2642014

 珊瑚咲く海へ染まりに島の蝶

                           小熊一人

年か前にも同じことを思った気がするのだが、蝶にあまり出会わない。いかにも麗らかな春の日が少ないからだろうか。そうこうするうちに春は行きつつあり、ぐんぐんと緑が育ってきたこのところである。この句の蝶は島の渚から珊瑚の海へ、染まりながら消えていく。珊瑚は動物だが碧い海にまさに咲いている、とは沖縄の美しい海ならではだろう、『沖縄俳句歳時記』(1985・那覇出版社)から引いた一句。海と珊瑚と蝶、明るく美しい色彩だが、蝶はやがて珊瑚の海で永遠に眠ることを知っているかのように感じている作者、春を惜しむかすかな淋しさがそこにある。(今井肖子)


April 2542014

 やどかりの中をやどかり走り抜け

                           波多野爽波

どかりは、巻貝の貝殻に体を収め、貝殻を背負って生活する。やどかりが何匹かいる中、一匹だけ群れの中を走り抜けたというのだ。単純な写生句のようにも見えるが、作者の細かな観察眼が光っている。やどかりという愛らしい小動物が動く様を思い浮かべてみると、愛らしさと同時に、そこはかとないオカシミが伝わって来る。『一筆』(平成2年)所収。(中岡毅雄)




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