「後期高齢者医療被保険者証」なるものが届いた。ついに……。(哲




2013ソスN1ソスソス28ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

January 2812013

 寒天を震るわせている大太鼓

                           あざ蓉子

時記で「寒天」を調べると、いわゆる傍題として「冬の空」の項目に添えられている。これに従えば、句意は「大太鼓の重低音が勇壮に、寒々とした冬の空を震わせるように響いている」となる。ところが「寒天」にはもう一つの意味があって、言わずと知れた食べ物としてのそれだ。こちらの寒天は厳冬期に製造されるから、冬空と区別するために、歳時記には「寒天製す」などの別項目が立てられている。この食べ物のほうの命名者は隠元和尚だそうで、彼は「寒空」や「冬の空」を意味する漢語の寒天に「寒晒心太(かんざらしところてん)」の意味を込めて、寒天と命名したという。明らかに掲句はこの二つの「寒天」を意識していて、実景としてはゼリー状に濁った冬空をぷるぷると震わせて大太鼓の音が響く情景を詠んでいる。寒々とした曇天の冬空を震わせて太鼓が打ち鳴らされる情景は、身の引き締まる思いがわいてくるのと同時に、鬱屈した思いを解きほぐすような効果を生む。「花組」(57号・2013年1月刊)所載。(清水哲男)


January 2712013

 一禽の影も許さじ結氷湖

                           奈良千代子

者から、掲句は、1981年の冬、「北海道新聞」の俳壇に掲載されたと聞いています。室蘭で活躍した俳人で、掲句は息子さんの運転で、厚岸まで吟行したときの作です。当時、室蘭から厚岸まで車で10時間。北海道の中でも比較的温暖で開けている室蘭から、極寒の地に辿り着いた感慨もあったでしょう。空には鳥一羽さえも飛んでいない。地上にも動物は一匹もいない。助動詞「じ」が生き物の存在を禁じ、切り、結氷湖の存在のみを示します。「一禽の〜許さじ」は、「一切〜ない」という語法にも通じますし、藤原定家の「見渡せば花も紅葉もなかりけり浦の苫屋の秋の夕暮」にも通じる無の世界です。また、カ行音と「じ」の配列が、硬く凝縮した湖面に響くような韻律があります。(小笠原高志)


January 2612013

 一枚の葉書が刺さり冬館

                           石井薔子

館、の句はよく目にするが、冬館、は初めてだった。常用の歳時記には掲載されていず「冬に備えてしつらえをした大きな洋館が連想される」(合本俳句歳時記第四版)とある。洋館、とあるのは、館、だからだろうが、でも夏館は確かに緑に囲まれた洋館が目に浮かぶが、冬館はどっしりとした瓦屋根の日本家屋で、広い庭に雪吊りなど見えてもいいのではないかと思う。いずれにしろ、邸宅と呼べるほどの大きなお屋敷だ。この句の冬館は、高い塀に囲まれていて建物自体は見えていない。その葉書が無かったら通り過ぎてしまうところだが、門の脇の郵便受けから葉書の角が斜めにはみ出していることで、塀の向こうのお屋敷が見えたのだろう。刺さり、と表現することで、冬館はますますしんと静まって、冷たい北風が吹きぬけてゆく。『夏の谿』(2012)所収。(今井肖子)




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