三が日は宅配の弁当屋さんが休み。さてと、どうしのぐかな。(哲




2012ソスN12ソスソス19ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

December 19122012

 寒月やさて行く末の丁と半

                           小沢昭一

月10日に小沢昭一さんが83歳で亡くなった。ご冥福をお祈りします。夏頃に体調を崩され、ラジオの長寿番組「小沢昭一の小沢昭一的こころ」は、このところ体調不良のため、再放送で名調子をセレクトして楽しませてくれていたから、病状が気に懸かっていた。かつて「余白句会」にゲスト参加していただいたこともあった。また個人的には講演をお願いしたり、著作をいつも送っていただいたりしていた。そうしたなかの一冊から、追悼のこころをこめて掲句を取りあげた。すさまじくも寒々とした冬の月をまず配しておき、必ずしも安定していない芸人の行く末を、冗談めかして博奕の丁半になぞらえたあたりは、いかにもこの人らしい。近頃のあやしげで物欲しそうな“芸ノー人”が、テレビや雑誌をにぎわせている図は寒々しいかぎりだけれど、小沢さんは甘辛を熟知した本物の芸人魂をもっていた。ちょいと(いや、大いに?)スケベだったところも、私などは敬愛し魅了されていた。芸人としての甘辛が、うまい具合にこの人の俳句をいい感じに湿らせていたように思われる。ご自分の句を「苦しまぎれの即席吟ばかり」と謙遜されていたが、「スナックに煮凝のあるママの過去」などは天下一品の名句であると確信する。合掌。『楽し句も、苦し句もあり、五・七・五』(2011)所載。(八木忠栄)


December 18122012

 白鳥の双羽がこひに眠りたし

                           鈴木鷹夫

ャイコフスキーの名作『白鳥の湖』に登場する白鳥は、美しい姫が魔法によって姿を変えられたものだった。鳥のなかでもっとも気高く美しい白鳥にすることで、どれほど美しい姫であったかを想像させる。しかし、イメージの華麗さと異なり、実際の白鳥の着水は体重の重さも相まってどたどたっとしたものだ。オオハクチョウになると体重8キロから12キロ。両翼を広げた状態の差し渡しは2〜2.5メートルというから、掲句に隣合う〈近づいて来る白鳥の大いなる〉の迫力はいかばかりかと思う。「双羽がこひ」という言葉は初見だったが、それが純白の翼をうっとりと打ち重ねた様子であることは容易に想像がつく。そして、その翼の内側のおそらくもっともやわらかい羽毛のなかに抱かれ眠りにつきたいという作者の心持ちにはいたく賛同する。人間は両腕を広げた長さと身長がほぼ同じだといわれる。2メートルの大いなる母に抱かれた夜はどんな夢を見るのだろう。『カチカチ山』(2012)所収。(土肥あき子)


December 17122012

 忘年や水に浸りてよべのもの

                           山田露結

の台所。昨夜の忘年会で使った食器類が、そのまま水に浸っている。ちゃんと洗って片づけてから休めばよかったのにと思うけれど、疲れてしまって、とてもそんな気力はなかったのだ。それこそあとの祭りである。それにしても、何たる狼藉の跡か。この皿は欠けているけれど、いつどんなことでこうなったのか、何も思い出せない。きっとこんな光景は、毎年のことなのだろう。ある意味では、本番の忘年会よりも、こちらのほうに年の瀬を感じさせられる。「さあ、やっつけるか」と腕まくりをして洗いにかかる。水道の蛇口を全開にして洗いはじめると、今年もいろいろあったなあと、はじめて忘年の思いが胸をかすめはじめるのである。『ホームスウィートホーム』(2012)所収。(清水哲男)




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