生産年齢人口、32年ぶりに8000万人割れ。老年人口は25.1%。(哲




2014ソスN4ソスソス16ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

April 1642014

 凧三角、四角、六角、空、硝子

                           芥川龍之介

は正月に揚げられることが多いことから、古くから春の行事とされてきた。三角凧、四角凧、六角凧、奴凧、セミ凧、鳥凧……洋の東西を含めて種類も形も多種多様だが、この時代のこの句、晴れあがった春の空いっぱいにさまざまな凧があがっているのだろう。名詞を五つならべて「、」を付した珍しい句だが、「硝子」とはこの場合何だろうか? 空にあがったさまざまな形の凧が、陽をあびてキラキラして見えるさまを、あたかも空に硝子がはめこまれているように眺めている、というふうに私は解釈する。また凧合戦で相手の凧の糸を切るために、糸に硝子の粉を塗って競う地方があるというけれど、その硝子の粉を指しているとまでは考えられない。私が生まれ育った雪国では、雪のある正月の凧揚げは無理で4、5月頃の遊びだった。上杉謙信などの武者絵の六角凧がさかんに使われていた。私の部屋の壁には森蘭丸を手描きした六角凧が四十年近く前から飾ってあり、今も鋭い目をむいて私を見下ろしている。掲句は大正5年、龍之介25歳のときの句だが、同じころの句に「したたらす脂(やに)も松とぞ春の山」がある。『芥川龍之介俳句集』(2010)所収。(八木忠栄)


April 1542014

 しがみつく子猫胸よりはがすなり

                           岩田ふみ子

年前、里親募集をしていたお宅で保護されていたのは三毛と白黒の姉妹。350gばかりの仔猫をかわるがわる抱き上げてもふわふわと頼りなく、ひしと胸にしがみつく姿は猫というより虫がくっついているようだった。細い爪をたてて、まるで「このまま連れていって」と言っているような健気な風情になんともいえない哀愁があり、結局二匹とも貰い受けた。猫姉妹はさっさと大人になり、一年でおよそ10倍に成長した。遊び相手がいつでも身近にいるので、それほど人間に甘えてこないところが少しさみしくもあるが、大人だけの暮らしのスパイスとなっているのはたしかだ。仔猫がまだ目が開く前から高いところへと登ろうとする習性は、かつて木の上で生活していた頃の安全地帯が記憶に刷り込まれているためだという。長い歴史のなかで生き残ってきた動物たちの知恵が小さな猫にも活かされている。掲句の仔猫にもどうか必要とされる家族が見つかりますように。『文鳥』(2014)所収。(土肥あき子)


April 1442014

 花びらの転げゆく駅ホームかな

                           大崎紀夫

年の花もおわりだな。そんな一瞬の感慨を覚える場所や時間はひとさまざまだが、作者はそれを駅のホームで実感している。たぶん乗降客の少なくなった昼さがりなのだろう。ふと足元に目をやると、どこからか飛んできた桜の花びらが、風に吹かれて転がっていった。目で追うともなく追っていると、束の間ホームにあった花びらは、やがてホームの下に姿を消していく。どこから飛んできたのか。思わず桜の木を探すように遠くに目をやる作者の姿が想像される。こうやって桜の季節はおわり、あっという間に若葉の美しい日々が訪れてくる。年々歳々同じ情景の繰り返しのなかで、しかし人は確実に老いてゆくのだ。そんなセンチメンチリズムのかけらをさりげなく含んだ佳句だと読めた。『俵ぐみ』(2014)所収。(清水哲男)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます