黒いキーボードだから埃が目立つ。毀れたら白いのに取り換えたい。(哲




2012ソスN10ソスソス28ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

October 28102012

 をりとりてはらりとおもきすすきかな

                           飯田蛇笏

すき一本を活け花のように立てた句です。句には表現されていませんが、すすきをささえる指のはたらきが繊細です。満月に供えるためでしょうか。野に出てすすきを折り、手に取って、親指・人差し指・中指でもつと、その穂は、はらりとしだれ、三本の指に重さがかかります。句では、二つの動詞と副詞・形容詞がすすきにかかっていますが、そのすすき一本を、三本の指でささえています。「はらり」が軽さを形容するので、「おもき」はじかに伝わります。なお、表記をすべてひらがなにしているのは、韻律を気づかせたい意図もはたらいているからでしょう。「をriとriてはらriとおもkiすすkiかな」。「i」が脚韻として音の筋を通すことですすき一本が立ち、はらりとおもき手ごたえも伝わります。「現代俳句歳時記・秋」(1999・現代俳句協会編)所載。(小笠原高志)


October 27102012

 厠なる客のしはぶき十三夜

                           大橋櫻坡子

(しわぶき)と十三夜、いかにも晩秋を感じさせる。ただでさえ十三夜は、やや欠けていることのもの寂しさと、晩秋の夜の静けさと、多くの情感を合わせ持っている言葉である。そこにしわぶく音が弱々しく聞こえる、というのはあまりに情に流れるのでは、というところを、厠なる客、の具体性がうまくバランスを与えている。厠、という古来の言葉が、歩くと軋みもする日本家屋を思わせ、少し離れたところから聞こえる月の友の咳が、いよいよ澄み渡る夜の大気を感じさせる。今年の名月は、雲の切れ間に垣間見えたり、深夜から明け方ふと気づいたら見えていたり、待ちかまえているところに上ってくるのとはまた違った趣があった。万全でないこともまた好もしい、十三夜を愛でる心持ちもそれと似ているかもしれない。『大橋櫻坡子集』(1994)所収。(今井肖子)


October 26102012

 尋ね人尋ねつづける天の川

                           吉田汀史

だ小学生の頃だったろうか、新聞に尋ね人の欄があったように記憶している。ラジオでもそれだけを読み上げる番組があったような。1950年という僕の生年は若い頃は戦争を知らない子供などと新時代の始まりを強調されたが、考えてみると日本中に爆弾が降った戦争が終わってまだ5年しか経っていなかったのだ。シベリア抑留の人たちもまだ舞鶴に着いていた。尋ね人は行方不明の人たち。今日も多くの新しい「尋ね人」が生まれている。『汀史虚實』(2006)所収。(今井 聖)




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