市議選候補事務所からの電話の中身はお願いだけ。うるさいなあ。(哲




2011ソスN4ソスソス21ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

April 2142011

 ことば呼ぶ大きな耳や春の空

                           小川軽舟

は閉じれば嫌なものを見なくてすむ。鼻は息をつめればある程度匂いを遮断できる。口を閉じれば話さなくてすむ。なのに耳だけは自分の意思で塞ぐことはできない。ほかの器官がだめになっても耳だけは最期の最期まで機能しているとどこかで聞いたことがある。掲句での「大きな」は耳自体の大きさをあらわすだけでなく、よく人の話しを聞く賢い耳なのだろう。人に語らせる力を持つ耳。人を動かすのは気のきいた言葉や雄弁さではなく、相手の語る言葉の真意がどこにあるのか注意深く聞きわける力かもしれない。そう思ってみても簡単には「大きな耳」の持ち主になれるわけもなく、そんな耳を持つ人に憧れるばかりである。そんな耳の持ち主は和やかな春の空に似通っていて、語る人を包み込む優しさを持っているのだろう。『新撰21』(2010)所収。(三宅やよい)


April 2042011

 万緑も人の情も身に染みて

                           江國 滋

道癌の告知を受け、闘病生活をおくった滋が遺した句集『癌め』はよく知られている。掲句は全部で五四五句収められたうちの一句。この一冊には、おのれの癌と向き合うさまざまに屈折した句が収められている。「死神にあかんべえして四月馬鹿」「おい癌め酌みかはさうぜ秋の酒」などの諧謔的な句にくらべると、掲句は神妙なひびきをたたえている。そこにじつは滋の資質の一端をのぞき見ることができるように思われる。中七以下には、俳句としての特筆すべき要素はないと言っていいけれど、「万緑」とのとり合わせや、その「身」のことを思えば、おのずと深い味わいがにじみ出てくる。詞書に「払暁目が覚め、眠れぬまま、退院後の快気祝ひに添へる句をぼんやり考へる」とあり、「4月19日」の日付がある。当人は「快気祝ひ」を「考へ」(ようとし)ていたということ、また果敢に秋の酒を「酌みかはさう」とも考えていたということ。そのようにおのれを鼓舞するがごとく詠んだ作者の心には、ずっしりと重たい覚悟のようなものがあったと思われる。滋(俳号:酔滋郎)は「おい癌め…」を詠んだ二日後の8月10日についに力尽きた。万緑の句と言えば、草田男の他に上田五千石の「万緑や死は一弾を以て足る」もよく知られている秀句である。『癌め』(1997)所収。(八木忠栄)


April 1942011

 うららかやカレーを積んで宇宙船

                           浅見 百

治4年に西洋料理としてお目見えしたカレーは、なにより白米に合うことが日本への定着に拍車をかけた。俳句にも〈新幹線待つ春愁のカツカレー〉吉田汀史、〈カレー喰ふ夏の眼をみひらきつ〉涌井紀夫 、〈秋風やカレー一鍋すぐに空〉辻桃子 、〈女正月印度カレーを欲しけり〉小島千架子、と四季を問わず登場する。そして今、国際宇宙ステーションにまで持ち込まれるという。JAXA(宇宙航空研究開発機構)で販売されている「宇宙食カレー」にはビーフ、ポーク、チキンと3種揃っているという。日本人の好物を調べた結果を見ると、どの世代にもラーメンとカレーが上位を占める。どちらも独自の進化をとげて日本の日常に溶け込んできた。あるときは家族に囲まれ、あるいはひとり夜中に、あらゆる人生の場面で顔を出してきた普段の食べ物が、ハレの日に食べてきた寿司や鰻を上回る票数を得て、好物としてあげられているのだ。成層圏を超えていく宇宙船に積まれているのが、普段の食事であるカレーだからこそ、思わず笑顔がこぼれるのである。『それからの私』(2011)所収。(土肥あき子)




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