いよいよ明日は15周年記念会。お出かけの方は、お気をつけて。(哲




2011ソスN7ソスソス29ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

July 2972011

 暗き天にて許されて花火爆ず

                           三好潤子

れが誓子の「天狼」正系とも言うべき作風だ。自然の「もの」と「もの」との関係を「知」の働きで結ぶ。機智には違いないが、どこか突き放して詠うために一句の颯爽としたスタイルが強調される。言辞に粘着性がないのだ。すぐれた機智には必ず己れが乗り移る。詠う側に祈りがあるからだ。中耳結核、肝炎、両下肢血管栓塞症、脳腫瘍。生涯、難病と付き合いつづけて1985年59歳で逝く。「暗き天」も「許されて」も納得がゆく。潤子はじゅんこ、着物の似合う美しい女性であった。『曼珠沙華』(1989)所収。(今井 聖)


July 2872011

 ことごとく髪に根のある旱かな

                           奥坂まや

かに髪にはことごとく毛根がある。しかし日常モードで使われる毛根は「毛根にチカラ」とか「毛根を強くする」なんてヘアケア用語のレベルにとどまっているように思える。それが、「髪に根のある」とことさらの表現に「旱」が続くと、水のない白く乾ききった大地にしぶとい根を張る植物のイメージと毛根が重なり合う。それとともに、ことごとく根のある黒髪をみっしりと頭にいただく鬱陶しさと、物を涸れつくす「旱」の白く乾いた眩しさが思われる。相反する要素が暑さという共通項で繋がり「かな」という切れでくっきりと印象づけられる。こうした句を読むと、なだらかに読みくだす十七音に置かれた言葉の配列の妙を感じずにはいられない。『妣の国』(2011)所収。(三宅やよい)


July 2772011

 間断の音なき空に星花火

                           夏目雅子

日本大震災があって、今夏は花火を自粛したり延期したりする地域が目立つ。うーん、仕方がないか。でも、万感の思いをこめて揚げられる復興花火こそは、いつになく夜空をダイナミックに彩ってほしいと願いたい。白血病のため二十六年前、二十七歳の若さで惜しまれつつ逝った女優夏目雅子は、高校時代から俳句をはじめたそうで、俳句を趣味として、女優になってからは浅井慎平らの東京俳句倶楽部に顔を出すようになったという。掲句は慶応病院に入院中、最期に詠んだ俳句とされる。八月の神宮外苑花火大会だろう(今年も開催される)。病院の締めきった窓からは、花火の色やかたちは見えても音ははっきりと聴こえてこない。音なき花火は拍子抜けするものだが、それにとどまらずどこかしら淋しい。遠い夜空の星花火として眺めている雅子の表情は、一見うれしそうでも、じつは淋しかったにちがいない。単に「花火の音」ではなく「間断の音なき」としたことで、花火がいっそう立体化されている。雅子には破調の句が多く、山頭火の句を好んだという。俳号は海童。「水中花何想う水の中」という、どこかしら自分をイメージしているような句もある。『みんな俳句が好きだった』(2009)所載。(八木忠栄)




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