迷った末、Kindleは止めてiPad miniを予約。これで外出時が楽に。(哲




2012ソスN10ソスソス27ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

October 27102012

 厠なる客のしはぶき十三夜

                           大橋櫻坡子

(しわぶき)と十三夜、いかにも晩秋を感じさせる。ただでさえ十三夜は、やや欠けていることのもの寂しさと、晩秋の夜の静けさと、多くの情感を合わせ持っている言葉である。そこにしわぶく音が弱々しく聞こえる、というのはあまりに情に流れるのでは、というところを、厠なる客、の具体性がうまくバランスを与えている。厠、という古来の言葉が、歩くと軋みもする日本家屋を思わせ、少し離れたところから聞こえる月の友の咳が、いよいよ澄み渡る夜の大気を感じさせる。今年の名月は、雲の切れ間に垣間見えたり、深夜から明け方ふと気づいたら見えていたり、待ちかまえているところに上ってくるのとはまた違った趣があった。万全でないこともまた好もしい、十三夜を愛でる心持ちもそれと似ているかもしれない。『大橋櫻坡子集』(1994)所収。(今井肖子)


October 26102012

 尋ね人尋ねつづける天の川

                           吉田汀史

だ小学生の頃だったろうか、新聞に尋ね人の欄があったように記憶している。ラジオでもそれだけを読み上げる番組があったような。1950年という僕の生年は若い頃は戦争を知らない子供などと新時代の始まりを強調されたが、考えてみると日本中に爆弾が降った戦争が終わってまだ5年しか経っていなかったのだ。シベリア抑留の人たちもまだ舞鶴に着いていた。尋ね人は行方不明の人たち。今日も多くの新しい「尋ね人」が生まれている。『汀史虚實』(2006)所収。(今井 聖)


October 25102012

 通称はちんぽこ柿といふさうな

                           西野文代

の年になると「ちんぽこ」なんて言葉を聞いても笑って通りすぎることができるけど若くて気取ってた頃は聞くだけで恥ずかしかった。坪内稔典著『柿日和』によると、柿の名前は同じ品種でも地方によって異なるらしい。調べてみると「ちんぽこ柿」は「珍宝柿」先がとがった筆柿の呼び名のようだ。なんともユニークな名前。少しこぶりのこの柿が籠に5つ、6つ盛られている様子を思うと可愛らしく感じられる。初めてこの名前を知って「そうなん!」と合点した作者の嬉しがりようも伝わってくるようだ。次郎柿、富有柿など数ある柿の名前の一つとして、歳時記の「柿」の項にこの句を置いてみたい。気取りなく、秋を彩る柿の心やすさにぴったりに思える。『それはもう』(2002)所収。(三宅やよい)




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