暖房を入れようかどうしようかと、この時季は毎年悩む。(哲




2013ソスN11ソスソス16ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

November 16112013

 花束の冷たさを抱き夜のバス

                           川里 隆

られた大きなその花束は美しくラッピングされていて、抱えた腕にずっしりと重い。バスにはほとんど乗客はいなくて、ぼんやり車窓に目をやりながら揺られているのだろう。さっきまで送別会の主役だったのか、などともの寂しい方へ気持ちがゆくのは、冷たし、の持つ心情的な印象からか。そういえば、結婚が決まってささやかな式をあげることになった時、それまで何も口出しをしなかった父が、花束贈呈は止められないか、と言ったのを思い出した。結局諸事情があって止められなかったのだが、式の後の二次会で私の教え子に囲まれて楽しそうにしている父を見てどこかほっとしたのだった、三十年前の話。花束の冷たさは、通っている水の冷たさであると同時に、それを抱えている作者の心持ちでもあるのだろう。『薔薇の首』(2013)所収。(今井肖子)


November 15112013

 暗幕にぶら下がりゐるばつたかな

                           波多野爽波

っ黒な暗幕に、緑色の螇蚸がぶら下がっている。その一点の景がクローズアップされている。この螇蚸、決して、愛らしいモノとして描かれているのではない。むしろ、無韻の中、不気味な心象風景として表現されている。暗幕というモノと螇蚸というモノ。それぞれが、単独で描かれれば、別に、何ということはない。しかし、暗幕というシチュエーションのもと、そこに見出された一匹の螇蚸は、強烈な違和感を読者にもたらす。その違和感が、モノの実在感・存在感をありありと感じさせる。『骰子』(1986)所収。(中岡毅雄)


November 14112013

 壺割れてその内景の枯野原

                           東金夢明

くら上から覗き込んでも口がつぼまった壺の内側を見るのは難しい。割れて初めて薄暗い壺の内側に光があたり、そこに描かれた景色が広がるとは極めて逆説的だ。なだらかな球形であるべき壺の内側が破壊されたことで一枚の枯野原となる、低く垂れこめた空の下、モノトーンの寂しい景色がどこまでも続く。様々な想像を呼び寄せる句だ。こうした句に出会うと日常、見過ごしている物にさまざまに異なる世界が被さっていることに気づかされる。ふとした瞬間に異次元の世界への扉が開く、そうした世界によく分け入る人は、俳句の言葉で別の世界の入り口を探し当てられる人なのだろう。『月下樹』(2013)所収。(三宅やよい)




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