例年、梅雨明け前には大雨が。西日本はまもなく明けるのかな。(哲




2011ソスN6ソスソス21ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

June 2162011

 夏至の日の水平線のかなたかな

                           陽美保子

日は夏至。北半球では一年で一番日の長い日である。日本ではたまたま梅雨のさなかに訪れるので実感は乏しいが、北欧では夏至(ミッドサマー)はクリスマスと同じくらい大切にされている。夏至祭のシンボル「メイポール」は白樺の葉とさまざまな花で覆われ、美しい民族衣装に身を包んだ男女がポールの周りを輪になって歌い踊る。最近知った「FIKA(フィーカ)」なる言葉は、スウェーデン語でティーブレイクを意味する。スウェーデンに本社を持つ企業では、夏至のためのFIKAが取られるという。遠く離れた異国の文化に胸を打たれるのは、太陽を寿ぐという生きものとしての源に深く共感するからだろう。沈まない太陽が地平線を流れるように移動する北欧の夏至の日を思えば、掲句の水平線がまだ見ぬ国を思わせる。そして、太陽は今日も地球のすみずみまであまねく光りを行き渡らせる。〈まつすぐに足の伸びたる裸かな〉〈かたつむり殻を覗けばをりにけり〉『遥かなる水』(2011)所収。(土肥あき子)


June 2062011

 天井扇ゆっくりリリー・マルレーン

                           花谷 清

本の情景ではないだろう。「リリー・マルレーン」は、もう七十年ほども前のドイツのヒット曲。兵営の門の前にある街灯の下で、恋人に逢いたいという兵士の気持ちがこめられた歌だ。これを第二次世界大戦の欧州戦線でドイツ軍が謀略放送で毎日定期的に流したところ、相手側のイギリス軍兵士にも大きな人気を呼び、あわてた英軍司令部が聞くことを禁じたというエピソードが残っている。作者はこれを、ヨーロッパのどこかの古びたレストランのような店で耳にしたのだろう。昔の若き兵士たちの純情をいやが上にも盛り上げる甘やかでどこか寂しいメロディーが、天井でゆっくり回っている扇風機の無機的な回転音とないまぜになったとき、心に浮かんでくるのは戦争の限りない空しさであろうか。私も若いときに、この歌をミュンヘンの古いレストランで楽士に弾いてもらったことがある。つわものどもの夢の歌。思いはやはり戦争の無情であり、無常であった。この曲を聴きたい方は、ここをクリックしてください。1939年版とあるので、おそらくこれがオリジナル曲でしょう。『森は聖堂』(2011)所収。(清水哲男)


June 1962011

 アロハ着てパスポートどのポケットへ

                           山崎ひさを

の句は、パスポートをどのポケットへ入れたらよいのか迷っているということのようです。海外のリゾート地に到着してすぐに、とにかくアロハシャツに着替えたものの、薄い生地の胸ポケットは、何を入れてもだらしなく下がってしまいます。とはいうものの、このだらしのなさが避暑地に来た目的でもあるわけです。たしかに、海外旅行をしていると、なにか失くしていないかと、四六時中探し物をしているような気分になります。出入国の手続きをしている時でさえ、あれはどのポケットに入れただろうか、これはさっきまでこのポケットに入っていたはずだがと、次々にものを探しているようです。アロハを着ているわけだから、それほどたくさんのポケットがついているわけでもないのに、いざ必要となったその時には、パスポートを探すために大騒ぎで両手は、ポケットの底を探し回ります。『新日本大歳時記』(2000・講談社) 所載。(松下育男)




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