東京地方に久しぶりの雨マーク。そして明後日立春には雪マーク。(哲




2014ソスN2ソスソス2ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

February 0222014

 火に焚くやむかしの戀も文殻も

                           戸板康二

殻は、読み終わった古い手紙です。「穀」が実のある状態なのに対して、「殻」は抜け殻です。だから、この焚き火はよく燃えている情景です。「むかしの戀」が情を吐露しているので、下五には即物的な素材を用いたのでしょう。したがって、「戀」の字も旧字体でなければなりません。言霊で糸と糸とをつなごうとする心が戀であるならば、終わってしまったむかしのそれは心に絡みついたり固結びになっていて、もうほどけません。むかしの自分を成仏させるためにも、抜け殻は火に焚く必要があります。掲句は、過去の自分の告別式をモチーフにした、脱皮と再生の儀式と読みます。『袖机』(1989)所収。(小笠原高志)


February 0122014

 雪が来る耳のきれいな子どもたち

                           大島雄作

の句を読んでふと浮かんだのは、バレエや体操などをしている少女のお団子ヘア、正式に何と呼ぶのかわからないが、近くの駅でよく見かける少女たちの姿だ。練習の行き帰り、彼女らの服装はまちまちだが、このヘアスタイルはおそろいである。時折笑い声をあげながら電車を待っているその声も表情もあどけない彼女たちがふと見せるきりりとした横顔。てっぺんのお団子に向かう髪の直線と、細い首から顎にかけての曲線、そのシンプルなラインの真ん中にある複雑な形の耳の存在をあらためて認識した。雪催の灰色の空の下、白い息を吐きながら笑い合う少女たちのむき出しの耳の清々しさとヒトらしいうつくしさはまさに、きれい、なのだろう。『春風』(2013)所収。(今井肖子)


January 3112014

 雪うさぎ柔かづくり固づくり

                           波多野爽波

うさぎとは、盆の上に雪の塊をのせ、目は南天の赤い実をつけ、兎の形にしたもの。その雪うさぎに、柔らかく固めたものと、かたく固めたものとがあるというのだ。雪うさぎを実際に作っている触覚が蘇ってくる。一句は巧まず、イメージを素直に詠んでいる。爽波には、シャープでシュールな感覚の句が多いが、こんな繊細でメルヘンチックな句もあるのだ。『骰子』(1986)所収。(中岡毅雄)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます