今年の梅雨明けはかなり早い。何でも異常と見てしまいがちだが。(哲




2011ソスN7ソスソス10ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

July 1072011

 待たさるることは嫌ひなサングラス

                           安藤久美

の句を読んだ時に、どうしても思い出してしまうのは、つい先日、辞任をした大臣のことです。数分待たされただけで、相手を叱りつけていた映像を幾度か見ましたが、人が人を叱っているところを見るのは、なんともつらいものです。みちなかで、小さな子どもを叱りつけている母親を見るのもいやだし、電車の中で頑固そうな老人が、奥さんを意地悪くいじめているのを見るのも、いやな気分です。サングラスというと、どこか横柄で威張った感じがするので、このような句ができたのでしょう。確かにうまいなと思います。でも、サングラスをかけている人が皆、横柄かと言うと、もちろんそんなことはありません。どちらかというと内気で、人の顔もまともに見られないデリケートな心の持ち主だって、ひっそりとサングラスをかけます。そういえばあの元大臣は、記者会見で薄いサングラスをかけていたなと、また思い出してしまいました。この句にはなんの関係もないのだとは、もちろんわかっているのですが。『新日本大歳時記』(2000・講談社) 所載。(松下育男)


July 0972011

 サルビアの真赤な殺し文句かな

                           徳永球石

ルビアの赤はまさに赤、紅ではない。今ちょうど試験の採点に使っているこのサインペンの赤、どことなく郷愁を誘う色である。この赤といい、殺し文句というフレーズといい、ひと昔前の香りがしている。この赤が、真っ赤な嘘、と同じだとすれば、あからさまな、明らかな、という意味合いだ。サルビアの花言葉のひとつは情熱、原産国はブラジル。群生して咲くサルビアの赤は圧倒的ではあるけれど、そんな殺し文句には惹きつけらると言うよりちょっと引いてしまいそうである。『新日本大歳時記 夏』(2000・講談社)所載。(今井肖子)


July 0872011

 かたつむり掘削續く殻の奥

                           中原道夫

たつむりの殻の中で掘削が行われているとはっきり直喩にしてしまうところがこの句の特徴。手としてはもうひとつあって、例えば山の掘削音を聞かせ蝸牛の殻を出してきて、まるで殻の中で掘削が行われているかのようですねと読者に感じさせしめるという方法。後者の方が難しい。そう意図しても読者はそこまで突っ込まないかもしれないから。読者に絵解きさせるのではなくて自分で比喩のオチをきちんとつけてしまうやり方。解り易いこと。これが現代流行の一大特徴と思われる。『天鼠』(2011)所収。(今井 聖)




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