東京地方、今日が最も暑い日という予報も。げんなり。(哲




2010ソスN9ソスソス4ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

September 0492010

 豊年や切手をのせて舌甘し

                           秋元不死男

こまで猛暑だと稲にもよくないのかと思いきや、今年は豊作なのだという。稲は冷夏には大きくダメージを受けるが暑さには強いそうだが、素人はそれにしても暑すぎたのでは、と心配してしまう。豊年、豊作、豊の秋、列車の旅をすると必ず目にする水田の風景。もっぱら食べるだけの身にもその喜びがしみじみ感じられる言葉だ。炊き立ての白いご飯をこんもり盛って、その湯気を両手に包むときの幸せ・・・もう今年米が出回り始めているし残ってるお米をさっさと食べようなどと考えながら、この句を読んで手元の切手をちょこっとなめてみた。切手の糊の原料は昔はデンプンだったが、今は化学的な成分になっているということで、甘さに敏感な舌先にも当然のことながら甘みは感じられない。でもそういえばちょっと甘かったこともあるような気がするなと思いながら、切手の舌ざわりと豊年がふとつながった瞬間を思い描いている。『新日本大歳時記 秋』(1999・講談社)所載。(今井肖子)


September 0392010

 鰯雲レーニンの国なくなりぬ

                           原田 喬

ルリンの壁が崩れて米ソ二大国による世界支配が終りアメリカの一国世界制覇が始まった。勝負がついたのである。史実の歴史的評価は勝者の側に味方するから正義はアメリカに集中する。戦争映画やスパイもので残虐の限りを尽くしたあげく負けるのはいつもドイツと日本そしてソ連。作者は大正二年生まれ。敗戦後長くシベリアに抑留された。横浜高商時代にマルクスを学び左翼運動に関わる。抑留時代は数千人の俘虜の代表としてソ連側との折衝に当たった。共産主義国家に抑留されたマルキストというのはなんとも皮肉な印象がある。そういえば天安門前に毛沢東の温容の額が飾ってあるが、文化大革命も紅衛兵も歴史的評価は今は最悪。主導者である毛主席だけを称揚するのはまさに政策。逆に言えばそれらすべての評価は将来覆る可能性もあるということだ。『長流』(1999)所収。(今井 聖)


September 0292010

 秋暑し謝ることを仕事とす

                           西澤みず季

ったいいつまでこの暑さは続くのだろう。九月に入っても平年以上に気温の高い日が続く。と、あまりありがたくない予報が出ているが、早く秋らしく爽やかな空気を味わいたいものだ。「謝ることが仕事」と言えばデパートのお客様相談室や企業の顧客窓口を思い浮かべるが、それだけではなく、働いていれば「謝ることが仕事」と自分に言い聞かせねばならぬ場面は出てくるもの。どんな理不尽なことを言われても反論する気持ちをぐっと抑え込み。ひたすら頭を下げる。下げた額からぽたぽたと汗がしたたり落ちる。何かと弁明したい気持ちを押し殺しつつ、相手へ頭を下げ続ける割り切れなさは、長引く暑さに耐える不快さに通じるかもしれない。それでも掲句のように「謝ることを仕事とす」とさらりと表現されれば、所詮仕事ってそんなもの。と開き直った潔さも感じられて、嫌な出来事にも距離をとって考えられそうだ。『ミステリーツアー』(2009)所収。(三宅やよい)




『旅』や『風』などのキーワードからも検索できます