都知事選告示日。大混戦必至。さあ、騒がしくなりそうだな。(哲




2012ソスN11ソスソス29ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

November 29112012

 鯛焼の余熱大江戸線を出る

                           川嶋隆史

つあつの鯛焼の袋を抱える楽しみはやはり寒くなってくると一段とうれしく感じられる。吉祥寺のハーモニカ横丁にある鯛焼はびっしりと尾まで餡が詰まっているうえ、餡の甘さもほどほどでとてもおいしい。茶色のハトロン紙に挟んだ鯛焼をほくほく食べながらアーケードを歩いている若いカップルをよく見かける。鯛焼は歩きながら食べるのがいい。さて、揚句では「大江戸線を出る」が句の眼目だろう。大江戸線は他の地下鉄の路線よりよっぽど深く掘ってあるのかなかなか地上にたどりつけない。何回もエレベーターを乗り換え蟻の穴から這い出る具合である。そんな地下鉄から寒い街へ出ると、抱えた鯛焼きの余熱がより暖かく感じられる。「大江戸線」と「鯛焼」の言葉の響き具合もいい。鯛焼には「ぐったりと鯛焼ぬくし春の星」西東三鬼の句があるが、これは鯛焼が生ぬるく、おいしくなさそうだ。やはり鯛焼のぬくみは冬に限る。『知音』(2012)所収。(三宅やよい)


November 28112012

 そぞろ寒仕事あり?なし?ニューヨーカー

                           長尾みのる

年九月現在のアメリカの失業率は7.8%だった。日本の約2倍で、相変わらず高い。「そぞろ寒」は秋の季語だけれど、ニューヨークのこの時季は寒さがとても厳しくなる。十数年前、十二月のニューヨークに出かけたとき、マンハッタンの道路では、地下のあちこちから湯気が煙のように白く噴き上げ、街角にはホームレスがたむろしていた。新聞のトップには、「COLD WAR」という意味深な文字が大きく躍っていた。そのことが忘れられない。掲句は冬を目前にして、仕事にありつけないでいるだろうニューヨーカーに思いを致しているのだ。みのるは「POP haiku」と題して、サキソホンを持ってダウンタウンの古いアパートメントに腰を下ろしている、若いニューヨーカーの姿を自筆イラストで大きく描いて句に添えている。私はすぐに十数年前のニューヨーク市街の光景を思い出した。現在はどうなのか? かつて海外放浪をしたみのるが心を痛め、ニューヨークに寄せる思いの一句であろう。彼は1953年に貨物船でアメリカに第一歩を踏んで、三年間に及ぶ世界一周の旅をしたという。「戦勝国なのにボロ着の失業者風の人々を沢山見て夢が弾けそうになった」と記している。俳句の翻訳も多く、「国際俳句ロシア語句会」のメンバーでもある。「慌ててもハナミズキ散るニューヨーク」の句もならんでいる。「俳句四季」2012年11月号所載。(八木忠栄)


November 27112012

 冬眠の蛙や頭寄せ合うて

                           榎本 享

京でも最低気温が10度を下回る日が続くようになり、そろそろ蛙は冬眠に入る頃だ。ウサギやリスなどぬくぬくと群れて冬眠するように思っていたが、蛙は単体で穴に寝ているイメージがあった。枯れきった花の根を掘りていると、冬眠中らしき蛙と遭遇したことがあるが、むっつりと迷惑そうにうずくまる姿には孤高の雰囲気すら漂っていた。しかし、調べてみると、実際には同じ場所で冬眠を過ごす蛙もいるようだ。よく知られた蛙の本アーノルド・ローベルの『ふたりはともだち』は、ひと足早く目覚めたかえるくんが、がまくんを起こしに行く場面から始まる。両手両足を持つ擬人化がたやすい生きものだからこそ、冬眠中の姿が容易に思い描けなかった。掲句と事実を知ったことで、どこかでひしめき合って春を待つ蛙の家族もいるのだろうと、ほほえましくなった。ところで、このたび蛙の冬眠を調べていてもっとも驚いた記事。「蛙は意外と丈夫で、一度や二度凍らせてしまっても生きていますから、あわててお湯をかけたりしないでください。氷が解ければなにごともなかったように冬眠の続きに入りますので心配いりません」(信州根羽村茶臼高原「カエル館」カエルの質問Q&Aより)。意外と丈夫どころじゃありません……。〈足袋替へに入りし部屋の暗さかな〉〈初猟の湯呑を置きて発ちゆけり〉〈さみしいといふ子ねむらせ藤の花〉『おはやう』(2012)所収。(土肥あき子)




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