今宵から巨人阪神三連戦。例年とは違って何となく乗れない気分。(哲




2011ソスN7ソスソス12ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

July 1272011

 ボート漕ぐ翼のごとく腕を張り

                           松永浮堂

を張り、肩甲骨を引き寄せるボートを漕ぐ動作と、鳥の羽ばたきの動きは確かに酷似している。ことにレガッタなど数人が連なるボート競技を見ていると、腕とオールが翼と化して、水面を羽ばたいているように見えてくる。長い翼の中心に据えられた背中が、ことに鳥のそれを思わせるのだ。以前、デイヴィッド・アーモンドの『肩甲骨は翼のなごり』という書籍をジャケ買い(カバーの印象が気に入って買ってしまうこと)したことがある。残念ながら内容は生物図鑑とはまるきり関係なく、感動的な小説だったが、なにより翼のなごりが自分の身体にもあるのだということが、心を広々と解放させてくれた。とはいえ、体重10kgほどの大白鳥でさえ、両翼を開いた状態で2mを越える。人間が飛べる翼とはどれほどのものだろうと調べてみると、なんと片翼だけで17mが必要になるという。邪魔か。『遊水』(2011)所収。(土肥あき子)


July 1172011

 出目金に顔近づけて聞き流す

                           陽美保子

う重要な話でもないが、いちいちうなずくのも面倒な中身だ。そんな話をしてくる人が傍らにいて、なおくどくどとつづけてくるので困っていると、折よく目の前に金魚を飼っている水槽があった。デパートなどの一角だろうか。べつに出目金など見たくはないのだけれど、「おっ」と引きつけられ感心したふりをして顔を近づけ、相手の話をやり過ごしたというのである。さすがに、この人も黙ってしまったことだろう。作者が見入ったのが出目金だったのが、なんとも可笑しい。作者自身の目も、このときの意識では出目金状態にあるからだ。日常の瑣事中の瑣事をうまくとらえた佳句である。こういうことが書けるのは、俳句だけでしょうね。『遥かなる水』(2011)所収。(清水哲男)


July 1072011

 待たさるることは嫌ひなサングラス

                           安藤久美

の句を読んだ時に、どうしても思い出してしまうのは、つい先日、辞任をした大臣のことです。数分待たされただけで、相手を叱りつけていた映像を幾度か見ましたが、人が人を叱っているところを見るのは、なんともつらいものです。みちなかで、小さな子どもを叱りつけている母親を見るのもいやだし、電車の中で頑固そうな老人が、奥さんを意地悪くいじめているのを見るのも、いやな気分です。サングラスというと、どこか横柄で威張った感じがするので、このような句ができたのでしょう。確かにうまいなと思います。でも、サングラスをかけている人が皆、横柄かと言うと、もちろんそんなことはありません。どちらかというと内気で、人の顔もまともに見られないデリケートな心の持ち主だって、ひっそりとサングラスをかけます。そういえばあの元大臣は、記者会見で薄いサングラスをかけていたなと、また思い出してしまいました。この句にはなんの関係もないのだとは、もちろんわかっているのですが。『新日本大歳時記』(2000・講談社) 所載。(松下育男)




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