いよいよ冬将軍のお出ましだ。今日は全国的に荒れ模様らしい。(哲




2011ソスN12ソスソス3ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

December 03122011

 押入をからつぽにして布團干す

                           草野駝王

れを書いている今日は気持ちのよい冬晴れ、この句が生まれた日もきっと今日のような青空が広がっていたことだろう。布団を運んで並べ叩き整え、さてあとはよろしくお日さま、と思う時の満足感が伝わってくる。押し入れは、布団を干したから今はからっぽになったのだが、からっぽにして、と言われるとなお、存分に日を浴びている布団が幸せそうに目に浮かぶ。掲出句は『現代俳句全集』(1953・創元社)という古い文庫本にあった。作者は明治三十四年生まれ、そう知ると、からつぽにして、は新しかったのかもしれないなと思う。ホトトギス作家編(I)として130人ほどの作品が一人概ね30句、淡々と太い句が並んでいる。(今井肖子)


December 02122011

 新大久保の大根キムチ色の空

                           夏井いつき

浜に住んでいて昔ながらの繁華街伊勢佐木町はかなり東南アジア系の店が増えていることを実感する。最初はおっかなびっくりでなんとなく敬遠していた異国料理の店もそのうちみんな抵抗なく通うようになる。新大久保もそうだ。風俗系の店が多い印象だったのが、今や人気のある韓国料理の店に行列が出来ている。大根キムチの色の空は夕方かな。白い雲に夕焼けが薄く滲んでいる。この大根が季語かどうかなどという論議は無用。そもそも日本的なるものが無国籍のはちゃめちゃな面白い情緒に姿を変える。そこでも俳句はちゃんと生きていける。そういう主張とエネルギーに満ちた句だ。俳句マガジン「いつき組」(2011年12月号)所載。(今井 聖)


December 01122011

 冬を明るく弁当の蓋開けて

                           興梠 隆

弁でも家で作ってもらったお弁当でも、何が入っているんだろう、期待を持って蓋を開ける瞬間は楽しい。私事になるが、むかし家の事情で、おそまつな弁当しか持っていけない時期があり、友達の前で弁当の蓋をとるのが嫌だった。友人たちは母親の心づくしの彩り鮮やかなおかずに加え小さなタッパ―に食後のフル―ツまで持参しているのに、私のお弁当ときたら目刺だの煮しめた大根だの佃煮だの、やたら茶色っぽいものだったから。と、言ってもそんな弁当格差は人と比べるから出てくるわけで、地味なお弁当であってもお昼休みに「さぁ、食べよう」と、蓋を開ける心のはずみは失われることはない。掲句では弁当を開けるささやかな行為と喜びが「冬を明るく」と空間的広がりに結び付いてゆくのが素晴らしい。倒置の効果が十分に生かされた一句である。『背番号』(2011)所収。(三宅やよい)




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