父、三度目の危篤状態も持ち直す。しかし、予断をゆるさない。(哲




2011ソスN2ソスソス12ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

February 1222011

 人の息かからぬ高さ白椿

                           長谷川貴枝

いている様より落ちているのを詠まれることの多い椿。この時期、落ちる、は縁起が悪いからというわけでもないが、高みに凛とある張り詰めた白椿に惹かれた。白という色は、すべての光を集めた太陽光線の色だから、白椿はすべての光線を反射していることになる。そのやわらかな花弁のふくらみや丸みと、降りそそぐ光を早春の空にことごとくはね返す力強さとを合わせ持つ白玉椿。こうしているうちに一輪、枝を離れるかもしれないと見上げながら、その危うさも含め、艶な人の面影が重なって見える。『花の大歳時記』(1990・角川書店)所載。(今井肖子)


February 1122011

 立春の大口あけし旅鞄

                           後藤信雄

春と旅のつながりはむしろ類型的。この類型感を「詩」に押し戻すのは「大口あけし」だろう。鞄というものの手触りが伝わりユーモアも感じられる。また、意外に意識されないのが一句の文字数。この句は十文字である。文字数が多いと散文的な、冗漫な印象につながり、少ないと句が凝固して締まった印象になる。十文字は後者。『冬木町』(2010)所収。(今井 聖)


February 1022011

 鳥籠に青き菜をたし春の風邪

                           大木あまり

先にひく風邪は治りにくい。インフルエンザのように高熱が出たり、ふしぶしが痛むというわけではないが、はっきりしないけだるさがぐずぐずと長引く。そんな状態が不安定な春の雰囲気に響き合うのか、春の風邪に余り深刻さはなく「風邪ひいちゃって」とハスキーな声でうつむく女性など想像するだけで色っぽい。ぼんやりした「春の風邪」が鳥籠に差し入れる若菜のみずみずしさと鳥籠の明るさを際立たせる。「菜の花の色であるべし風邪の神」という句も同句集に収録されており、作者の描く春の風邪は忌むべき病ではなく、ぽっと身体の内側に灯がともるような優しさすら感じられる。『星涼』(2010)所収。(三宅やよい)




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