おっ、広島カープ強し。ひょっとすると、ひょっとしそうな予感。(哲




2013ソスN9ソスソス22ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

September 2292013

 耳遠き身を聡くする虫の闇

                           河波青丘

成十七年、作者が88歳の年に句集『花篝』が出ました。一頁に二句、見開き四句の構成なので、眼鏡が必要な私にも読みやすく助かります。みなそうでしょうが、ふだん、字の細かい歳時記に苦心している読者にとって大きな活字はありがたい。掲句は80歳の作で、眼ばかりでなく、耳も遠くなってきたこのごろ、秋の夜は網戸にして窓はあけているので、鉦叩(かねたたき)のチンチンチンや松虫のチンチロリンの音が、身を聡(さと)くしてくれます。体の中を音が通過して浄化してくれている、そんな秋の夜長です。ところで、尺八の音階は「ロツレチリ」と謡い、西洋音階の「レファソラド」に対応します。チンチロリンとロツレチリ。日本の耳は、ロ、チ、リを好むのかもしれません。掲句は技巧も工夫されていて、「耳、身、闇」のmiで韻を踏み、また、「耳、聡、闇」の漢字は、「耳」と「音」からなる聴覚系で連ねています。チリリリリという虫の音に耳を傾け、聡明になっていく作者の身がたち現れています。(小笠原高志)


September 2192013

 丁寧に秋のビールを注がるる

                           澤田和弥

は一年中ほとんどビールしか飲まなかった。四季を問わず、トマトと豆腐とラガーの大瓶で始まる晩酌、気に入りの小さいグラスでゆっくり延々と飲むのが好きだったがそのうちさすがに、あと一本は飲めない、と調節用に缶ビールを買うようになった。缶はどれも同じだなあ、などと言いながら、グラスに注いでいたのを思い出す。そんな光景がしみついているからか、ビールといえば夏、と実感しにくいのだが、秋のビール、と言われると、しみじみとした季感と共に冷えすぎていない茶色の壜麦酒が浮かぶ。麦酒が注がれるグラスにそそがれる二人の視線、静かに注いでくれているその人と、それを丁寧と表現する作者、美味しい麦酒と一緒に長い夜がつづく。『革命前夜』(2013)所収。(今井肖子)


September 2092013

 まひるまの秋刀魚の長く焼かれあり

                           波多野爽波

たり前といえば、当たり前の光景だが、不思議な臨場感がある。その秘密はひとつは、上五の「まひるまの」にあろう。これが、夕餉の準備で、たとえば、「夕方の秋刀魚の長く焼かれあり」では、おもしろくもなんともない。「まひるま」という明るい時空で焼かれることによって、秋刀魚の存在感は増してくる。一句のもうひとつの妙味は、「長く」にある。秋刀魚が長い形をしていることは常識だが、常識をあえて、言葉にすることによって、対象物のありようを再認識させてくれる。『骰子』(1986)所収。(中岡毅雄)




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