気象条件に左右される感情や思考。毎年梅雨期に実感する。(哲




2010ソスN7ソスソス4ソスソスソスソス句(前日までの二句を含む)

July 0472010

 大揚羽教師ひとりのときは優し

                           寺山修司

の句の初出は昭和29年の「蛍雪時代」ということですから、高校3年生の時の作者が、初々しく詠んだ句となります。今では、教師が優しいのはあたりまえというか、優しくなければ問題になるわけですが、当時の教師像というのは、人によって差はあっても、今よりもだいぶ厳格な印象を持たれていたものです。とはいうものの、生来の人のあり方が、たかが半世紀ほどで変わるわけもありません。生徒の前ではいかめしい表情を見せていても、一人になったときには、いつもとは違う穏やかなものをたたえていたということのようです。「大揚羽」のおおぶりな書き出しが、生徒にとっての教師の大きさに、自然とつながっています。また、「ひとり」という言葉から連想されるさびしさも、きちんと「優し」には含まれていて、この教師のこれまでの人生が、妙にいとしく感じられてきます。『寺山修司全詩歌句』(1986・思潮社)所収。(松下育男)


July 0372010

 凌霄花けはしきまでに空青し

                           坂口裕子

霄花(のうぜんか)、ノウゼンカズラは一日花だが花の数が多いからか、いつもたくさん咲いてたくさん散っている気がする。百日紅や夾竹桃のピンクがかった赤は、強い日差しと乾いた暑苦しさを思わせるが、黄みがかった朱色の凌霄花にはなんとなく濡れた印象がある。梅雨のイメージが重なるからか、花が大きく柔らかくぼたぼた散ってしまうからか。そんな凌霄花の朱色と夏空の青と光る雲の白がきっぱりと鮮明な掲出句。凌霄花が咲き乱れているなんとも言いがたい様が、けはしきまでに、という表現を呼び起こしたのだろうか。それにしてもこんな夏空はもう少し先だな、と思いながら、七月の声を聞くとどこかわくわくして、真夏の句に惹かれてしまうのだった。俳誌「花鳥来」(2010年夏号)所載。(今井肖子)


July 0272010

 魚屋の奥に先代昼寝せり

                           鈴木鷹夫

よお、大将いる?」「奥で寝てますよ」「いい身分だね、昼間っから寝てるなんて」「昼間っから魚屋冷やかしてる方もいいご身分じゃないんですか」「何言ってんだ、俺は客だよ。魚買いに来てんだ」「ありがとうございます。今日はいい鰺入ってるよ」先代が昼寝しているのがわかったのは、二代目に尋ねたからだ。それで日頃の付き合いがわかる。他人が昼寝している時間に魚屋に行った方も昼間から暇なのだ。ゆったりした時間が流れる。これを晩年と呼ぶならこんな晩年がいいな。「俳句年鑑2010年版」(2009)所載。(今井 聖)




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