11月の野球ってのもいいな。今年の日本シリーズは見応えあり。(哲




2011ソスN11ソスソス18ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

November 18112011

 焼藷の破片や体を伝ひ落つ

                           波多野爽波

〜んと唸ってこりゃすごいやと思う句は才能を感じたときだな。巧いとかよくこんな機智を考えついたなというのは大した感動じゃない。こりゃあ、ついていけん、負けたという句に出会いたいのだ。そういう意味ではこの句には僕は脱帽だ。まず破片という言葉の発想が出ない。伝ひ落つも出ないな。これが滑稽を狙った句に見える人はだめだな。焼藷→女性が好き→おならというような俗の連想でしか事象を見られないとこの句が滑稽の句になる。焼藷を食う。ぼろぼろと皮が落ちる。男でも女でも老人でも子どもでもいい。即物客観。連続する時間の中の瞬間が言い止められている。これが「写生」の真骨頂だ。「はじめより水澄んでゐし葬りかな」「大根の花や青空色足らぬ 」「大根の花まで飛んでありし下駄」爽波さんにはこんな句もあるがみんなイメージの跳び方に独自性を図ってそれを従来の型に嵌めこんだ句だ。ここには熟達した技量は感じられてもそれをもって到達できる範囲だという感じがある。この句は技術や努力では出来ません。『湯呑』(1981)所収。(今井 聖)


November 17112011

 三代の女系家族が菊燃やす

                           蔵前幸子

系は女の系統、母方の血統と辞書にある。卷族の男性の影が薄く女中心に物事が決定される家なども女系家族と呼ばれることもあるようだ。掲句のシーンは祖母、母、娘がぐるりと火を囲んで枯菊を燃やしているのだろう。ただ、枯れた菊ではなく単に菊を燃やすと書かれているので、乱れ咲いている菊をそのままくべているようで生々しい。菊は延命長寿、邪気払いの薬効のある花でその菊を燃やす様子がまじないをしているようで怖い。これが祖父、父、息子の組み合わせだとまた様子が変わってくるだろう。三代は三人にも通じ、マクベスの魔女も思わせて、枯れ菊を焚く光景が怪しい雰囲気を醸し出している。『さっちゃん』(2009)所収。(三宅やよい)


November 16112011

 満月を浴びて少年探偵団

                           嵐山光三郎

ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団/勇気りんりん瑠璃の色……この主題歌は今でも耳にしっかり残っていて、歌えば年甲斐もなく心がワクワクドキドキしてくる。映画化され、テレビでも連続放映された、言わずと知れた江戸川乱歩作「怪人二十面相」。名探偵明智小五郎を補佐する小林少年を団長とする「少年探偵団」の登場である。同世代の光三郎も、きっとワクワクしながらこの句を作ったにちがいない。「ぼ、ぼ、ぼくら……」の"bo"音の吃るように連続する響きに他愛もなく、それこそ「ぼ、ぼ、ぼくら」はかつてたやすく電波に攫われてしまっていた。それに「りんりん瑠璃の色」と"r"音が連続する。しかも外は満月。「ぼ、ぼ、ぼくら」の連続音に誘われるように、夜空に高く満月は昇ってくる。そして満月に怪しい姿を暗躍させる怪人二十面相が、見えてきそうではないか。今夜もこれから事件が起きて、少年探偵団が活躍することになりそうな予感がする。こちらの気持ちも若返って胸が高鳴ってくる。掲句は光三郎が中学三年生のとき、ガリ版刷りの文芸誌に発表したものだという。いかにも少年らしい明るさがある。ほかに光三郎句「あまぎ嶺に谺し冬の鳥射たる」がある。「俳句界」(2011年11月号)収載。(八木忠栄)




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