アルジェリア、マリ、……。日本的感覚は通用しない地域。怖い。(哲




2013ソスN1ソスソス19ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

January 1912013

 雪催木桶二つに水張られ

                           茨木和生

はどんどん厚くなり空気は冷たく、今にも雪になりそうな気配が雪催。東京に住んでいるとそうそう体感することはないが、先週の日曜日の夕方に近所まで出かけた時、これは来るぞというまさに雪催を実感した。その空の色はただ灰色とか暗いとかでは表現できない圧迫感に満ちており、まだ風は無かったが空気の一粒一粒がきんと凍っている。これは明日の分まで買い物をして帰ろう、明日は雪見て巣籠りだね、ということになったがまさにその通りになってしまった。掲出句は翌日、成人の日に籠りつつ読んでいた句集『往馬』(2012)にあった。目の前の木桶にかすかな風がふれてゆく。水面には冷たい漣が立ち、映っているのはまさに前日に見たあの空なのだろう。どこにどんな木桶が置かれているのかわからないが、小さく張られた水が雪催の持つ得も言われぬ重さと静けさをくっきりと表している。(今井肖子)


January 1812013

 かなしめば妻はこもれり冬灯の環

                           並木鏡太郎

雷集、一句欄に京都からの投句。鏡太郎さんは1902年生まれ2001年没。京都のマキノプロに入社して映画監督になり嵐寛寿郎の「鞍馬天狗」シリーズをヒットさせた。このシリーズは40本以上製作され子役の「杉作」を美空ひばりが演じている巻もある。その後鏡太郎さんは東京に移られ毎月寒雷の句会に出席された。痩身でベレー帽に長いコート、いかにも映画人の風貌。披講の折、自分の句が読まれるとひとこと「カガミ」と名乗られた。奥さんは津路清子という芸名の女優。日本映画隆盛の時代の人気監督を影で支えている妻の存在がうかがわれる。「寒雷・昭和十八年三月号」(1943)所載。(今井 聖)


January 1712013

 いくたびも名を呼び冬の星増やす

                           月野ぽぽな

書きに「コネチカット銃乱射に倒れた子供たちの冥福を祈り」とある10句のうちの最終に置かれた句。12月14日にアメリカで起きた20人の児童を含む26人が犠牲になった事件を悼んでの連作である。この事件で連想されるのは2001年6月に起こった池田小学校の事件だが、当時中学校に勤めていた私は突然教室を襲う暴漢に対処する訓練を受けた。そのとき生徒の立場で最後尾の列に座っていた私は教室後部のドアをいきなりあけて飛び込んできた暴漢役の先生が手に持つ武器で「あっ」という間もなく刺されていた。訓練だとわかっていても襲われた瞬間の恐怖は忘れられない。子供たちはどんなにか怖く痛かったことだろう。恐怖のうちに凶弾に倒れた子供たちを思うと、何ともいえない心持になる。この「何ともいえない」心持ちを俳句に託し読み手へ差し出すまでの道筋は遠い。言葉は正直なので薄っぺらな同情や偽善は炙り出されてしまう。連載された10句そして、掲句からは理不尽な凶弾に命を奪われた子供たちに対する作者の憐憫がひしひしと感じられる。俳句でこうした事件を詠む困難さに躊躇する前に暖かな感情を込めた言葉が動く作者の在り方に深く敬服する。『里』(2012/12月号第3巻第17号 通巻第117号)所載。(三宅やよい)




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