このところ寒かったせいか、秋の虫たちがあまり鳴いてない。(哲




2011ソスN10ソスソス8ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

October 08102011

 木犀や木の中はまだ雨が降る

                           八木荘一

が家の朝の窓に金木犀の香りがしたのは、今年は十月一日。植え替えた庭の木は残念ながら昨年同様花をつけないのだが、ご近所のそこここから香ってくる。一雨で、開花して香ることも香りごと散ってしまうこともあるが、ぐっと冷えこんだ雨の中、これを書いている今日もまだよく香っている。先日、どんよりとした空模様の中出かけた庭園に、それはりっぱな金木犀の一樹があった。少し湿った香りを放つその樹に近づいた時急に日差しが広がって、それまでとは違う明るい木犀の風に包まれた。日の中で輝く花とどこか濡れている幹と香り。雨を抱いたまま、やがて木犀も散ってしまう。『季寄せ 草木花』(1981・朝日新聞社)所載。(今井肖子)


October 07102011

 しどみ紅く滴りて服売りし金とどく

                           小川一灯

どみは草木瓜のこと。一灯(いっとう)は1916年生まれ。若い頃結核に罹り多年療養所で暮らし37歳で早世している。同じ頃に療養していた波郷と出会いその影響を受けた。波郷には「草木瓜や故郷のごとき療養所」がある。滴るのはしどみの紅色。なんともぎくしゃくするリズムの中に作者の切迫した真実が通う。『みんな俳句が好きだった』(2007)所載。(今井 聖)


October 06102011

 本棚に本の抜け穴十三夜

                           火箱ひろ

うやって鑑賞を書いている最中に「えっと、確かあの本に載ってたっけ」ごそごそと本棚を探すときがある。確かこのあたりにあるはずとあたりをつけてもブツは出てこない。探していると見つからず、忘れた頃にひょこっと現れる。そんな時、忘れっぽい自分は棚にあげて「本棚には本の抜け穴があって、どこかに行っているのだろう。」と掲句のように考えると気も楽になる。そういえば歌人の高瀬一誌に「あそび呆けていた鋏は十日間かけて帰ってくるもの」という短歌があって、読んで以来すぐ指定の置き場所からなくなる鋏もやっきになって探さなくなった。煌々と月の輝く十三夜、本棚を抜け出した本が集まってのんびりお月見をしているかもしれない。『えんまさん』(2011)所収。(三宅やよい)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます