今日は全国各地で脱原発デモ。腰痛で参加できないのが歯がゆい。(哲




2011ソスN6ソスソス11ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

June 1162011

 欠けて行く力を溜めて梅雨満月

                           関根誠子

雨入り前、朝のベランダでうすい下弦の月が新樹の風に消えてゆくのを日ごと眺めていた。色を深める木々の力強さと、どんどん細くなる月。そして朔は先週の二日、今やだいぶふくらんできた月が満ちるのは来週十六日だ。満開の桜も、散る力を溜めているように思えるけれど、梅雨満月もまた自らを削ぎ落としてゆく力を溜めている、と作者には思えたのだろうか。明るい桜に比べ、赤く濡れた梅雨満月の仄暗さはよりいっそう我が身に寄り添い、そんな月と対峙する者は、生きることやこの身が滅びること、その他もろもろの内なる思いと向き合うことになるのだろう。雨がちなこの時期、梅雨満月と出会えるかどうか。『浮力』(2011)所収。(今井肖子)


June 1062011

 晝見たる萬緑の中一戸の燈

                           島谷征良

良さんは石川桂郎の弟子。師の桂郎は私小説的な作風と風狂の生き方で知られ、征良さんもまた日常の中に人生の味わいを感じさせる作品が多い。私事に渉るが征良さんとは学生時代からの友人。関東学生俳句連盟結成などで動いた40年ほど前からのお付き合いである。当時既に桂郎門下だった彼を、僕は妙に老成した男として見ていたのだった。この度の句集の『舊雨今雨』(しょうこんう)という題は古い友と新しい友という意味らしい。彼の歳、すなわち僕らの歳がようやく彼の句風に接近してきたような気がする。昼の鬱蒼たる万緑の中の一燈も実に渋い境地と言えよう。『舊雨今雨』(2011)所収。(今井 聖)


June 0962011

 孔雀大虐殺百科辞書以前

                           九堂夜想

字ばかりの表記。百科事典にはあらゆる分野にわたっての知識を集めこれを五十音順に配列したものだけど、昔は応接間の書棚に学校の図書館に高級そうな背表紙がずらりと並んでいるのを目にしたものだ。思えばパソコンのない昔は何かを調べるにあたってはあの重い本を棚から引き出し、項目を追い、必要な部分を書きうつしていたわけで、百科事典と言えばずっしり持ち重りする感触が思い出される。そういえば何十年も百科事典を開いていない。百科事典のもとになる百科全書が編集されたのはフランス革命の頃らしいが、「百科辞書以前」とは、人間の知識の尺度で測れない「むかし」と言った感触が込められているのだろう。人間の繁栄以前にあった孔雀の王国が何物かに虐殺されて消滅した禍々しさが感じられる。人間もやがては思いもよらぬ生物によってその終焉が語られる時が来るだろうか。こんな神話的世界が書けるのも俳句。今更ながらに俳句の懐の深さを感じさせられる。『新撰21』(2009)所載。(三宅やよい)




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