何も書いてない真っ白なはがきが届いた。プリント洩れにはご用心。(哲




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December 05122011

 すぐ驚く老人が好き冬青空

                           大部哲也

持ちの良い句である。意表を突かれた。言われてみれば、なるほどと納得できる。こういう価値基準と言おうか、人の見方もあったのだ。むろん「すぐに驚く」とは一種の比喩でもあって、その他何事につけても反応がビビットであるという意味あいが込められている。見回してみると、数は少ないが、こういう老人はたしかに存在する。いつまでも子供のような好奇心を持ちつづけているからだろうが、好奇心の持続には、何か特別な秘訣でもあるのだろうか。私などはめったに驚かなくなってきているから、句の老人にちょっとジェラシーを感じてしまった。そして「冬青空」との取り合わせには、けれん味が無くて主題にふさわしい季語だと、好感が持てる。読者から言えば、こういう発想が素直に出てくる作者をもまた「好きだなあ」ということになりそうだ。『遠雷』(2011)所収。(清水哲男)


December 04122011

 初雪を見てから顔を洗ひけり

                           越智越人

浜とか東京とか、関東平野に長く住んでいると、初雪というものに対する感慨はそれほどありません。朝のニュースで、「昨日は東京にも初雪が降りました」と聴いても、ああそうかと思うだけです。というのも、目を細めなければ見えないほどのかすかな降雪が、短時間あるだけだからです。でも、積雪を経験する地域の人にとっては、「初雪」というのは特別な意味を持っているのでしょう。雪の中の生活への、境目としての重要な意味があるわけです。江戸期の俳人越山が見た初雪はどちらだったのでしょう。今の生活と違って、窓のない部屋の中で洗面を済ましたのではなく、外にむき出しの縁側を通り、顔を洗ったのではないでしょうか。季節の境目としての重い「初雪」を、日常の動作の中で軽くむかえる事。そのギャップの面白さをこの句から、読み取れるのではないでしょうか。『日本大歳時記 冬』(1971・講談社) 所載。(松下育男)


December 03122011

 押入をからつぽにして布團干す

                           草野駝王

れを書いている今日は気持ちのよい冬晴れ、この句が生まれた日もきっと今日のような青空が広がっていたことだろう。布団を運んで並べ叩き整え、さてあとはよろしくお日さま、と思う時の満足感が伝わってくる。押し入れは、布団を干したから今はからっぽになったのだが、からっぽにして、と言われるとなお、存分に日を浴びている布団が幸せそうに目に浮かぶ。掲出句は『現代俳句全集』(1953・創元社)という古い文庫本にあった。作者は明治三十四年生まれ、そう知ると、からつぽにして、は新しかったのかもしれないなと思う。ホトトギス作家編(I)として130人ほどの作品が一人概ね30句、淡々と太い句が並んでいる。(今井肖子)




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