東京では今夕が松納め。明日からは徐々に日常が戻ってくる。(哲




2014ソスN1ソスソス6ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

January 0612014

 七種粥ラジオの上の国家澄み

                           須藤 徹

日早いが、「七種」の句を。ラジオを聞きながら、作者は七種粥を前にしている。万病を除くという七種粥の祝膳に向かっていると、普通の食膳に対しているときとは違い、作者はいささかの緊張感を覚えている。七種粥は味を楽しむというよりも、この神妙な緊張感を保ちながら箸をつかうことに意義がありそうだ。おりからのラジオは、今年一年の夢や希望を告げているのだろう。その淑気のようなものとあいまって、七種粥のありようも一種の神々しさを帯びて感じられる。国家も、そして何もかもが澄んでいるようだ。が、作者はかつて国家が澄んだことなど一度もないことを知っている。知っているからこそ、国家が澄んでいるのはラジオの上だけのことと、いわば眉に唾せざるを得ないのである。いや、眉に唾しておく必要を強く感じているのだ。人は誰しもが雰囲気に流されやすい。時の権力は、いつでもそこを実に巧みに突いてくる。対して、身構えることの必要を、この句は訴えている。なお、作者の須藤徹氏は昨年六月に66歳の生涯を閉じられた。合掌。「ぶるうまりん」(27号・2013)所載。(清水哲男)


January 0512014

 白山の初空にしてまさをなり

                           飴山 實

山は、石川県白山市と岐阜県白川村の間に聳える霊峰です。古代より山岳信仰の対象として崇められ続け、白山神社は日本各地に2700社余り鎮座しています。信仰の有無にかかわらず、新春の朝、白山を仰げるのは喜ばしいことでしょう。その初空は真青です。白山が雪を冠して白いゆえに初空はいよいよ青く、初空が真青ゆえに白山はいよいよ白い。年初にふさわしい色彩の対置です。ニュートンの色彩論によると、青は広がりやすい波長を備えているので空や海は青く広がるらしいのですが、掲句の「まさを」というひらがなの語感にも、そのような青の広がりがふくまれているように感じられ、「白山」の凛とした輪郭と対照をなしています。掲句の要素を取り出してみると、「山・空・白・青」、そして、詠み手の主観である「初」です。何のドラマもありません。しかし、青空に聳える白山を眺めて、この一年が始動しています。作者は、「まさを」を半紙に「白山」と書き初めをしたのでしょう。『次の花』(1989)所収。(小笠原高志)


January 0412014

 電線の弛むもゆたか初景色

                           髙勢祥子

景色は、元日の四方の景色。昨日までと何ら変わらない風景ではあるけれど、年があらたまることで淑気が満ちて見えるのだ。何にそれを感じるか、何を見てどの景を切り取って初景色と言うか。この句の作者は頭上に横たわり揺れる電線に目を留めている。見なれたそのゆるやかな曲線を、ゆたか、と表現することで、作者の晴々とした心持ちと共に清々しい初御空がどこまでも青く続くだろう。(硬く青く一月一日の呼吸〉〈初鳩の考へてゐるふうで暇〉など、他にも個性的な正月の句が並んでいる。『昨日触れたる』(2013)所収。(今井肖子)




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