高年齢雇用安定法改正。2025年度には65歳までの雇用義務づけ。(哲




2012ソスN8ソスソス30ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

August 3082012

 夏の川ゴールデンタイムちらちらす

                           こしのゆみこ

は追憶の季節でもある。子供のころ当たり前のようにめぐってきた夏休みは退屈であきれるほど時間があった。だからと言って朝から晩までテレビを見たわけではない。あの頃のテレビは劇場の緞帳に似た覆いがかかっていて、好き勝手につけていいものではなかった。子供にチャンネル権はなく、家族がテレビの前に集まって見るゴールデンタイムの番組は夜の楽しいひとときだった。それも今は昔。朝から晩まで番組を流し続けるテレビに高揚感はなくなり、「ゴールデンタイム」はある世代の記憶の中にある時間帯になってしまった。掲句は夏の日を受けてちらちら光る川面を見ているうち「ゴールデンタイム」へ連想が及んだのか。白っぽく光る真空管テレビで見た「ディズニーランド」「鉄腕アトム」「宇宙家族ロビンソン」など子供心を浮き立たせた番組を懐かしく思い出す。あと一日で子供たちにとって至福のときである夏休みも終わってしまう。『コイツァンの猫』(2009)所収。(三宅やよい)


August 2982012

 ラムネ飲んでその泡のごと別れたる

                           和田博雄

ムネの泡は一挙に激しく盛りあがるけれど、炭酸ゆえにたちまち消えてしまう。この場合の「別れ」はいかなる事後の別れなのかわからない。しかし、ラムネの泡のごとくあっさりしたものなのだろう。ビールの泡のごとき別れだったら、事情はちがってくる。博雄が下戸だったかどうかは知らないが、この別れは男同士ではなく、男と女の別れと解釈したほうが「ラムネ」が生きてくる。それはあまり深刻なケースではなかったのかもしれないし、逆に深刻の度を通り越していたとも考えられるけれど、それ以上に「別れ」をここで詮索する必要も意味もあるまい。このごろのラムネ瓶はプラスチック製だから、振っても音がしないのが口惜しい。博雄は吉田内閣で農林大臣や国務大臣をつとめ、のちに左派社会党の書記長をつとめたことでも知られる。俳句の上で博雄とつき合いのあった安藤しげるは「和田さんは、後に政界をスッパリ引退し、俳句三昧に遊び……」と書いている。西東三鬼の句に「ラムネ瓶太し九州の崖赤し」がある。安藤重瑠『戦渦の疵を君知るや』(2012)所載。(八木忠栄)


August 2882012

 八月のしばらく飛んでない箒

                           森田智子

ょうど今頃の空を「ゆきあいの空」と呼ぶという。広辞苑によると「夏秋の暑気・涼気の行き合う空」と出ている。古今和歌集に〈夏と秋と行きかふ空のかよひ路はかたへすずしき風や吹くらむ〉があり、残暑と秋が幾層にも混じり合った空気が感じられる。4月30日から5月1日にかけて、魔女たちが集まるといわれるワルプルギスの夜も、北欧の長い冬から夏への変わり目を祝うものだ。作者はいつものように庭箒を使いながら、どことなく使い心地の違う箒に、魔女の笑いを浮かべて、八月のおそらく美しい夕焼けの空を見あげている。民間伝承によると、魔女が空を飛ぶ道具として箒のほかにも熊手、シャベルなど、いずれも柄のついたものにまたがる図もあるというが、もっともシルエットが美しく、スピード感が出る箒が定着したのだといわれている。それにしても、ドラキュラが小さな蝙蝠となってこそこそ飛ぶ姿と比べ、箒でゆうゆうと滑空する魔女たちのなんと堂々としたものか。今夜あたり、飛びたい箒たちがあちらこちらでうずうずとしているのかもしれない。〈台風の一夜をともに鳥獣〉〈飛行機の中の空気や天高し〉『定景』(2012)所収。(土肥あき子)




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