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July 0972009

 ちんぐるま眼の奥の涼しかり

                           本郷をさむ

んぐるま(稚児車・イワグルマ)は高さ十センチほどの茎の先に白い五弁花をつける高原の花だそうだ。山道でふと目に留まる花の名前を知りたいと思うけど植物図鑑の付いた電子辞書を持っていてもなかなか調べがつかない。何かいい方法はないだろうか。出会った植物を名前で呼びかけると、格別の親しみを覚えることだろう。岩蔭に咲いている可憐な高山植物を囲んで楽しそうに談笑している一行に「どうぞ、お先に」と道を譲られると、頂上を目指してやっきになっていた気持ちも歩調も緩んでくる。高山では植物が育つのに平地に比べて何倍も時間がかかるという。山頂付近に群生するちんぐるまを見つつ、山の冷涼な空気に触れていると、都会にいるときより自分の眼が澄んできて遠くまで見渡せそうな気分になるのだろう。この「涼し」にそんな清々した気持ちも含まれているように思えた。『物語山』(2008)所収。(三宅やよい)


July 0572015

 チングルマ一岳霧に現れず

                           友岡子郷

に一度、チングルマを見られる人は幸せです。高山植物の代表格であるチングルマは、本州なら3000m級、北海道なら2000m級の山に、夏の短い期間にしか咲かない花です。登山者は、年に一度の逢瀬のために重荷を背負って山を登ります。なぜ、山に登るのか。そこに山があるから。いや、むしろ、チングルマに会いに行くためです。掲句の登山者は、高度を上げて登ってきて、ようやくチングルマの見える地点に到達しました。チングルマは、森林限界よりも高い標高の稜線や、尾根のお花畑に自生して います。頂上もテント場も間近です。しかし、霧に隠れて「あの山」が見えない。岳人の心には、造形美への希求があって、思い描いてきた山稜の形態が霧に隠れているとき、白い霧に拒絶されながらも、眼前のチングルマには、いとおしい視線を注ぎます。夏、チングルマは裏切らない。遠景の無情と、近景の有情。私事ですが、釧路の高校の三年間、山岳部員として毎夏、五泊六日で十勝岳、トムラウシを経て大雪山旭岳まで縦走していました。25kgのキスリングは肩に食い込み、毎日十数kmの行程をのっしり脚を踏ん張って登り下りました。大雪山の雪渓を削って粉末ジュースをふりかけると、かき氷ができます。そこを越えるとチングルマの群生が迎えてくれました。旭岳は間近で、白い花弁の黄色い小さな花 が咲いています。『風日』(1994)所収。(小笠原高志)




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