スキーなど冬のスポーツによる事故が伝えられる。ご注意、ご用心。(哲




2013ソスN11ソスソス24ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

November 24112013

 葱畑蟹のはさみの落ちてゐる

                           辻 桃子

で出会う驚きが、そのまま句になっています。葱畑に蟹のはさみが落ちている。なんの解釈の必要もない事実です。ただし、この実景に出会うためには気持ちを広く、同時に、敏感なセンサーを働かせる意識が必要です。句集には、掲句より前に「三国寒しトラちゃんといふ食堂も」があり、これも、旅人が立ち止まり、シャッターを押したような嘱目です。また、掲句より後に「とけるまで霰のかたちしてをりぬ」があり、しばらく霰(あられ)を見つめる目は童子の瞳です。ほかに、「九頭龍川」を詠んだ句もあり、越前・福井の冬の旅であることがわかりました。なるほど農家は、食べた後の越前ガニのはさみを畑の肥料にしているのだな。これは日常的な生活の知恵であり、しかし、旅人の目には、思いもよらないシュールレアリズムの絵画のような驚きを催しました。たしかに、葱と蟹のはさみは緑と赤の補色関係で配色されていて、かつ、立体的なモチーフです。土地と季節と生活者と旅人のコラボの句。『ゑのころ』(1997)所収。(小笠原高志)


November 23112013

 旅に出て忘れ勤労感謝の日

                           鷹羽狩行

書や歳時記には、新嘗祭を起源とするとあるが、他のいくつかの国民の祝日同様、その意義を考えることが少なくなってしまった勤労感謝の日である。俳句にするには正直、音が多くなかなか難しく、何もしないでゆっくり過ごす、といった詠み方をよく見かけるが掲出句は、忘れ、といっている。紅葉もいよいよ美しくまさに旅に出るにはよい季節だが、勤労感謝の日であることを忘れていた、というより、どこか釈然としない、現在の国民の祝日のあり方に対する皮肉のようにも感じられる。『合本俳句歳時記第四版』(角川学芸出版)所載。(今井肖子)


November 22112013

 リボンの娘手つなぎくるや崩れ簗

                           波多野爽波

ボンを結んだ娘が二人、手を繋ぎながらやってくる。どのような場所へ出てくるのかと思いきや、「崩れ簗(やな)」である。崩れ梁は、晩秋、漁期が過ぎて放置され、崩れ壊れた簗のこと。上五中七から「崩れ梁」への転換は、単に意外という領域を越えている。「春泥に押しあひながら来る娘 高野素十」という明るい句と比較してみても分かるが、下五「崩れ梁」の季語は、リボンの娘のイメージを崩れさせ、荒涼とした世界へと読み手を誘う。その詩的飛躍は、嗜虐趣味に近い気がする。『一筆』(1990)所収。(中岡毅雄)




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