「貧乏人は麦を食え」と昔の首相。安倍さん、今は何を食えばいいの。(哲




2013ソスN1ソスソス13ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

January 1312013

 立膝の妻の爪切る女正月

                           薗田よしみ

正月は、小正月ともいい、女たちが、家事の一切から解放される習わしがありました。かつて、ガスコンロも水道の蛇口もなかった時代の正月は、来客をもてなすこともたいへんで、松飾を取り、鏡開きを終えた十五日頃になって、女たちはようやくひと息つけたわけです。掲句にはその気分があります。一読して、谷崎潤一郎のようなフェミニストの作かと思いましたが、作者は女性と知り、これを女性から男性たちへの一提言として読んでみますと、私なんぞはせめて 年に一度、妻の足指の爪を爪切りで切ってあげるべきだなあと、素直に賛同致します。妻が立膝をついて上方にすわり、夫はそのお御足を下方でお手入れするこの逆転の構図がおかしく、同時に、春琴と佐助の関係のような、ぞくりとするものもあります。ところで、日本には三種類の暦があります。現在使っている太陽暦(新暦)。明治六年以前まで使っていた太陰暦(旧暦)。そして、太陰暦が中国から入って来る前にあった太古の暦です。女正月は、この太古の暦の正月で、年の始まりも月の始まりの一日も、満月から始まっていました。無文字社会の古代カレンダーは、月の満ち欠けでした。「現代俳句歳時記・新年」(2004・学研)所載。(小笠原高志)


January 1212013

 大空に月ぶら下がり雲凍てぬ

                           池上浩山人

そらく半月と動かない凍雲、冴え冴えとした景である。凍つる雲と、その雲を照らすほどではない寒々とした月、その二つが一対の景をなして広々とした真冬の空と大気を感じさせている。儒子を父に持ち儒学にも明るかった作者であると知ると、中七から下五にかけて確かに漢詩的な印象だ。また、ぶら下がる、という表現は、伝統的な美と格調を重んじたという作風とはやや違っているようにも思えるが、古書修理の職人であった作者の、まさに見たまま感じたままの言葉であり、滲むことも強く光ることもない冬の半月の形のありのままを表していると言える。今日は今年最初の新月、先週末の真夜中に見た半月を思い出している。『新日本大歳時記 冬』(1999・講談社)所載。(今井肖子)


January 1112013

 寒燈の一隅を占め塑像の掌

                           黒田櫻の園

の園は金沢在住の俳人。戦後澤木欣一らと「風」を創刊。「馬酔木」の主要同人としても活躍した。この作句時は39歳。安東次男に次いで寒雷集の次巻頭を占めている。「寒雷」創刊からまだ三年、楸邨の出自である「馬酔木」から多くの若い俊英が投句していたことがうかがえる。前書きに「H氏アトリエ一句」。櫻の園は大学の歯学部を出たが、絵画、焼物の絵付、加賀友禅の絵柄などの製作デザイナーとしてその名を知られた。専門以外の分野に異才を放ったその後の傾向がこの句にも出ている。「寒雷・昭和十八年三月号」(1943)所載。(今井 聖)




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