東京は雪がちらつくかも…。東京がもっとも寒いのはこういう日。(哲




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January 1512014

 水仙の花に埃や小正月

                           藤森成吉

のことを知っている人は少ないと思われるが、元日から始まる正月が「大正月」と呼ばれる。それに対して、1月14〜16日は「小正月」と呼ばれるということ。私も「大正月」という呼び方は知らなかった。「大正月」の終わりの日が「小正月」になる。また「大正月」が「男正月」とも呼ばれるのに対し、「小正月」は「女(め)正月」とも呼ばれる。この呼び方は知っていた。現在ではどうなっているかわからないが、この日に女性だけで酒盛りをする地方もあったとか。私が子どものころ、この日ばかりは父が朝飯を炊いていたことを記憶している。「女は休んで、男が台所をする日」と教わった。へえ。働き者の母はちゃんとゆっくり休んでいたのだろうか? 「女正月」は年末年始に格別忙しかった女性を、慰労する意味があったものと思われる。毎日、きちんと水仙の面倒を見ていた女性が、この日ばかりは休んでいるから、水仙の花にうっすらと埃がついているというのだろう。どことなくのんびりした雰囲気が漂っていて、結構な風習じゃないか。左翼文学者だった成吉は短歌や詩も作ったが、俳句も多く句集が二冊ある。他の句に「犬さきにもどりて行くや出初式」がある。『文人俳句歳時記』(1969)所収。(八木忠栄)


January 1412014

 東京は寒し青空なればなお

                           高野ムツオ

京という文字には、都会・混雑・高層ビル群など、全てのイメージが詰め込まれている。宮城在住の作者の感じる東京の寒さとは、気温だけではなく、人間性や景色も含まれるものだ。高層ビルの隙間に見える空の切れ端が抜けるように青ければ青いほど、その無機質の物体との取り合わせが不気味に寒々しく感じさせるのだろう。そういえば、実家の母もひとりで東京には出てこない。やはり「寒いから」が理由で、それは静岡という温暖な場所に住んでいるせいだと取り合わなかったが、もしかしたら母もまた、気温とは別の寒さを訴えていたのかもしれないと、鈍な娘は今さらながら思い至ったのだ。〈瓦礫みな人間のもの犬ふぐり〉〈みちのくの今年の桜すべて供花〉『萬の翅』(2013)所収。(土肥あき子)


January 1312014

 成人祭ビルによきによきと育ちをり

                           武貞啓子

年の新成人人口は122万人。女よりも男のほうが少し多い。句作年度はわからないが、少なくとも十数年以上は前の句だろう。いわゆる高度成長期で、ビルが「によきによき」と建っていたころ、同じように数多くの若者たちも勢い良く育っていった。人間を建物のようにみなすのはユニークな発想だが、しかしそれが不自然ではなく受け取られるほどの「活気」があったのも間違いない。新成人の数は、第1次ベビーブーム世代の昭和24年生まれの人が成人に達した昭和45年が246万人で最も多くなった後,減少に転じ,53年には152万人。その後,昭和50年代後半から再び増加傾向を続け,第2次ベビーブーム世代の人が成人に達した時に200万人台(最多は平成6年207万人)となった後,平成7年に再び減少に転じて以降は減少傾向を続けており、今後の増加は見込めない。遠い未来のいつの日にか、再びこの句がすんなりと受け入れられる時代は来るのだろうか。『未来図歳時記』(2009)所載。(清水哲男)




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