パスポート発給窓口が混み合っているという話が聞こえてきた。(哲




2011ソスN3ソスソス26ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

March 2632011

 烈風の辛夷の白を旗じるし

                           殿村莵絲子

しみどりがかったつめたい白が、葉よりも先に吹き出す辛夷。〈立ち並ぶ辛夷の莟行く如し〉(高濱虚子)とあるが、なぜか皆同じ方向に傾いて見えるその莟は、目的地を差しているかのようであり、日差しを集める花は空の青に映える。この時の作者には、きっと自らの運命に立ち向かっていく強い決意があったのだろう。背景を知らなくても、辛夷の眩しさに負けない作者の瞳の輝きが見えてくる。昨日、照明を落とした駅の改札を抜け、24時間営業を止めた店の前を通り、暮れかけた空に白く浮き立つ辛夷の花を仰ぎ帰宅。部屋が薄暗いことにもだんだん慣れ、今までが明るすぎたなあ、と辛夷に残る日の色を思い浮かべた。『樹下』(1976)所収。(今井肖子)


March 2532011

 雄鹿の前吾もあらあらしき息す

                           橋本多佳子

服が似合いスラリとして背が高い。今でいうとモデル体型の多佳子。恋の句に秀句の多い多佳子。彼女の句の中のこういう「女」に「天狼」の誰彼がまず瞠目したことは容易に想像できる。殊に西東三鬼などはこういう句を喜んだだろうと思う。雄鹿とあらあらしき息を吐く女性という対比で見ればこの句、性的なテーマとして読まれても無理はない。むしろそのことがこの句の価値を高めていると言ってもいい。この時代にここまで「性」を象徴化して詠った俳人はいない。否、多佳子のあとは誰もいないといってもいいほどだ。俗に堕ちないのは「あらあらしき息す」という7・3のリズムが毅然として作品の品格を立たしめていること。『紅絲』(1951)所収。(今井 聖)


March 2432011

 真っ青な危ない空があるばかり

                           広瀬ちえみ

載句は川柳。震災以降、福島原子力発電所の危機的状況が連日報道されている。息詰まるニュースに今まで関心を持たずに過ごしていた原子力発電がいったん制御不能に陥ればどれだけ危険かを思い知らされることになった。東京では計画停電が実施され、毎日変わる電車の運行に頭を悩ませてはいるが、おおよその生活に支障はない。それに比べ都会への電力を供給するため作られた原発の回りの人達はどれほどの恐怖と緊張にさらされていることか。災害復旧の大きな支障となっている現在の状況が一刻も早く落ち着いてくれることを祈るばかりだ。これからどんな世の中になるかわからないが、便利さに慣れ切った自分の在り方を少しずつでも変えていきたい。空は今日も晴れわたっているが、まだ、間に合うだろうか。『広瀬ちえみ集』(2005)所収。(三宅やよい)




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