三鷹市市民文化祭では句会もある。センセイはどなたかしらん。(哲




2011ソスN10ソスソス7ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

October 07102011

 しどみ紅く滴りて服売りし金とどく

                           小川一灯

どみは草木瓜のこと。一灯(いっとう)は1916年生まれ。若い頃結核に罹り多年療養所で暮らし37歳で早世している。同じ頃に療養していた波郷と出会いその影響を受けた。波郷には「草木瓜や故郷のごとき療養所」がある。滴るのはしどみの紅色。なんともぎくしゃくするリズムの中に作者の切迫した真実が通う。『みんな俳句が好きだった』(2007)所載。(今井 聖)


October 06102011

 本棚に本の抜け穴十三夜

                           火箱ひろ

うやって鑑賞を書いている最中に「えっと、確かあの本に載ってたっけ」ごそごそと本棚を探すときがある。確かこのあたりにあるはずとあたりをつけてもブツは出てこない。探していると見つからず、忘れた頃にひょこっと現れる。そんな時、忘れっぽい自分は棚にあげて「本棚には本の抜け穴があって、どこかに行っているのだろう。」と掲句のように考えると気も楽になる。そういえば歌人の高瀬一誌に「あそび呆けていた鋏は十日間かけて帰ってくるもの」という短歌があって、読んで以来すぐ指定の置き場所からなくなる鋏もやっきになって探さなくなった。煌々と月の輝く十三夜、本棚を抜け出した本が集まってのんびりお月見をしているかもしれない。『えんまさん』(2011)所収。(三宅やよい)


October 05102011

 正面に月を据えたる秋の酒

                           一龍斎貞鳳

識的かもしれないが、まあ、呑んベえなら「秋の酒はこうでありたい」という願いを、絵に描いたような句である。「正面に月」だからではないが、まさしく正面から正攻法で詠まれた、一点の曇りもない句である。月と斜っかいではなく、正面から腰を据えて向き合っている。たまにこういう句に出会うとホッとする。年がら年中、時も場所もわきまえないで、のべつ酒杯をはこぶ左党諸氏にとっても、秋という季節に酌む酒はまた格別であろう。しかも皓々と照る月を正面に眺めながらの酒である。大勢集まってにぎやかに酌むもよし、気の合った二、三人、あるいは一人静かに酌む酒であってもいい。だが、こういう設定は環境的にむずかしくなってきてはいないか。掲句には「四十一年九月二十九日、中秋名月に我が家にて」と詞書が添えられている。貞鳳は言うまでもなく講談師。テレビ・ドラマの「お笑い三人組」で知られたが、昭和四十六年に参議院議員になった。その後、国会対策副委員長、政務次官などを歴任して引退した。俳句は独学二十年。久保田万太郎、富安風生らに私淑したという。随筆集『想ひ川』(1978)には鷹羽狩行選考による「病妻抄」として約三百句が収められている。他に「秋刀魚にも義理人情あるがごと」などの句がある。『講談師ただいま24人』(1968)所収。(八木忠栄)




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